神奈川県平塚市の海岸で9月13日午後2時から、ビーチバレーボール選手と市民が参加する「LOVE OCEANビーチクリーンin平塚」が開かれる予定だ。会場は「湘南ベルマーレひらつかビーチパーク by shonanzoen」。主催する特例認定NPO法人リビエラ未来創りプロジェクトが9月7日に発表した。

同じ砂浜では9月10日から13日まで「ジャパンビーチバレーボールツアー2026 第6戦 平塚大会 荒井商事杯」が開催される。13日は午前9時から準決勝、決勝、表彰式が組まれ、清掃はその日の午後に始まる。砂に飛び込み、風を読み、地面の状態を身体で感じる競技の担い手が、試合会場を市民と歩いてごみを拾う。企画の力は、その分かりやすい連続性にある。

9月13日午後2時開始予定
参加無料事前申込制
5年目主催者とJVAの連携
2017–18年平塚海岸の県調査

最終日には、もう一つのフィールドがある

主催者の案内では、受付・集合は午後1時50分。運営ボランティアは午後1時30分集合とされる。トングとごみ袋は実行委員会が用意し、参加者は動きやすい服装と飲み物を準備する。子ども、学生、社会人、親子、企業・団体、観光客を含め「どなたでも」を対象に掲げ、参加費は無料。ただし事前申し込みが必要だ。

ツアー大会は男女各16チームで争われる。競技の主催は公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)と一般社団法人日本ビーチバレーボール連盟。清掃の主催はリビエラ未来創りプロジェクトで、イベントの運営主体は大会そのものと同一ではない。スポーツ大会に付随する環境活動を評価する際、誰が何を決め、何を報告するのかを分けて読む必要がある。

参加選手の名簿は、まだ空欄だ

9月7日の発表は、現役のビーチバレーボール選手とJVAビーチバレーボール本部長の川合庶が参加する予定だとする。一方、個々の選手名は公表していない。大会に出場する選手や平塚を拠点とする選手を、そのまま清掃参加者とみなすことはできない。

したがって、本稿は「選手が参加した」と過去形では報じない。天候、大会進行、選手の状態によって予定が変わる可能性もある。参加人数、実際の選手名、回収量、回収物の内訳も、催事前の現時点では確定していない。予告記事と結果記事の境界を守ることは、イベントを小さく扱うことではなく、スポーツ選手の名前を宣伝材料として先取りしないための基本である。

平塚は、海岸を競技場にしてきた

平塚市によれば、このビーチパークにはビーチバレー、ビーチサッカー、ビーチフットボールの施設とボードウォークがあり、全国レベルの大会が例年開かれる。用具の無料貸し出しもあり、観戦するだけでなく市民が砂上競技へ入れる場所として設計されている。市は2014年度にネーミングライツを導入し、現在の愛称を使用している。

平塚大会の公式サイトは、地元企業による協賛が2015年に始まり、2016年から国内ツアーへ正式に組み込まれたと説明する。2020年は新型コロナウイルスの影響でツアーが中止・変則開催となったが、その後も大会は続いた。海岸は自然環境であると同時に、競技施設、観光資源、市民の公共空間でもある。だから清掃は会場整備以上の意味を持つ。競技を成立させる足元を、地域の共有財産として見る行為だからだ。

拾えるごみと、拾えないごみ

海岸清掃が直接取り除けるのは、砂浜に残る容器、たばこの吸い殻、漁具片、破片化する前のプラスチックなどだ。主催者は過去の活動で、こうした物を確認したとしている。ただし、これは主催者による観察で、今回の平塚会場における組成調査ではない。

一方、5ミリ以下のマイクロプラスチックは目視しにくく、通常のトングと袋だけで系統的に除去することは難しい。ごみを拾った袋の数を、海洋プラスチック問題が解決した量と読み替えてはならない。清掃の即時的な効果は流出し得るごみをその場から除くことにあり、教育的な効果は、何がどこにたまり、どこから来たのかを参加者が考える機会にある。

海岸清掃は、海へ出たごみを拾う「最後の網」になれる。しかし、流出を減らす仕組みそのものの代わりにはならない。

高浜台で見つかった小さなプラスチック

会場所在地の高浜台周辺は、マイクロプラスチック研究の抽象的な舞台ではない。神奈川県環境科学センターは2017年5月から2018年5月まで、相模湾沿岸4地点と東京湾側1地点を延べ15回調べた。満潮線に40センチ四方の区画を設け、砂の表面から漂着物を採取する方法だった。

