手で影絵をつくる。金づちを振り下ろす。大きなおにぎり型のガラポンを回す。画面の向こうで伏黒恵、釘崎野薔薇、狗巻棘が行ってきたことを、来場者の動作へ置き換える。これは作品を忠実に再現した巨大テーマパークではない。限られた商業施設の中で、物語、遊び、飲食、撮影、収集を短い循環へ組み立てた体験型リテールである。
バンダイナムコエクスペリエンスが7月16日に発表した「JUJUTSU KAISEN WORLD」は、8月7日から9月27日まで、サンシャインシティ・ワールドインポートマートビル3階のバンダイナムコ Cross Store 東京で開催される。企画の中心はテレビアニメ第1期と第2期「渋谷事変」。第3期の先を体験する催しではなく、世界的なファン層が共有しやすい物語区間を物理空間へ再編集する。
「没入型」は主催者側の表現であり、現時点でVRやARの使用は発表されていない。確認できるのは、役割を与える有料アトラクション、身体動作を使う三つのミニゲーム、物語展示、再現内装、フォトスポット、料理、商品である。技術の豪華さではなく、自分が世界の中で何をするかを連続させる設計が没入感を担う。
四つの数字で見る「WORLD」
無料という言葉は、企画全体が無料という意味ではない。イベントエリアに入り、展示や雰囲気を楽しむ入口は無料だが、体験入学は1回1,100円、三つのミニゲームは各700円。すべてを1回ずつ遊べば3,200円になる。7月17日の市場表示、1ドル=162.43円で単純換算すると約19.70ドルだが、これは参考値で、決済時のレートや手数料は異なる。
発表された価格は税込みで、ゲーム、食事、商品は別会計。ピザを加えれば4,800円、ケーキセットなら5,000円になる。交通費も商品代も含まれない。セット券や一日遊び放題が発表されたわけではないため、家族や収集目的の来場者は、入場前に上限額を決めるとよい。
体験入学――物語が「あなた」に向きを変える
主要アトラクション「呪術高専体験入学 ~呪霊討祓任務への挑戦~」では、来場者が体験入学生となり、虎杖悠仁、七海建人、五条悟とともに呪霊討祓任務へ挑む。料金は1,100円。終了後、参加者全員が任務報告書1枚と体験入学結果シート1枚を受け取る。報告書は全6種、結果シートは結果に応じる全21種とされる。
重要なのは、単に映像を見るのではなく、来場者に制度上の身分を与えることだ。『呪術廻戦』の世界は、学校、等級、任務、術式、領域、規則によって成り立つ。体験入学という設定は、現実の客をその制度へ自然に挿入できる。最後に渡される報告書は土産であると同時に、参加したという物語上の証明になる。
ただし、所要時間、1回の定員、課題の難度、音・光・動きの強さ、年齢条件、車いす対応、補助者の同伴条件は7月16日の発表に記載がない。幼い子ども、感覚過敏、移動上の配慮が必要な人は、予約前に公式サイトの更新を確認し、必要なら施設へ問い合わせるべきだ。
三つの術式を、三つの遊びへ
| ミニゲーム | 来場者の動作と景品 | 料金 |
|---|---|---|
| 「脱兎!」伏黒の脱兎おみくじ | 手で影絵をつくり、「脱兎」を呼び出す。結果でアクリルブロック、ダイカットボード、または全17種からランダムのおみくじ風ステッカー。 | 700円 |
| 打ち込め!釘崎の芻霊呪法ルーレット | 金づちを使って呪力を流し込む。アクリルボード、箔押しA3ポスター、または全7種からランダムのダイカットステッカー。 | 700円 |
| しゃけしゃけ!狗巻のおにぎりガラポン | 大きなおにぎり型抽選器を回す。巾着、POPスタンド、または全7種からランダムのダイカットステッカー。 | 700円 |
三つのゲームは、高価なシミュレーターよりも、キャラクターを一目で思い出せる動作を選ぶ。伏黒は手の形、釘崎は金づち、狗巻は語彙としてのおにぎり。複雑な能力を完全に再現せず、「あの人物らしい」と分かる一動作へ圧縮する。列をさばきやすく、写真にしやすく、景品へつなげやすい。
景品は結果やランダム配付を含む。欲しい絵柄を選べない場合があり、上位景品の確率は発表資料にない。ゲームは体験代であって、特定景品の購入ではない。未成年者と訪れるなら、「出るまで繰り返す」予算ではなく、回数を先に決めるのが賢明だ。
食べられる場面――料理は記憶のショートカット
