地域の足をどう守るか。日建設計などが進める「Community Driveプロジェクト」は、移動の課題を地域で話し合い、小さな実験を続ける担い手づくりを広げている。日建設計は9月10日、富山県黒部市、広島県福山市に続き、千葉県市原市、兵庫県豊岡市、島根県松江市で展開すると発表した。[1]
2024年7月に一般社団法人SMARTふくしラボ、株式会社日建設計、株式会社図解総研が始めた取り組みだ。[1] 新たなバス路線を5市で一斉に開設するという発表ではなく、住民や事業者、行政が地域の移動を支える体制づくりが中心となる。
運転だけではない「担い手」の役割
プロジェクトの公式説明では、対話、調査、課題の可視化、小さな実験、継続のための組織づくりを進める。住民の困りごとを集めるだけでなく、実際の移動状況と照らし合わせ、試せる取り組みを選ぶという考え方だ。[2]
豊岡スマートコミュニティ推進機構は、「コミュニティ・ドライバー」を車の運転者に限らない役割と説明する。買い物を助ける人、外出を支える人、困りごとを聞いて関係者をつなぐ人も含まれる。[3] 名称から、運転手の募集や養成だけを想像すると、事業の狙いを捉え損ねる。
豊岡では、すでにある助け合いを探す
同機構の開催報告によると、8月24日の豊岡ミーティングには35人以上が参加した。ワークショップでは、身近な移動を支える活動や助け合いが120件以上挙がったという。今後、移動の課題と重ねて整理し、関係者の話し合いに使う方針だ。[3]
この件数は参加者が挙げた情報の数であり、新設された交通サービスの数や、移動できるようになった住民の数ではない。地域に何があるかを把握する作業から、実際の改善につなげる段階が残る。
地域ごとに異なる進め方
日建設計の発表では、黒部は継続的な運営組織づくり、福山は住民が小さな実証実験に取り組む段階に進む。[1] 松江の公式地域ページは、有限会社いやタクシーを主催者として掲げ、8月20日のキックオフを記録している。[4] 同じ手法を使っても、地域の担い手や事業の進み具合は一様ではない。
事務局の5月21日付案内は、国土交通省の「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」で、2026年度に5自治体での取り組みが採択されたとしている。[5] 採択は事業を進める支えとなるが、それ自体が交通改善の成果を示すものではない。
実験の後も続く仕組みにできるか
編集部が注目するのは、話し合いで生まれた案を誰が動かし、費用や役割をどう分担するかだ。交通事業者、福祉関係者、地元企業が関わる際にも、参加者数だけでなく、実際に利用された回数や、外出しにくかった人に届いたかを確かめたい。
建築・都市の設計に携わる企業が地域の合意形成を支える点に、この取り組みの特徴がある。広がった活動を、無理なく続けられる移動の仕組みに変えられるかが、次の評価点となる。

