新曲とツアー:クレナズムは8月5日、「PRISM」をデジタル配信した。ワンマンツアー「冬夏青青」は11月12日の福岡・LIVE HOUSE OP’sで開幕し、20日に東京・新代田FEVER、12月12日に台北・Billboard Live TAIPEIで昼夜2公演、25日に大阪・心斎橋Pangeaで締めくくる。日程・販売状況は変わり得るため、遠征前にバンドと会場の公式情報を確認したい。

プリズムは光を発明しない。白い光が最初から一つではなかったことを明らかにする。少し傾ければ、一緒に進んできた色が分かれて現れる。

クレナズムの新曲には、よく似合う題名だ。水曜に配信された「PRISM」は、一つの夏の記憶を、波しぶき、陽炎、橙色の夕暮れ、胸にしまった感情、暦が進んでも薄れない恋へ分光する。発表資料は、バンドらしい透明感、ポップの疾走、シューゲイズの密度を併せ持つサマーチューンと説明する。

曲は転換点にも置かれた。ボーカル・ギターの萌映、ギターのけんじろう、ベースのまこと、ドラムのしゅうたは、福岡、東京、台北、大阪を巡る冬のワンマンツアーへ新曲を持っていく。2018年に福岡の大学仲間が組んだバンドにとって、これは海外公演を一件足しただけではない。台湾が、音楽の暮らす定期的な部屋になった証拠だ。

8月5日「PRISM」デジタル配信日
4都市福岡、東京、台北、大阪
台北2公演12月12日午後4時・7時開演
2018年から大学仲間4人が福岡で結成

「PRISM」が留めようとするもの

萌映は、クレナズムらしい透明なバンドサウンドへ夏のきらめきと切なさを詰め、海と夕暮れの情景を、聴く人それぞれの「忘れられない夏の記憶」へ重ねてほしいと述べる。販促上の作り手コメントではあるが、曲の感情装置をよく示す。歌詞が実在した一つの恋を記録しなくても、各人の過去が異なる色へ分ける。

題名は、層を重ねるバンドにも適切だ。シューゲイズのギターは、弦を一回弾いた清音だけでは聞こえない。歪み、残響、遅延、揺らぎ、フィードバックが音の立ち上がりを雲にする。ベースとドラムが雲へ重さと方向を与え、声は上から支配するより質感の中へ入る。

クレナズムの違いは、歌を読めるまま残す意志にある。公式プロフィールは、シューゲイズサウンドとPOPSの融合と表現する。初期の評は轟音の中の「シュガーポップ」を聴き、後の作品は打ち込みと広い音色を加えた。「PRISM」は発表によれば、霞んだ輪郭を保ちながら、夏の開放と疾走を強くした。

均衡は簡単ではない。空気感が多すぎれば旋律は溶ける。磨きすぎればギターは普通のポップへ色を塗る飾りになる。クレナズムの中心技術は、ノイズを記憶のように振る舞わせることだ。外縁はぼやけ、中心だけが痛いほど鮮明になる。

プリズムは光を色へ分ける。クレナズムの方法は逆だ。4人、歪み、ポップの旋律を、一筋の感情として到着させる。

昼と夜の間に留まる名前

culenasmは「暮れなずむ」をローマ字化した名だ。太陽が沈んでも、闇がまだ空を覆い切らない残光の時間。ほとんど宣言文のような名前である。昼から夜、甘さから摩擦、記憶の夏から近づく冬へ、固定した分類より移行に関心を持つ音楽だ。

4人は福岡の大学で出会い、2018年5月に結成した。初期の取材によると、まことが萌映へ「普通の人生を送ってほしくない」と結成を持ちかけ、音楽サークルのけんじろう、しゅうたを誘った。結成3回目のライブで、りんご音楽祭のオーディションを通過した。ただし早い結果が、その後の地道な仕事を消したわけではない。地元公演、サーキット、限定盤、動画、都市間の移動が続いた。