施設内のテナントは、人物だけでなく特定のエピソードを料理へ変える。交流会後の1年生たちを表したピザは1,600円で、トッピングが会場ごとに変わる。七海と五条のスパークリングドリンクは1,300円で、五条の術式表現が都市ごとに変わる。羂索と宿儺の「渋谷事変」ケーキセットは1,800円。料理名はファンに場面と台詞を呼び戻し、食べる行為を再視聴に似た記憶装置にする。
東京限定として、虎杖と東堂の「マイベストフレンドッグ」1,500円、パンダカレー1,700円、五条と夏油のどら焼き1,300円、アニメ短編「じゅじゅさんぽ!」を題材にした餃子定食1,700円、脹相のブルーベリードリンク1,200円、乙骨の純愛ドリンク1,200円などが発表された。600円のカスタムソフトクリーム、790円のフォーチューンラテ、アクリルコースター付きソフトドリンク1,200円もある。
対象フード1品につきイラストシートが付くが、カスタムソフト、フォーチューンラテ、アクリルコースター付きドリンクは対象外。会場によりメニューが異なり、アレルギー表示はスタッフまたは店頭メニューで確認する方式だ。写真だけで原材料を判断してはいけない。食事は入場予約の対象外なので、イベントエリアの予約が取れても席、料理、特典の確保を意味しない。
商品は「絵」を持ち帰らせる
描き下ろしには、虎杖、伏黒、釘崎、七海、五条、羂索、宿儺の7人が登場し、イラストレーター・みぞぐちともやによるミニキャラクターも用意される。箔押しアクリルスタンドは各1,900円。獄門疆クッキーBOXは1,100円。一方、ホログラム缶バッジとクリアカードは各660円で全7種のランダム、ミニキャラのアクリルキーホルダーは990円で全7種ランダムとなる。
この販売構造は、安い入口と収集の深い出口をつくる。好きな人物を選べる商品もあれば、開封するまで分からない商品もある。交換する楽しさを生む一方、重複と予算超過も起きる。公式発表は商品、特典、景品が数量限定で、品切れ得ると明記する。予約は在庫を保証しない。一部商品はプレミアムバンダイでオンライン販売予定なので、会場で焦って買う前に対象を確認できる。
東京の予約――版の時刻から23分後に受付開始
開幕3日間の一部時間帯は無料の事前抽選が必要になる。対象は8月7日・8日の終日と、8月9日の午後2時30分入場回まで。応募は7月17日午前11時から7月26日午後11時59分まで、当選発表は7月27日午後5時。8月10日以降は事前予約なしの案内を予定するが、混雑時には入場制限や整理券配付があり得る。
本稿の市場時刻は7月17日午前10時37分。したがって応募は、その23分後に始まる予定であり、執筆時点で「受付中」ではない。読者は公開後に公式予約ページで現在の状態を確認する必要がある。
予約が対象とするのはイベントエリア入場、フォトスポット、アトラクション、ミニゲーム、商品購入へのアクセスで、カフェの飲食は対象外。当選しても、アトラクション利用、整理券、景品、商品、特典を確約しない。遅い時間には各コンテンツの列や整理券配付が終了する可能性もある。「入場できる」と「すべてできる」は別である。
四都市を巡る、13カ月の旅程
| 都市 | 会場 | 期間 |
|---|---|---|
| 東京・池袋 | バンダイナムコ Cross Store 東京 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル3階 | 2026年8月7日~9月27日 |
| 大阪・梅田 | バンダイナムコ Cross Store 大阪梅田 HEP FIVE 8・9階 | 2026年10月9日~11月23日 |
| 博多 | バンダイナムコ Cross Store 博多 キャナルシティ博多 サウスビル地下1階 | 2026年12月4日~2027年2月23日 |
| 横浜 | バンダイナムコ Cross Store 横浜 横浜ワールドポーターズ2階 | 2027年5月21日~6月27日 |
巡回は同じ展示物を動かすだけではない。ピザのトッピングや五条の術式表現のように、都市差を意図的に設ける。東京限定メニューもある。これは再訪の理由をつくる一方、全都市で同一体験を期待する旅行者には注意が必要だ。大阪以降の予約、メニュー、在庫、営業時間の詳細は各会場の発表を待つ。
