発表済みのこと、まだ起きていないこと

J-CATとForbes JAPANは7月30日、初開催となる「Forbes JAPAN Destinations of the Year 2026」の結果を発表した。200を超える候補から選ばれた30事業者が「The 30 Collection」を構成し、富山県利賀村のL’évoが最高賞「THE ICON」を受賞した。表彰式「AWARD & RECEPTION」は8月6日に東京ステーションホテルで開かれる予定で、この記事の公開日である8月1日時点ではまだ開催前だ。Forbes JAPAN 2026年10月号の特集は8月25日発売予定である。

30事業者30自治体の順位表ではない。宿泊、食、文化、工芸、自然、アートを担う事業者と実践の集合だ。
候補200超主催者によると、初回のコレクションは200を超える候補から選ばれた。
4つの評価軸文化の進化性、地域固有性、循環型ビジネス、社会・地域との持続可能な関係。
富山から2組L’évoがTHE ICON、井波のBed and Craftが循環型ビジネス部門を受賞した。

「秘境の名店」ではなく、遠さを読める形にする店

L’évoは、オーナーシェフの谷口英司が「前衛的地方料理」と呼ぶ料理を中心に据えたオーベルジュだ。山菜、ジビエ、在来野菜、富山湾の魚が厨房へ届く。しかし「地方」という主張は食材で終わらない。L’évoの公式サイトには、農家、鮮魚店、木彫家、陶芸家、ガラス作家、金工作家、ワイナリー、絹織物の担い手、山羊チーズの生産者など、料理と空間を支えるパートナーが並ぶ。レストラン、3棟のコテージ、菜園は、かつての小さな集落を思わせるように点在する。

受賞理由には、谷口が生産者や職人と15年かけて築いた関係が記されている。この「15年」は、便利な観光用語である「隠れた宝」より重要だ。宝は掘り出して持ち去ることができる。関係は維持し続けなければならない。L’évoが差し出すのは、一皿のなかに流域を見せる試みである。雪は山水となり、米、野菜、動物を育て、やがて富山湾へ注いで魚を育む。森はキノコや獣をもたらす。地域の技は器や家具になる。皿が目的地なのではない。皿の上で、一つの土地のつながりが短いあいだ見えるのである。

かつて「デスティネーション」は旅程の終点を意味した。The 30 Collectionが問うのは、訪問者が所有することなく一時的に入る、地域の仕組み全体を「目的地」と呼べないかということだ。

谷口英司とL’évoが利賀村へ至るまで

谷口は、この土地を生まれ故郷の物語として受け継いだわけではない。1976年に大阪府で生まれ、和食料理人の父のもとで育った。国内のホテル、レストラン、パン店に加え、フランス・ブルゴーニュのルレ・ベルナール・ロワゾーでも研鑽を積んだ。2010年、リゾートホテル内レストランのシェフとして富山へ移り、2014年にオーナーシェフとしてL’évoを開業した。2020年12月、店を利賀村へ移し、宿泊を備えたオーベルジュとして再出発した。

移転は、店の文法を変えた。都市における「地産地消」は仕入れ基準になり得る。利賀では、それが天候、アクセス、時間そのものになる。1,000メートル級の山々が空を囲み、冬には2〜3メートルの雪が積もるのが珍しくない。公式のアクセス案内は、道幅の狭さや急勾配に注意を促し、「レヴォは不便です」と率直に書く。宿泊は一晩3棟だけ。レストランも完全予約制である。

評価は積み上がった。『ミシュランガイド北陸2021特別版』は二つ星とグリーンスターを付与した。『ゴ・エ・ミヨ』は谷口を2017年と2022年の「今年のシェフ賞」に選び、ジャパンタイムズの「Destination Restaurants 2021」はレストラン・オブ・ザ・イヤーに選定した。しかし、既存ガイドの名声だけでTHE ICONを説明することはできない。今回の賞が掲げたのは、文化を現代へつなぐ力、土地への根付き方、価値を地域へ戻せる事業構造、社会と環境との長期的な関係という四つの軸だった。

