約640m白良浜は白砂が弧を描く南紀白浜の象徴。短いのに存在感は主役級。
日本三古湯白浜温泉は有馬、道後と並ぶ古い湯として知られる。
関西の夏大阪・京都から「海と温泉」を一度に取りに行く定番リゾート。
海鮮天国魚市場、寿司、海辺カフェ。胃袋にも水着が必要かもしれない。

白浜は、名前からして夏に強い

和歌山県白浜町は、ずるい。まず名前が「白浜」である。これだけで、夏の観光ポスターの半分は完成している。しかも中心には白良浜がある。白い砂、青い海、ヤシの木、ホテル、浴衣、温泉、海鮮。人間が「関西から週末に逃げたい」と思ったときに必要なものを、かなりの確率で揃えてくる。

白良浜は、和歌山県の公式観光情報で約640メートルの白砂リゾートとして紹介され、ハワイのワイキキビーチと姉妹浜の関係にあるとされる。日本政府観光局も、白砂が湾に沿って弧を描く白良浜を、関西を代表するビーチとして紹介している。ここまで言われると、砂のほうも少し照れているかもしれない。

ただし、白浜の魅力は「きれいな海」だけでは終わらない。ここは古い温泉地でもある。白浜温泉は、有馬温泉、道後温泉と並ぶ日本三古湯の一つとして語られてきた。海に入って、砂を落として、温泉に沈む。これは旅というより、体を使った三段論法である。

白浜では、水着と浴衣が同じ旅行カバンに入る。これができる町は、だいたい人生に対して前向きである。

白砂のリゾートになるまで

南紀白浜の歴史は、ただの海水浴場の歴史ではない。古代から温泉地として知られ、紀伊半島をめぐる旅や信仰、湯治、海の交通とともに発展してきた。平安の貴族が「白い砂がすてきですね」と言ったかどうかは別として、白い海辺は昔から人の目を引いていた。

近代に入ると、白浜は関西圏の保養地として形を整え始める。鉄道、バス、宿泊施設、温泉旅館、海水浴文化。大阪や京都の人々にとって、白浜は「遠すぎない非日常」になった。仕事を終え、列車に乗り、海を見て、温泉に入る。翌朝、旅館の朝食で干物を食べながら「明日から頑張ろう」と言う。もちろん月曜の朝にはその決意の半分くらいが蒸発する。

戦後の高度成長期には、白浜は団体旅行や新婚旅行、家族旅行の目的地として存在感を増した。海の前にホテルが並び、夏には砂浜が人で埋まり、温泉街には土産物の紙袋が揺れた。白浜のリゾート史は、関西人の「せっかくなら海も温泉も」という合理的かつ欲張りな幸福論の歴史でもある。

白良浜:写真のために存在しているような砂浜

白良浜に着くと、まず砂の白さに目が行く。青い海との対比がはっきりしていて、スマートフォンを取り出す速度が普段より少し速くなる。海を撮る。砂を撮る。足元を撮る。意味もなく空を撮る。旅先では、人間は急に写真家になる。帰宅後に見返すと、同じ海が37枚ある。

白良浜は湾状の地形で、宿や飲食店からのアクセスがよい。ホテルを出て数分で海、海から戻って数分で風呂。この距離感が白浜の強みだ。子ども連れなら移動が短いだけで勝ち。大人だけの旅でも、海のあとに長距離移動しなくてよいのは大きい。濡れた髪でタクシーを探す旅は、あまり詩にならない。

夏はもちろん混む。関西の人が「白浜行こか」と考える時期は、かなり重なる。宿は早めに押さえたい。海水浴シーズンは、日差し、熱中症、クラゲ、台風、駐車場、渋滞を確認する。白砂は美しいが、真夏の正午には足裏に対してかなり強気である。

温泉:海を見ながら自分を煮る幸せ

白浜温泉の面白さは、海の町の温泉であることだ。山の温泉もよい。雪見風呂もよい。しかし白浜では、太平洋を見ながら湯に入るという、なかなか贅沢な矛盾が成立する。海で冷やし、湯で温める。人間は一日で何度も調理される。

白浜には旅館やホテルの大浴場のほか、外湯や足湯もある。白良浜に近い宿に泊まれば、朝の海、昼の海、夕方の海、夜の湯けむりをつなげて楽しめる。海が日程の中心にあり、温泉が句読点になる。これが白浜のリズムだ。

関西の夏文化として見ると、白浜は少し懐かしい。親子三代で来る家族、学生旅行、カップル、会社員の小旅行、海辺で急に元気になる子ども、朝食バイキングでなぜか取りすぎる大人。リゾートでありながら、生活感がある。そこがよい。

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泊まる:海、温泉、朝食の三角形

白浜の宿選びは、何を優先するかで決める。白良浜に近いことを最優先するなら、ビーチ前の宿が強い。温泉の眺めや館内施設を重視するなら、少し高台や海沿いの大型ホテルもよい。子ども連れなら、移動距離と食事の分かりやすさが重要だ。恋人同士なら、夕日と露天風呂がかなりの仕事をしてくれる。ただし旅館の浴衣姿は、誰にでも似合うわけではない。似合わなくても、それが旅である。