池袋の会場は通常午前10時から午後9時だが、エリアごとに営業時間が異なる。イベントの最終受付、カフェの提供時間、売り切れ情報は別に確認する。横浜まで約8カ月の空白があるため、日程変更や追加企画も公式サイトで再確認したい。
歴史の始まり――2017年の4話から2018年の連載へ
この世界は、最初から1億5,000万部の企画だったわけではない。芥見下々は2014年に『神代捜査』でデビューし、2017年に『東京都立呪術高等専門学校』を「ジャンプGIGA」で短期連載した。全4話の物語は乙骨憂太と祈本里香を中心にし、呪術高専、五条悟、夏油傑ら、後のシリーズの骨格をすでに備えていた。
2018年3月、『呪術廻戦』が「週刊少年ジャンプ」で始まる。先行作は同年12月に『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』として単行本化され、後から前日譚の位置を得た。つまりシリーズの歴史は、完成した巨大世界を順番に公開したものではなく、小さな原型が連載によって拡張され、原型そのものも新しい文脈で読み直された歴史である。
本編は2024年9月に6年半の連載を終え、全30巻となった。終了時にシリーズ累計1億部を超え、2026年7月の権利者発表ではデジタル版を含む全世界累計1億5,000万部。2025年9月からは芥見が原作、岩崎優次が作画を担う近未来スピンオフ『呪術廻戦≡(モジュロ)』が短期集中連載され、全3巻が刊行された。完結はブランドの停止ではなく、年代と主人公を変える余地を開いた。
紙から映像へ――アニメと映画が世界共通語をつくる
MAPPA制作のテレビアニメ第1期は2020年10月に始まり、2021年3月まで放送された。芥見の速い線、術式の説明、突然の暴力、日常の笑いを、色、音楽、声、動きへ翻訳した。海外の配信視聴者にとっては、アニメが最初の入口になった。2021年12月公開の『劇場版 呪術廻戦 0』は、2017年の原型を長編映画へ変え、全世界興行収入265億円を記録した。
第2期は2023年7月から12月。「懐玉・玉折」で五条と夏油の若い時代を描き、その後「渋谷事変」で世界の秩序を大きく動かした。2025年には、5月の「懐玉・玉折」総集編、10月の『劇場版 0』復活上映、11月の「渋谷事変 特別編集版」と第3期冒頭の先行上映が、時系列をたどる劇場展開として組まれた。
第3期「死滅回游 前編」は2026年1月から3月に放送され、第4期「死滅回游 後編」の制作が決定している。ただし放送時期は7月17日午前10時37分時点で発表されていない。新イベントの展示が第2期までに焦点を絞る一方、第3期の描き下ろし商品も扱うのは、物語理解の入口を広く保ちながら、最新視聴者にも買う理由を用意する二層構造である。
2020年から始まっていた「現実世界への侵入」
テレビアニメの放送とほぼ同時に、作品は店舗へ広がった。2020年8月、池袋で複製原画展が開かれ、同年11月にはアトレ秋葉原のキャラポップストア、渋谷・梅田の「呪術廻戦PLAZA」が描き下ろし商品とフォトスポットを展開した。12月には東京駅へ期間限定の購買部が出店した。これは現在のWORLDより簡素だが、「新しい絵」「買える物」「写真を撮る背景」を一つの場所へ結ぶ基本形だった。
2021年には、アニメイト、セガ、東京・大阪・名古屋の企画カフェが、人物を料理とコースターへ翻訳した。よみうりランドは観覧車やコースターを装飾し、謎解き、キッチンカー、限定商品を組み合わせた。渋谷のアニメーション展は、第1期を前後期に分け、原画、絵コンテ、場面装飾で「テレビアニメの追体験」を掲げた。画面の外に出たファン行動は、見る、食べる、回る、解く、集めるへ増えていった。
2022年7月には東京、8月には大阪で初の2.5次元舞台が上演された。俳優の身体とプロジェクションが、漫画・アニメの速度と術式を生の劇場へ移した。続編は2023年12月から2024年1月に東京・兵庫で上演。観客が操作する催しではなくても、同じ空間で人間が技を演じることは、作品を「そこにいる」感覚へ近づけた。
USJ――4-D、コースター、食堂が先行した