利賀は以前にも「周縁」を世界の中心にした

山村で世界水準の仕事をつくるというL’évoの選択には、利賀ならではの先例がある。1973年、利賀村は5棟の合掌造り民家を移築し、利賀合掌文化村を整えた。1976年、演出家・鈴木忠志が早稲田小劇場を東京から利賀へ移転し、そのうち一棟を劇場「利賀山房」へ改修した。1982年には磯崎新設計のギリシャ風野外劇場が完成し、日本初の世界演劇祭とされる利賀フェスティバルが始まった。

鈴木にとって利賀への移転は、政治、経済、文化が東京へ過度に集中する状況への異議申し立てでもあった。周縁に見えた村が、世界の演劇人が目指す場所になった。現在の富山県利賀芸術公園は、国際的な舞台芸術拠点であり「演劇の聖地」を掲げる。もちろん、オーベルジュと前衛劇団は同じではない。それでも、両者は同じ前提を反転させる。山村が首都を模倣する方法を問うのではない。首都から離れていることを創作条件にしたとき、何が可能になるかを問うのである。

4つの審査軸と、それを体現した受賞者

主催者によれば、J-CATの現地調査とインタビューをもとに、アドバイザリーボードが選考した。THE ICONは四つの軸すべてで卓越した取り組みに与えられる。各部門賞を見ると、賞が考える「新しい目的地」が理解しやすい。

受賞者評価された構想
THE ICONL’évo
富山・利賀
山と湾、食と工芸、自然と宿泊を富山全体の関係網として編み、そこへ行く理由にした。
Future Forward
文化の進化性
流域のがっこう
鹿児島・屋久島
「山10日、海10日、里10日」。農、塩づくり、森、川、集落を一つの流域として学ぶ。
Local Identity
地域固有性
やんばるホテル南溟森室
沖縄・国頭郡
空き家を生かし、地域を語る「シェルパ」と出会い、囲い込まれたリゾートではなく集落を体験する。
Circular Business
循環型ビジネス
Bed and Craft
富山・井波
宿と木彫職人を結び、作品販売や宿泊収益を作り手と町へ戻すクラフト・イン・レジデンス。
Social Sustainability
社会・地域との持続可能性
SOIL Setoda
広島・瀬戸田
「まちのリビングルーム」として、宿を商店街、銭湯、食、図書、港の日常へつなぐ。
セゾン特別賞丸富
山梨・市川三郷
赤褐色の伝統花火「和火」を、眺めるだけでなく、1日1組で学び、つくり、打ち上げる。

言葉が大きいほど、検証の責任も重くなる。「循環」は、地域の装飾品を一度買うことではない。「持続可能」は、タオルの再利用を客に頼むことでもない。旅が終わったあとも、資金、技術、意思決定の力、環境への配慮が地域内で回り続けるか。それが本当の問いである。

全30事業者――新しい旅の地図を読む

30を並べて初めて、今回の選定が見せる傾向が浮かぶ。著名な宿泊ブランドもあれば、小さな地域プロジェクト、文化施設、学びの場もある。以下の説明は公式特設サイトの内容を要約したもので、Japan.co.jpによる独自の格付けではない。