泊まる:Nanki-Shirahama Marriott Hotel
住所:2428 Shirahama-cho, Nishimuro-gun, Wakayama 649-2211
電話:+81-739-43-2600
公式サイト:https://www.marriott.com/en-us/hotels/osana-nanki-shirahama-marriott-hotel/overview/
太平洋を望む客室、温泉、リゾートホテルらしい安定感。白浜を初めて訪れる人にも使いやすい。
泊まる:白良荘グランドホテル / Shiraraso Grand Hotel
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町868
電話:0739-43-0100
公式サイト:https://www.shiraraso.co.jp/
白良浜まで徒歩30秒と案内する、砂浜の目の前の老舗ホテル。海が近すぎて、朝から「もう今日は勝ち」と思える。
泊まる:SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町1821
電話:0739-43-1000
公式サイト:https://www.keyterrace.co.jp/en/
海沿いの大型リゾート。足湯、温泉、レストラン、夕景。海を見ながら「自分はいま休暇中です」と体に言い聞かせたい人向け。
泊まる:紀州・白浜温泉むさし / Kishu Shirahama Onsen Musashi
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町868
電話:0739-43-0634
公式サイト:https://www.yado-musashi.co.jp/en/
白浜温泉の旅館らしさを味わうなら候補。畳、湯、海、食事。旅館に泊まると、なぜか廊下を少し静かに歩きたくなる。

食べる:海の町で魚を食べないと、海が少しすねる

白浜で食べるなら、まず魚介を考えたい。和歌山は黒潮の影響を受ける海の恵みがあり、マグロ、クエ、しらす、海鮮丼、寿司、干物など、旅の胃袋をかなり忙しくしてくる。海を見て、魚を食べ、温泉に入る。ここまで来ると、体のほうが「次は何をすればいいですか」と旅程に従順になる。

食べる:フィッシャーマンズ・ワーフ白浜 / Fisherman’s Wharf Shirahama
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町1667-22
電話:0739-43-1700
公式サイト:https://fw-sh.com/
魚市場と食事処を合わせた海辺の便利スポット。海鮮丼、刺身、買い物。旅行者の「とりあえず魚が食べたい」を受け止めてくれる。
食べる:とれとれ市場 南紀白浜 / Toretore Market
住所:〒649-2201 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2521
電話:0739-42-1010
公式サイト:https://toretore.com/en/
西日本最大級の海鮮市場として知られる大型施設。寿司、海鮮丼、土産、マグロ解体ショー。胃袋がテーマパークに行く感じ。
食べる:Kou Sushi / 幸鮨
住所:和歌山県西牟婁郡白浜町
電話:0739-42-4027
公式サイト:http://www.kouzushi.net/
地魚を楽しめる白浜の寿司店として知られる。人気店なので予約と営業確認推奨。白浜で寿司を食べると、海を見た記憶が口の中で再上映される。
おやつ:福菱 Kagerou Café
住所:〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町1279-3
電話:0739-42-3129
公式サイト:https://fukubishi.co.jp/en/
紀州銘菓「かげろう」で知られる福菱のカフェ。海辺の甘い休憩に向く。旅行中の甘いものは、ほぼ必要経費である。

白浜の見どころ:砂浜だけで帰るのはもったいない

白浜には、白良浜以外にも景勝地が多い。円月島は夕日の名所として知られ、岩の中央にあいた丸い穴に夕日が重なる時期には、多くの人がカメラを構える。千畳敷は、海に向かって広がる岩畳のような地形。三段壁は、断崖と洞窟の迫力がある。白砂で笑い、温泉でとろけ、断崖で少し真顔になる。観光の表情筋が忙しい。

家族連れなら、アドベンチャーワールドも大きな目的地になる。パンダの印象が強いが、動物園、水族館、遊園地の要素を合わせ持つ施設で、白浜が単なる海水浴場からファミリーリゾートへ広がった理由の一つでもある。子どもは動物を見る。大人は歩数計を見る。そして夜は全員よく眠る。

アクセス:関西からの「ちょっと遠いけど行ける」距離

白浜は大阪から列車や車で行ける。JRの特急くろしおを使えば、新大阪・天王寺方面から白浜駅へアクセスできる。飛行機なら南紀白浜空港もある。東京から飛んでくると、海が急に近い。飛行機を降りて、短時間で白浜エリアへ入れるのはかなり便利だ。

町内の移動は、バス、タクシー、レンタカーを組み合わせる。白良浜周辺だけなら歩けるが、千畳敷、三段壁、とれとれ市場、アドベンチャーワールドを回るなら車が楽。夏は駐車場と渋滞を早めに考える。ビーチリゾートでは、最初に混むのは海ではなく、だいたい駐車場である。

白浜を楽しむコツ

週末旅行の実用メモ
  • 宿は早めに予約する。夏休み、連休、花火・イベント日は特に早い。
  • 海水浴は天候、波、台風情報、遊泳可否を当日に確認する。
  • 白砂は美しいが、真夏は熱い。サンダルは飾りではなく防具。
  • 温泉に入る予定なら、タオル、着替え、日焼け後の肌ケアを忘れない。
  • 夕日は円月島、朝は白良浜、昼は海鮮。胃袋とカメラの充電を忘れずに。

関西の夏が、ここで少し丸くなる

白浜のよさは、派手すぎないことだ。もちろん白良浜は美しい。ホテルもあり、温泉もあり、景勝地もある。しかし、どこか家庭的で、少し懐かしい。祖父母と来ても、子どもと来ても、友人と来ても、恋人と来ても成立する。日本のリゾートには、海外の高級ビーチとは違う強みがある。それは、海から戻ったあとに浴衣で館内を歩ける気楽さであり、夕食で白いご飯が出てくる安心感であり、売店でなぜか梅干しを買ってしまう現実感である。

白浜は、海と温泉のあいだにある町だ。泳ぐ。食べる。浸かる。寝る。翌朝、また海を見る。これ以上、夏の予定に何が必要だろう。しいて言えば、日焼け止めと、少し大きめの胃袋である。

出典・参考

この記事は、和歌山県公式観光情報、日本政府観光局、各宿泊施設・飲食施設の公式情報、公開観光資料をもとに構成した。営業日、料金、予約条件、電話番号は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで確認したい。