大規模な没入体験の転機は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとの初コラボである。2022年9月から2023年7月まで、「呪術廻戦・ザ・リアル 4-D」はオリジナル3D映像に座席の振動や水しぶきを組み合わせた。ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドでは音声物語とコースターを同期し、飲食では呪術高専の食堂、七海のカスクート、五条を表すポップコーンバケツなどを展開した。
2026年1月30日から8月18日まで、USJは完全新作ストーリーの4-Dを復活させ、新しいストーリー・ライドも運行している。池袋のWORLD開幕後11日間は両企画が重なる。大阪のテーマパークは大型映像と物理効果、池袋の商業施設は参加型ゲームと収集に強みがあり、同じ作品でも「没入」の意味が違う。
日本で開発された体験は海外にも渡った。2025年春、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの夜間イベントは「Jujutsu Kaisen: Hunger of the Cursed」を上映型体験として導入し、NBCUniversalは日本で初登場した企画だと説明した。日本のアニメが海外で配信されるだけでなく、日本で設計した現地体験の形式も輸出されたことになる。
展覧会――完成品より、つくり方を見せる
芥見下々『呪術廻戦』展は2024年7月に渋谷ヒカリエで始まり、大阪、福岡、仙台を経て、2026年7月18日現在は名古屋で開催中。9月には岩手へ向かう。展覧会は原画を壁に並べるだけでなく、ネーム、下書き、アシスタントへの指示、背景、デジタル作画の工程、作者のQ&Aを公開し、世界がどう構築されたかを見せる。
2017年の『東京都立呪術高等専門学校』に加え、その後につくられたプロトタイプ『呪術匝戦』のネームも一部展示する。完成したブランドの裏に、捨てた案、編集、分業、デジタル工程があることを示す場所だ。WORLDが「作品の中に入る」体験なら、原作展は「作者の思考の中に入る」体験である。
ゲーム化――術式は最初からルールだった
スマートフォンRPG『呪術廻戦 ファントムパレード』は2023年11月に日本で正式サービスを開始し、2024年4月にPC版、同年11月に中国本土を除く世界へ9言語で配信された。2025年9月までに世界累計2,500万ダウンロードを超えた。第1期の追体験に加え、福岡を舞台にしたオリジナル物語を持つ。原作の余白へ新しい土地と人物を差し込む形で、ファンを毎日の運営型ゲームへつないだ。
初の家庭用ゲーム『呪術廻戦 戦華双乱』は2024年2月に発売。16人から組む2対2の3Dアクションとして、相棒の組み合わせ、呪力の上昇、術式、領域展開を対戦ルールに変えた。第1期と『劇場版 0』の物語を扱い、後に「懐玉・玉折」「渋谷事変」の追加コンテンツを広げた。
『呪術廻戦』がゲーム化しやすい理由は、能力が見た目だけでなく条件を持つからだ。誰が、どの距離で、何を代償に、どの順序で技を使うか。結界と領域は空間のルールを変え、等級と任務は目標を与える。WORLDの三つのミニゲームは、その巨大な規則体系を一つの動作と一つの結果へ縮めた最小単位のゲーム化である。
なぜCross Storeなのか――店がメディアになる
バンダイナムコ Cross Storeは2022年7月に横浜と博多で始まり、池袋の東京旗艦店は2023年3月に開業した。グループは施設を、キャラクター、商品、イベント、飲食を「観る」「触れる」「体験する」リアルタッチポイントと定義する。公式ショップ、イベント、ゲームセンター、ガシャポン、カフェを隣接させ、IPを一回の来店で複数の支出と記憶へ変える。
配信は世界へ速く届くが、物理体験には別の価値がある。同じ時間に同じ場所へ行く希少性、友人と反応を共有すること、撮影できる背景、そこでしか得られない紙や景品、料理の味である。企業側には、ファンの反応を直接見て、イベントから物販、飲食、ゲームへ回遊させる利点がある。
一方で、没入が販売導線の美称になる危険もある。体験の大半が列と買い物だけなら、世界へ入った感覚は薄い。優れた運営は、無料展示にも意味を持たせ、スタッフが物語上の役割を理解し、待ち時間を案内し、景品がなくても遊び自体が成立するようにする。売上だけでなく、参加者が何をしたと語れるかが品質になる。
ランダム商品と希少性――楽しさと負担の境界