事業者・地域体験と地域への提案
L’évo
富山県・利賀
山と湾、地域の作り手、3棟のコテージ、菜園を結ぶ前衛的地方料理。
流域のがっこう
鹿児島県・屋久島
山、海、里、農と遊びを一つの流域として学び、島の暮らしと自然を結ぶ。
やんばるホテル南溟森室
沖縄県・国頭郡
シェルパ、空き家活用、祈りと日常を通じ、集落そのものを次代へつなぐ。
Bed and Craft
富山県・井波
アートのある宿に泊まり、木彫職人へ弟子入りし、消費を工芸の町へ分散する。
SOIL Setoda
広島県・瀬戸田
しおまち商店街、食堂、銭湯、本、港の日常を一つの滞在に結ぶ。
丸富
山梨県・市川三郷
約4時間、1日1組で和火の材料、制作、打ち上げまでを体験する。
蔵サウナと文化財の宿 森長
秋田県・男鹿
築約100年の登録有形文化財を、なまはげ、発酵食、サウナ、町歩きの拠点に再生。
THREE GOATS
岩手県・盛岡
全長約1,000キロの「みちのく潮風トレイル」を7日間歩き、被災と再生を生きる人々に会う。
Craft Invitation by SOE
福井県・越前鯖江
和紙産地に泊まり、地域に集積する七つの地場産業と工房を訪ねる。
オーベルジュほまち 三國湊
福井県・三国町
北前船で栄えた港町の町家10棟を分散型ホテルにし、地域の食と歴史をつなぐ。
Takigahara Craft & Stay
石川県・小松
石文化、石蔵、農、里山を結び、利益を耕作放棄地や景観保全へ再投資する。
花紫
石川県・山中温泉
1902年創業の旅館を、茶、アート、地域案内、人材研修を備えた文化サロンへ。
永井酒造
群馬県・川場村
利根川源流のテロワールを巡り、酒蔵の高度なテイスティングへ導く。
白井屋ホテル
群馬県・前橋
建築と現代美術によってホテルをまちなか再評価の起点にする。
八雲茶寮
東京都・目黒
お茶に始まり、お茶に終わる、茶房での朝食体験。
GORA KADAN FUJI
静岡県・須走
宿泊と霊峰富士を巡る「再生の巡礼」を重ねる。
BYAKU Narai
長野県・奈良井宿
中山道の宿場町を拠点に、漆工と街道トレイルを体験する。
POJ Studio
京都府・祇園
伝統技術を次世代へ渡すための滞在型教育プログラム。
帝国ホテル 京都
京都府・祇園
歴史的建築を、生きた花街文化へ入る入口とする。
ume, yamazoe
奈良県・山添村
里山の日常を眺めるだけでなく、一時的な担い手としてその営みに入る。
犬島精錬所美術館
岡山県・犬島
旧銅製錬所の美術館と犬島「家プロジェクト」を巡る。
千年オリーブテラス for your wellness
香川県・小豆島
樹齢千年とされるオリーヴ大樹を中心にウェルネス滞在を組み立てる。
Entô
島根県・隠岐
ユネスコ世界ジオパークで、ホテルを島の地質と暮らしへ近づく拠点にする。
他郷阿部家
島根県・石見銀山
気取らない日常と人との時間を、忘れかけた豊かさとして差し出す。
大谷山荘
山口県・長門湯本
宿泊から神授の湯「恩湯」の歴史と湯治文化へつなぐ。
Craft Inn 手 [té]
福岡県・八女
手仕事に囲まれて泊まり、作り手から学び、八女の工芸生活へ入る。
Enowa Yufuin
大分県・湯布院
食、農、土地への好奇心を軸にしたファームドリブン・オーベルジュ。
冨士屋ホテル
大分県・鉄輪温泉
文化財の旅館建築と、温泉ミネラルを生かした味噌づくりを結ぶ。
鍋島オーベルジュ
佐賀県・肥前浜宿
歴史的町並みで「鍋島」の酒造りと美食を組み合わせる酒蔵オーベルジュ。
和多屋別荘
佐賀県・嬉野温泉
温泉、嬉野茶、肥前吉田焼をめぐるティーツーリズム。

30組に通底するもの

地理的には均等ではない。東京は1事業だけで、九州と北陸の存在感が強い。一方、構想には共通性がある。男鹿の登録文化財、三國湊の町家、奈良井宿、犬島の製錬所、越前の商家、温泉地の旅館。多くが古い建物を再利用している。保存を、別の財源で維持される懐古的背景ではなく、現在の利用によって支える運営コストとして捉えている。

二つ目の群は、客を観客ではなく「弟子」に近づける。Bed and Craftは木彫工房へ入る。丸富は花火づくりを教える。Craft Inn 手やPOJ Studioは手仕事を教育に変える。作り手との時間が、収入と評価の両方を生む可能性がある。一方、複雑な職能を短い消費可能な実演へ縮める危険もある。強いプロジェクトほど、職人の時間を守り、正当な対価を設定し、好奇心から深い学びへ進む道を用意する。