2019年7月、両A面の初シングル「花弁/いつかの今頃」を発売。同年12月、会場限定の初作品に続く2枚目のミニアルバム『In Your Fragrance』を出した。初期インタビューに挙がる影響源は、The Jesus and Mary Chainから宇多田ヒカル、BUMP OF CHICKENまで広い。最大音量の場面でもJ-POPの構造を拒まない理由が見える。

4枚のミニアルバムを経て、2022年11月に初フルアルバム『日々は季節をめくって』。2023年に『Whisper of the heart』、2025年5月に2枚目のフル『a beautiful days』を発表した。2026年の「心火」「夏の残像」「PRISM」は、火種、残像、季節の残りを繰り返し扱う。

節目変化
2018年福岡で結成大学仲間4人が地元のライブ単位を作る
2019年初シングルと『In Your Fragrance』初期のシューゲイズ・ポップが全国サーキットへ
2020年台湾フェスとコロナ禍海外の可能性が現れる一方、ライブハウスが危機へ
2022年初フルアルバム4枚のミニアルバムを長編へ集約
2024年5周年ツアーが台北へ台湾が反復するワンマン市場になる
2026年「PRISM」と「冬夏青青」4都市ワンマンが台北を回路の一部に置く

日本のポップで組み直されたシューゲイズ

「シューゲイズ」は1980年代末、英国音楽誌がやや嘲笑的に使った呼称から始まった。ギタリストが演奏中、足元の多数のエフェクターを見つめているように見えたからだ。My Bloody Valentine、Slowdive、Rideなどは、英雄的なギターソロを音の塊へ置き換えた。攻撃というより天候に感じる大音量だった。

日本は型をそのまま輸入しなかった。1990~2000年代、Coaltar of the Deepers、Luminous Orange、cruyff in the bedroomなどが密なギターをメタル、電子音、日本的旋律へ曲げた。後にきのこ帝国、揺らぎなどが、閉じた英国の一時代ではなく、変形できる東アジアの言語として新しい聴き手へ届けた。

クレナズムはその後史に属するが、ラベルに閉じ込められない。ドラムは漂うだけでなく前進し、フックは早く現れる。萌映の低めで少しかすれた声は、エフェクトの中でも人間の体温を失わない。4人が作詞作曲へ関わるため、曲ごとに重心も動く。

配信時代の移動にも適合する。珍しい英国輸入盤を置く専門店がなくても、推薦機能、字幕動画、ファンのプレイリスト、フェス映像が、福岡のバンドを台湾のドリームポップ、韓国のインディーロック、1991年の名盤の隣へ置く。ジャンルは棚の分類である以上に、プラットフォーム上の航路になった。

福岡であることの意味

日本の音楽経歴は、東京へ向かう物語になりやすい。福岡は地図を複雑にする。独自のラジオ、クラブ、フェス回路を持つ大都市でありながら、比較的狭い海の向こうにアジア大陸を望む。移動時間と想像の上で、釜山・ソウルが東京より近く感じられる場合があり、台北も短い国際線で結ばれる。

クレナズムは言葉に土地を残す。ツアーやキャンペーン名の「バリよか」は、福岡と結びつく話し言葉で、おおよそ「とてもよい」。バリが程度を強め、よかが「よい」を意味する。聴き手が広がっても、出発地を消さない小さな抵抗だ。

会場も人間の縮尺で同じ主張をする。福岡LIVE HOUSE OP’sと大阪・心斎橋Pangeaはスタンディング中心のクラブ、東京の新代田FEVERはインディーのライブ回路に根づく。地域差を標準化するアリーナではない。ペダルを踏み替える手元ならぬ足元が見え、アンプが空気を押す音が聞こえ、4人が部屋を解く過程が分かる。

11月12日に地元で始まり、クリスマスの大阪で終わる日程にも物語がある。東京は重要だが、起点でも結末でもない。台北は国内日程の間へ、外国の飾りではなく完全なワンマン会場として入る。