缶バッジ、カード、キーホルダー、ゲーム景品にはランダム要素が多い。日本のキャラクター商品では一般的で、開封、交換、全種収集を社交的な遊びにする。しかし特定の人物だけを求める客には、価格の不確実性を移す。660円の商品でも、7種を重複なく引く保証はない。3,200円の遊び代は上限が明確だが、収集費は自分で止めなければ伸びる。
運営側は、確率があるゲームなら条件を分かりやすくし、売り切れと購入制限を早く表示し、選べる商品とランダム商品を明確に分けるべきだ。保護者は回数と金額を事前に合意できる。ファン同士は安全な公開場所で交換し、転売価格を「公式価格」と誤認しない。体験の満足を、希少品を引けたかだけに預けないことが大切だ。
旅行者のための実務ガイド
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 公式サイトと予約ページを当日に再確認 | 入場方法、整理券、売り切れ、営業時間は変更され得る。予約は全コンテンツを保証しない。 |
| 体験、食事、商品を分けて予算化 | 入場無料でも、体験一式3,200円。食事とランダム商品で総額が大きく変わる。 |
| 最優先を一つ決める | 任務、ゲーム、料理、商品は列が別になり得る。遅い到着では整理券が終わる場合がある。 |
| アレルギーを店頭で確認 | 都市でメニューが変わり、特典対象外の品もある。画像から原材料を判断しない。 |
| アクセシビリティを事前照会 | 所要時間、定員、年齢、車いす、感覚刺激、介助条件は初回発表で未公表。 |
| 言語支援を決めつけない | 英語を含む案内、音声、スタッフ対応の範囲は発表されていない。翻訳手段を用意する。 |
| ネタバレ範囲を理解 | 展示は第1期から「渋谷事変」。未視聴者には人物の運命や重要場面が含まれ得る。 |
イベントはサンシャインシティ内で、池袋駅から歩く。夏の東京では屋外移動の暑さも計画に入れ、水分と時間に余裕を持つ。大型商品を買うなら、手荷物、ホテル配送、帰国便の容量を先に考える。壊れやすいアクリル製品や食品の保存条件も確認する。
海外ファンにとって、日付、価格、人物名は読めても、任務の説明や掛け声が日本語だけなら体験の質が変わる。主催者が多言語対応を発表するまでは、完全な英語体験を前提にしない。逆に、日本語が分からなくても身体動作と写真で楽しめる部分は多い。どこまで理解を要するかが、今後の重要な情報になる。
作品に合う没入、作品を消費する没入
『呪術廻戦』は、人間の負の感情から「呪い」が生まれる世界を描く。恐怖、後悔、孤独、喪失を、戦える姿とルールへ変えることが物語の強さだ。その暗さを、明るい料理や可愛いミニキャラにすることには緊張がある。深刻な場面がケーキ名や景品になる時、記憶は親しみやすくなる一方、痛みが装飾へ薄まる。
しかしファン文化は、重い物語を笑い、食事、交換、記念写真で共同管理する営みでもある。公式アニメ自身が「じゅじゅさんぽ!」で日常の笑いを差し込み、作品は初めから恐怖と軽さを往復してきた。よいコラボは暗さを消すのではなく、人物関係や場面の意味を理解した上で、別の感情の入口をつくる。
その基準で見れば、WORLDの最も面白い部分は商品数ではない。伏黒の影、釘崎の金づち、狗巻のおにぎり語彙を、来場者が一瞬だけ借りる設計だ。作品の固有性が動作へ残る。逆に、ロゴを貼っただけの料理や、在庫だけを目的にした行列が中心になれば、他作品へ簡単に置き換えられる。
次の段階――「来場者数」以外に何を測るか
この巡回の成功は、売上や完売だけでは測れない。予約当選者の実来場率、待ち時間、体験完遂率、無料客が有料体験へ進む比率、各都市の再訪、海外客の言語、アクセシビリティ対応、食物アレルギー案内、景品欠品後の満足度などが必要だ。売り切れは熱狂の証拠であると同時に、体験できなかった人の数でもある。
物語面では、新規客が第1期を見たくなったか、既存ファンが人物を違う角度で理解したか、親子や友人が共同で語る材料を得たかが重要になる。施設面では、4都市を巡回することで東京以外の消費を生み、商業施設へ滞在時間をもたらせるか。海外面では、日本語を話さない客が「買えた」だけでなく「参加できた」と感じるかが試金石だ。
そして権利者は、作品の終わりとブランドの長寿を区別しなければならない。新商品を無限に増やすことは、物語を長く愛される状態と同じではない。原作、アニメ、ゲーム、舞台、展覧会、体験が互いに同じ場面を消耗させず、違う見方を足せる時、メディア展開は拡張になる。