三つ目は、旅の「単位」を広げる。THREE GOATSは1,000キロの海岸トレイルを舞台にする。流域のがっこうは水を山から海まで追う。SOIL Setodaやオーベルジュほまちは、ホテルを町へ分散させる。Entôは地質、地域社会、宿泊を一つのフィールドとして扱う。単独の名所を売るのではなく、従来の旅程が見落としてきたつながりを編み直す。

富山のダブル受賞は偶然ではない

L’évoとBed and Craftは、一方が利賀のダイニング、もう一方が井波の分散型宿と木彫工房から始まる。しかし、どちらも関係の網を見える形にする。客は「富山の工芸」を抽象的な土産物カテゴリーとして受け取るのではない。作り手に会い、作品を使い、町を歩き、生産を存続させる仕組みにお金を払う。

南砺には、そのモデルを支える厚い素材がある。市内の相倉と菅沼の合掌造り集落は、白川郷とともに1995年、ユネスコ世界遺産に登録された。ユネスコは、急勾配の屋根を持つ集落が、山岳地形、養蚕、桑栽培という社会経済条件へ適応して発達し、戦後の大きな変化を経ても社会構造を伝えてきた点を評価する。井波には木彫の集積があり、利賀は半世紀をかけて山村を国際演劇の目的地へ変えてきた。

この歴史は、「まだ発見されていない日本」という安易な表現を拒む。これらの場所は、都市や海外のまなざしを待つ空白ではなかった。経済、信仰、祭り、建築、そして存続をめぐる議論がすでにあった。より敬意ある観光の言葉は「発見」ではなく「参加」だろう。訪問者は、自分より前に始まり、成功すれば自分が去ったあとも続く仕事に、一時的に入ることを許される。

到着者数を数える時代から、「何が残るか」を問う時代へ

この賞は、日本の観光政策が転換点にある時期に生まれた。ビジット・ジャパン事業は2003年に始まり、2006年に観光立国推進基本法が成立、2008年に観光庁が発足した。訪日外客数は2013年に1,000万人を超え、2019年には3,188万人へ伸びた。新型コロナ禍で2021年は24万5,862人まで落ち込んだ。

回復は急速で、規模も予想を上回った。日本政府観光局(JNTO)によれば、2024年は3,687万人、2025年は過去最多の4,268万人。2026年1〜6月も累計2,108万人に達したが、6月単月は前年同月比6.8%減だった。大きな数字は外貨と雇用をもたらす。同時に、すでに有名な地域では混雑、住宅、交通、ごみ、住民との摩擦を深刻にする。

2023年に閣議決定された第4次観光立国推進基本計画は、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」を柱に掲げた。The 30 Collectionは政府の認証でも実施事業でもなく、民間の独立したプロジェクトだ。しかし、問題意識は重なる。必要なのは国境を越える人数だけではない。場所を消費する行為と、その場所の継続へ貢献する行為の境界を越える旅である。

高付加価値旅行が持つ約束と罠

30の多くはプレミアム商品だ。L’évoは評価の高い完全予約制のオーベルジュで、コテージは3棟。著名な高級旅館や大型ホテル計画も含まれる。壊れやすい山村にとって、少人数・高単価の観光は合理的になり得る。交通負荷を抑えながら収入を得て、大衆価格では支えにくい専門技能や文化財保存へ資金を回せるからだ。

しかし、価格は持続可能性の証明ではない。高額な客室でも、食材を外から運び、利益を域外へ送り、働く人へ十分な賃金を払わず、水資源へ負荷をかけ、住民を背景に変えることはできる。排他性も地域の日常の代わりにはならない。町が健全なのは、人が暮らし、働き、子どもを育て、必要なサービスを得られるからであって、空き家がすべて高級客室になるからではない。

だからこそ、今回の「循環型ビジネス」という評価軸が最も重要で、ウェブサイトだけでは最も検証しにくい。調達の何割が地域に残るのか。職人やガイドへどれだけ渡るのか。若い担い手が生活できる職業として育つのか。住民が来訪者数や行動ルールの決定に参加するのか。環境コストを測っているのか。不況時にも、物語の価値をつくったパートナーとの関係を守れるのか。