台湾は土壇場で足されたのではない

クレナズムと台湾の関係は、少なくとも2020年まで遡る。当時の報道は台湾フェス「意識不能招待所」へヘッドライナーとして出演したと記録する。時機は厳しかった。海外の可能性が見えたところで、コロナ禍が会場と国境を閉じた。バンドは福岡のライブハウスを支える「Make with music」へ参加した。海外経歴も、小さな地元の部屋が生き残らなければ成立しない。

2024年、航路が本格的に戻る。5周年ツアーは福岡で始まり、6月15日に台北・樂悠悠之口で終えた。12月の再訪を販売した台湾側ページは、6月公演が2公演へ増え、両方完売したと説明する。12月14日は、台北インディーロックの重要会場The Wallへ移った。

2026年3月28日には、空白ごっこ、Hakubiと台北SUB Liveへ戻った。その9カ月後の「冬夏青青」は、クレナズム単独でBillboard Live TAIPEIに立つ。食事・飲み物、着席の視線、1日2回の短い公演を基本にする会場である。

この積み重ねは、「海外」という言葉以上に重要だ。最初の海外出演は、助成付きショーケース、フェス招待、危険な実験かもしれない。繰り返し有料公演が成立するなら、興行側は観客データを持ち、ファンは曲を覚え、旅費を事業計画へ入れられる。

2020年 当時の報道が台湾フェス出演を記録。

2024年6月15日 5周年ツアーが台北・樂悠悠之口へ。後の販売資料は2公演完売と説明。

2024年12月14日 冬のワンマンでThe Wallへ再訪。

2026年3月28日 空白ごっこ、HakubiとSUB Liveで台北公演。

2026年12月12日 Billboard Live TAIPEIで単独2公演を予定。

日本・台湾インディー航路が働く理由

日本と台湾のインディー音楽家は、物理とデジタルの地域生態系で出会う。台北のライブハウス、フェス、StreetVoiceなどのサービスは、華語、台湾語、日本語、英語の曲を行き来する観客を育てた。台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシーの音楽サイトは、台湾、日本、韓国、東南アジアの音楽家を意図的に混ぜるフェスを紹介し、コロナ禍には高雄のElephant Gymと日本のtoeが遠隔共演した例を挙げる。

言語はなお重要だが、ギター音楽は翻訳前に情報を運ぶ。音色、テンポ、強弱、身体の動きは即座に届く。日本語詞の意味は、ファン翻訳、反復再生、萌映の歌い方の感情的具体性を通して後から増える。

台湾にもシューゲイズとドリームポップの系譜があり、沈んだ歌声、層状ギターという語彙を理解するバンドと興行者がいる。クレナズムは異国の珍品でも、現地音楽の完全な複製でもなく、「違いが読める」状態で到着する。

距離は比較的短いが、「近い」は「簡単」ではない。楽器と物販は国境を越える。興行者は就労、税、精算、技術仕様を調整する。繁体字で告知し、台湾ドルで価格を付け、遅延を吸収する。4人組には、大手アリーナ公演ほど余裕がない。

Billboard Live TAIPEIの中で

12月12日の会場は、音楽の受け取られ方を変える。Billboard Live TAIPEIは台北市信義区松寿路12号7階。公式案内は第1部を午後3時開場・4時開演、第2部を午後6時開場・7時開演とする。

座席区分、テーブルサービス、2部制は、クレナズムを通常の地下ライブハウスの圧縮から離す。萌映の声の粒、クリーンギターが飽和し始める点、残響の下のベースなど、細部は聞こえやすくなるかもしれない。一方、集団音量のための音楽が、着席客の前で危うさを保てるかも試される。

2公演には別の芸術課題がある。綿密に組んだ一つの進行を再演するか、両方見るファンへ曲を変えるか、昼と夜で強度を変えるか。公式ページは時間と販売方法を確認するが、別々のセットリストは示していない。異なる内容になると断定すれば推測だ。

確認済みツアー日程
  • 11月12日・福岡:LIVE HOUSE OP’s。
  • 11月20日・東京:新代田FEVER。
  • 12月12日・台北:Billboard Live TAIPEI。午後4時、7時の2公演。
  • 12月25日・大阪:心斎橋Pangea。