結論――漫画の外で、もう一度ルールをつくる
『東京都立呪術高等専門学校』の4話から9年。『呪術廻戦』は30巻の本編、世界興収265億円の映画、3期のテレビアニメ、舞台、2種類の大きなゲーム、巡回原作展、日米のテーマパーク体験へ成長した。1億5,000万部は規模を示すが、長寿の理由を一つの数字へは縮められない。人物、恐怖、笑い、そして理解したくなる複雑なルールが、媒体ごとに違う入口をつくった。
「JUJUTSU KAISEN WORLD」は、その歴史を一つの商業空間へ圧縮する。無料で入り、有料で役を与え、身体で技をまね、結果を紙でもらい、場面を食べ、写真を撮り、絵を持ち帰る。巧みな設計である。同時に、列、在庫、ランダム販売、予算、言語、アクセシビリティを正直に管理して初めて、宣伝文句以上の没入になる。
最高の体験は、客に大量の商品を持たせるものではない。自分の影で脱兎を呼んだ、友人と任務を終えた、あの料理があの場面を思い出させた、と具体的に語らせるものだ。漫画は読者の頭の中に世界をつくる。WORLDが成功するなら、その世界を壊さず、数分だけ共有できる現実のルールをつくるだろう。
出典・参考資料
- バンダイナムコエクスペリエンス:「JUJUTSU KAISEN WORLD」発表(2026年7月16日) — 企画内容、料金、景品、商品、フード、4都市の日程、シリーズ概略。
- 「JUJUTSU KAISEN WORLD」公式サイト — 最新の会場、運営、商品、飲食情報。
- NAMCO Parks:東京会場8月7~9日事前抽選 — 応募時刻、対象枠、予約範囲、在庫・利用非保証。
- TVアニメ『呪術廻戦』公式:イベント詳細発表 — 権利者側の開催案内。
- 芥見下々『呪術廻戦』展:みどころ — 2017年の前日譚、プロトタイプ、ネーム、デジタル作画工程、作者略歴、1.5億部。
- 芥見下々『呪術廻戦』展:開催概要 — 2024年東京から2026年名古屋・岩手までの巡回。
- TVアニメ公式:「呪術廻戦PLAZA」開催(2020年) — 初期の描き下ろし物販催事とフォトスポット。
- レッグス:「呪術廻戦カフェ」とアニメーション展(2021年) — 東京・大阪・名古屋のカフェ、アニメ第1期追体験展示。
- よみうりランド:『呪術廻戦』コラボ(2021年) — アトラクション装飾、謎解き、フード、商品。
- ネルケプランニング:舞台『呪術廻戦』(2022年) — 東京・大阪公演と舞台化の記録。
- TVアニメ公式:USJ「呪術廻戦・ザ・リアル 4-D」(2022年) — 3D映像、振動、水しぶき、オリジナル物語。
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン:ユニバーサル・クールジャパン2026 — 新作4-Dとストーリー・ライド、総合テーマパーク体験。
- NBCUniversal:Universal Fan Fest Nights 2025 — 日本発の『呪術廻戦』上映型体験のハリウッド展開。
- サムザップ:『ファントムパレード』世界2,500万ダウンロード — 日本、PC、9言語のグローバル配信履歴。
- Bandai Namco Entertainment:Jujutsu Kaisen Cursed Clash — 初の家庭用ゲーム、2対2、物語範囲、対応機種。
- バンダイナムコ Cross Store:コンセプト — 物販、イベント、飲食、アミューズメント、ガシャポンを結ぶリアルタッチポイント。
- バンダイナムコアミューズメント:Cross Store初開業(2022年) — 横浜・博多から始まった体験型リテールの歴史。
編集注:本稿は2026年7月17日午前10時37分(日本時間)までに確認した資料に基づく。東京会場の事前抽選は同日午前11時開始予定であり、本稿の基準時点ではまだ始まっていない。入場無料は有料アトラクション、ミニゲーム、飲食、商品が無料という意味ではない。概算ドル換算は1ドル=162.43円を単純適用し、カード会社や両替の手数料を含まない。アトラクションの所要時間、定員、年齢条件、アクセシビリティ、多言語対応の詳細は初回発表で確認できず、未公表事項として扱った。日程、内容、価格、在庫、入場方法は変更され得るため、来場前に公式情報を再確認してほしい。