トロフィーの後に追うべき六つの指標
  • 地域内留保:旅行消費のうち、地域の労働者、仕入れ先、所有者に残る割合。
  • 継承:失われかねない技術を職業として可能にする弟子制度、賃金、キャリア。
  • 住民の決定権:受け入れ上限、行動ルール、開発の限度を地域が決められるか。
  • 環境会計:交通、水、ごみ、生息地、食料システムの負荷を測っているか。
  • 生活の尊厳:高級宿泊と並行して、住宅や日常サービスが維持されるか。
  • 共創:30組のコミュニティが祝賀会で終わらず、知識と仕事を共有するか。

市場に利害を持つ賞であること

誰がこの賞をつくったのかも明確にしておきたい。J-CATは、国内向け上質体験サービス「Otonami」と、高付加価値の訪日旅行を設計する「Wabunka」を運営し、エリアブランディングや観光コンサルティングも手がける。Forbes JAPANはビジネス誌だ。アドバイザリーボードには起業家、デザイナー、研究者、ナラティビスト、J-CAT執行役員が含まれ、特別賞は協賛社が選んだ。

だから選定が無効になるわけではない。視点がどこにあるかが分かるということだ。これは政府認証でも、住民投票でも、匿名のレストランガイドでもない。価値ある市場を形成し得る体験を、業界の側から見いだす試みである。商業的な知見は、小規模事業者を予約可能にし、外部へ理解できる形にする助けになる。一方、商業的利害があるからこそ、基準、根拠、選定後の追跡には透明性が必要だ。

主催者は、30組を掲載で終わるリストではなく「共創コミュニティ」にしたいという。名声より良い試金石である。山梨の花火師が富山のクラフト滞在から学び、沖縄の集落ホテルが隠岐の島の拠点と受け入れ上限を議論し、東北のトレイル事業者が瀬戸田から地域発注を学ぶなら、点の集合は主催者がいう「面」になり得る。

L’évoが象徴としてふさわしい理由、そして未完である理由

L’évoの最大の仕事は、豊かさが何によって成り立つかを見せながら、その豊かさが無償でも自動的でもないと示すことかもしれない。魚には冷たい水と働く港が必要だ。ジビエの背後には森、狩猟者、解体技術がある。器には陶工とガラス作家がいる。雪道を維持する人がいなければ、客はテーブルへ着けない。称賛される瞬間と瞬間のあいだにある労働こそ、目的地を形づくる。

そして、その物語はすべての本気の地域事業と同じく未完だ。15年かけた関係は世代交代を越えなければならない。気候変動は雪、水、森、漁場を変える。著名なシェフは世界を呼べるが、強靱な仕組みはいつまでも一人に依存できない。賞は需要を増やし、需要は受け入れ能力を試す。注目を、関係網をゆがめる力ではなく強くする力へ変えられるかが課題になる。

本当の目的地は、旅行者が到着する地点ではない。その到着によって、土地が守り続けられるもののなかにある。

L’évoがTHE ICONに選ばれても、利賀へ向かう山道が直線になるわけではない。そこに意味がある。日本の次の旅の地図は、あらゆる不便を消すことで描かれるのではないかもしれない。細い道が何を守り、誰がそれを開け続け、土地を消費しやすい形へ変えることを要求せずとも、なぜ行く価値があるのかを理解することで描かれる。

取材資料と検証方法

Japan.co.jpは、30事業者、200超の候補、審査軸、受賞理由について、主催者の7月30日発表と公式特設サイトを基準資料とした。本プロジェクトは体験事業会社とビジネス誌の共同創設であるため、その評価は独立した公的認証としてではなく、発表主体を明示して記述した。L’évoの思想、パートナー、3棟のコテージ、菜園、アクセス、自然環境については公式サイトを参照し、谷口英司の経歴と受賞歴は2025年の著書を刊行した出版社資料と照合した。観光統計は日本政府観光局、政策史は観光庁、地域史はユネスコ、富山県利賀芸術公園、SCOTの資料で確認した。分析と批評はJapan.co.jpによる。表示為替レート「1米ドル=160.57円」は7月31日午前0時54分UTCの提供時刻を、日本時間の同日午前9時54分へ換算した。