夏を一曲でなくキャンペーンにする

「PRISM」は8月31日までの「culenasm BARIYOKA SUMMER CAMPAIGN 2026」の中心にある。夏グッズ、メンバーの夏休みVlog、公式ストリーミング・プレイリストを展開する。期限は代表曲の一つ「8月31日」と意図的につながる。

現代インディー音楽の経済が縮図になっている。配信は録音を世界で聴けるようにするが、一曲だけで事業が成り立つことは少ない。物販、動画、会員、チケット、継続的な注意が曲を囲む。曲が感情の中心で、キャンペーンはその近くに留まる理由を作る。

すべての季節をコンテンツへ変える危険もある。郷愁が暦上の資産になり、親密さが在庫になる。クレナズムの防御は具体性だ。福岡の方言、過去作「香椎ブルー」の香椎浜、「8月31日」という日付、「心火」で萌映が手掛けたアート。記憶は、いつどこで起きたかを残すほど作り物に見えにくい。

「冬夏青青」――冬も夏も青い

ツアー副題の冬夏青青は「とうかせいせい」と読む。冬も夏も緑を保つ常緑樹を指し、転じて、状況が変わっても曲げない信念を表す四字熟語だ。バンドの告知は、その約束を個人的に言い換える。変わらない信念を持って、あなたに会いに行く。

名前は意図的に季節を結ぶ。「PRISM」は夏に満ちるが、冬ツアーは11月に始まる。クレナズムが繰り返す主題は、季節が暦に従わないことだ。夏は残像として生き、停滞した暑さに小さな心火が残り、太陽が沈んだ後も空は暮れなずむ。

バンド自体も常緑の持続を試す段階にある。8年あれば、大学仲間は仕事、家賃、健康、人間関係、業界の失望、ツアー労働の偏りに出会う。「変わらない信念」は2019年の音を永久に繰り返す意味ではない。生きたバンドは、始めた理由を失わず、方法を変えることで同じ自分でいる。

このツアーが測るもの

重要な数字はSNS表示回数だけではない。夏キャンペーンが終わった後も「PRISM」へ戻る人がいるか。台北2公演を満たせるか。再訪のたび台湾ファンの購入は早まるか。12月公演が、一回の格の高い会場出演でなく、次の独立した予約へつながるか。

芸術的な測定もある。スタジオのシューゲイズは、音が建築になるまでトラックを重ねられる。舞台の4人は、限られた手、ペダル、呼吸で建築を組み直す。よいライブは音源を完全に複製するのではない。録音のどの部分が荷重を支えていたかを明らかにする。

日本・台湾航路を日常化しながら、凡庸にしない試験でもある。持続可能な回路には反復が必要だが、各都市はなお自分へ話しかけられたと感じなければならない。台北での福岡弁の挨拶、繁体字の言葉、変えた選曲、過去会場の記憶が、物流を再び関係へ変える。

曲が終わった後の光

クレナズムは、すぐ夜になろうとしない空から名前を取った。「PRISM」は、夏が終わっても終わろうとしない夏を歌う。「冬夏青青」は、色を失おうとしない葉を呼ぶ。三つの像で、持続は派手な勝利ではない。条件がもう消えるべきだと言った後に、何かが残ることだ。

シューゲイズとポップの組み合わせが移動する理由も、そこにあるのかもしれない。ポップは聴き手が持ち帰れる形を与える。ノイズは、その形が距離を通って摩耗した記憶のように感じさせる。台北で日本語の言葉をすぐ理解できなくても、恋しさは辞書を待たない。

12月12日、福岡で生まれた橙色の夏夕暮れの曲が、台北の冬に2回鳴る。暦は季節が終わったと言う。クレナズムの賭けが成功すれば、アンプは古い光をもう一度、色へ分ける。

取材メモ・主要資料

楽曲説明と作り手コメントはバンド・配信元の発表として扱った。ツアー日程と台北の開演時刻はバンド、報道、会場で照合した。過去の完売情報は興行側の説明で、独立監査は確認できなかった。