県の整理では、高浜台と鵠沼ではポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンという主要材質がそろって見つかった。非定常的な大量漂着を除いた春季の2年平均として示された高浜台の総漂着数は1平方メートル当たり約1900個だった。これは2017~18年の特定手法による値で、2026年9月の海岸状態を示す数字ではない。それでも、目に見える散乱ごみの先に、細片化し、砂や潮流に運ばれる問題があることを地域の測定が示している。

県は高浜台で、プラスチック製品の原料となる樹脂ペレットも採取している。色や形から発生源を断定することはできず、漂着量も季節、河川流量、風、台風、清掃時期に左右される。だからこそ、清掃時に品目、個数、重量、範囲、時間を記録すれば、単なる「袋の山」より比較可能な情報になる。しかし今回の発表には、統一した記録方法や数値目標は示されていない。

5年の連携は、測る段階へ進めるか

リビエラ未来創りプロジェクトとJVAの連携は今年で5年目とされる。主催者は三浦から湯河原まで約110キロの海岸を「湘南コースト」と呼び、13の海岸をつなぐ活動としてLOVE OCEANを展開している。この呼称、距離、活動範囲は同プロジェクトによる構想であり、行政上の地域区分ではない。

継続には価値がある。選手の参加はファンや子どもの注意を環境へ向け、競技団体は通常の清掃団体とは異なる層へ届く。だが5年目なら、開催回数や参加者写真だけでなく、回収物の標準分類、参加者の再参加率、使い捨て資材の削減、大会運営で発生する廃棄物なども問える。広報上の「共創」を公共的な成果へ変えるのは、検証可能な記録である。

証明書は入口であって、学びそのものではない

主催者は希望者にボランティア証明書を発行する予定で、中高大学生の探究学習、就職活動、企業のCSRなどへの活用を案内している。参加のきっかけを増やす工夫としては理解できる。ただし、証明書は活動への参加を示すもので、海洋環境への理解や具体的な成果を自動的に証明するものではない。

教育として厚みを持たせるには、拾う前後が要る。なぜ満潮線にごみが集まるのか。人工芝片、容器包装、漁具、樹脂ペレットをどう見分けるのか。地域の河川と相模湾はどうつながるのか。分別後のごみはどこへ行くのか。選手が競技と砂浜の関係を語り、研究者や自治体が観察方法と流出経路を説明できれば、身体を動かす一時間が継続的な問いへ変わる。

本当の試合は、海へ出る前に始まる

日本では2009年に海岸漂着物処理推進法が成立し、2018年の改正で漂流ごみ、海底ごみ、マイクロプラスチックへの対応が明記された。政府は2019年の海洋プラスチックごみ対策アクションプランで、陸域での回収、ごみの適正処理、ポイ捨てや非意図的な流出の防止、海洋に流出したごみの回収、代替素材、実態把握を組み合わせる方針を示した。

この順序は重要だ。海岸清掃は必要だが、海へ届いた後の対処である。街路や河川からの流出を減らすこと、大会や店舗で使い捨てを抑えること、製造・物流段階で樹脂原料を漏らさないこと、回収しやすい製品をつくることと結びついて初めて、袋の中身は翌年減り得る。

Japan.co.jpの分析では、平塚の企画が持つ最大の可能性は、著名な選手がごみを拾う一枚の写真ではない。ファン、子ども、競技団体、企業、自治体を同じ砂浜へ集め、スポーツを支える環境を誰がどう守るかという責任を可視化することだ。9月13日に問われるのは、何袋集めたかだけではない。大会が終わった後も、観察、削減、再参加を続ける仕組みを残せるかである。

参加前に確認したいこと
  • 日時:2026年9月13日(日)午後2時開始予定。受付・集合は午後1時50分。
  • 場所:湘南ベルマーレひらつかビーチパーク by shonanzoen。主催者の青い旗が集合目印。
  • 参加:無料、事前申込制。トングとごみ袋は主催側が用意。飲み物と動きやすい服装が必要。
  • 選手:現役選手が参加予定だが、9月7日発表時点で個人名は未公表。
  • 注意:天候や大会進行などで予定が変わり得る。最新情報は主催者ページで確認を。
取材・参照資料

編集方針:催事は9月9日時点で未開催のため、予定と実績を分けた。主催者の活動説明は主催者見解として帰属させ、地域の環境状況は神奈川県の一次資料で確認した。個別選手の参加、清掃成果、参加人数は確認できないため記載していない。