始まったこと、まだ始まっていないこと:「Rakuten AI for Desktop」は7月29日、日本国内の対象HP製Windows PCで法人向け提供を開始した。個人向けは10月以降の予定。「Desktop」はアプリ名であり、据え置き型パソコンだけを意味しない。対象からゲーミングPC、シンクライアント、一部ワークステーションを除くが、端末内モードはアプリが対応を確認したAI PCでのみ導入できる。両社は、完全な対応機種表、必要なNPU・メモリー仕様、端末内モデルの比較試験、詳細な振り分け規則、最終的な利用料金を公表していない。発表会取材によると、当面は無料で、料金は検討中である。

日本のパソコンは昔から、日本語を「どこに置くか」を決めなければならなかった。

1980年代初頭、業務用の機械が何千もの漢字を扱うには、十分な記憶容量、処理能力、表示回路が必要だった。NECのPC-9801は、日本市場に合わせたシステムの内部へ日本語処理を組み込んだ。後にDOS/VとWindowsが、より多くの処理を国際互換ハードウェア上のソフトウェアへ移した。ROMか、画像回路か、OSか。一見技術的な選択が、どの機械、ソフト、企業が日本のコンピューティングへ入れるかを左右した。

楽天と日本HPは、その古い設計論争を新しい形で開き直した。今度の問題は一文字をどう描くかではない。一つの文章をどこで理解し、機密文書をどこで要約し、旅行者の意図をどこで読み、買い物の希望をどこで商取引へ変えるかである。

Rakuten AI for Desktopは一つのアプリで二つの答えを用意する。小型の日本語モデルは、ネット接続なしでHP製PC上の仕事を処理する。クラウドモードは、より幅広い能力と、楽天市場、楽天トラベル、楽天モバイル、楽天ミュージック、楽天PointClubなど、70を超えるサービスを持つ経済圏へつながる。

だから最も重要な機能は、チャット画面でも浮遊するアイコンでもない。二つのモードの境界である。ハイブリッドAI PCとは、考える場所が二つあり、その間の経路に経済、プライバシー、セキュリティの意味が付く機械なのだ。

7月29日日本の法人向け提供開始日
70億端末内Rakuten AI 7B系モデルのパラメータ数
70超楽天エコシステムのサービス数
58.8%2026年政府調査での日本の個人生成AI利用率

一つの画面、二種類の知能

オンデバイスモードは「Rakuten AI 7B ONNX」を動かす。楽天の70億パラメータモデルを継続学習、ファインチューニング、量子化し、HP AI PC向けに最適化した特別版だ。クラウド接続なしで、文章の作成・書き直し、翻訳、要約という三つの仕事を行う。両社は低遅延、オフラインでの継続利用、クラウド費用の削減、選択した文書をPCにとどめるプライバシー上の利点を強調する。

クラウドモードは範囲が広い。AI検索、画像・短い動画の生成、ボイスメモ、コーディング支援、問題解決を提供する。楽天市場の商品検索と提案、楽天トラベルの宿泊検索と予約支援、楽天ミュージックの検索、楽天モバイルの案内、ポイント残高確認、楽天GORAのゴルフ場検索にもつながる。

さらに、取引以外の会話相手も並ぶ。アニメ・マンガの話し相手、英語コーチ、料理パートナー、人生・キャリアのコーチ、ファッションスタイリスト、健康支援、占い、ペット飼育の一般的な相談役である。この幅が戦略的な野心を示す。楽天が目指すのは一つの事務ツールではない。仕事、娯楽、商取引へ入る「会話の玄関」を占めることだ。

インターフェースは、その玄関を身近にする。中央のチャット画面が各エージェントへつながる。フローティングアイコンは画面上やシステムトレイに置ける。コンテキストアクションバーは、選択した文章の近くで要約、翻訳、書き直しを提案し、別のブラウザータブを開いて文章を貼り付ける動作を減らす。

有効化は、昔ながらの完全なプリインストールとは少し違う。タスクバーかスタートメニューのアイコンからサイトを開き、アプリをダウンロードして起動する。切り替えスイッチで端末内モードに対応しているか確認し、合格した機種だけが設定画面からローカル部分を導入できる。対象のHP製PCを買っても、機械が対応確認を通らなければクラウドモードだけになる。

処理する場所公表された機能境界が意味すること
HP AI PCの内部Rakuten AI 7B ONNXによる文章作成・書き直し、翻訳、要約。対応機ならオフライン利用可能。選択した内容を端末内で処理でき、ネット遅延と遠隔サービスへの送信を減らせる。
楽天のクラウド検索、画像・動画生成、音声メモ、コーディング、問題解決、コミュニティーエージェント、楽天サービス連携。広い知識と最新サービスを得る代わりに、通信、アカウント、権限、クラウド側の規約が関わる。
まだ未公表最低仕様、モデル容量、量子化の水準、文脈長、比較試験、詳細な自動振り分け方針。品質、速度、保存容量、将来どのように処理場所を選ぶかを、購入者が十分比較できない。

小さなモデルであることに意味がある

70億パラメータは巨大に聞こえる。しかし最先端のクラウドモデルと並べると小さい。楽天が2025年12月に発表したRakuten AI 3.0は、総数約7000億パラメータのMoEモデルで、一つのトークン処理に約400億を動かす。これは大規模な計算基盤に置くモデルだ。古い7B系は、圧縮すれば個人のパソコンという制約に収められる。

Rakuten AI 7Bの起点は、フランスのMistral AIが公開したMistral-7B-v0.1である。楽天は日本語と英語の選別したデータで継続学習し、基盤、指示、チャットの各モデルを作り、2024年3月にApache 2.0ライセンスで公開した。HP向けにはさらに学習、調整、量子化を行い、Rakuten AI 7B ONNXにした。

量子化は、モデル内の数値をより少ないビットで表現する。モデルを小さくし、推論に必要なメモリーと演算を減らせる一方、手法によって品質への影響が異なる。ONNXは、実行環境が複数のハードウェアへ最適化しやすい共通表現だ。MicrosoftによるとRakuten AI for DesktopはFoundry Localを使い、開発者が各社チップごとに別々の経路を作らなくても、Windows上のNPU、GPU、CPUを利用できるようにする。

日本語トークナイザーは、パラメータ数と同じほど重要だ。モデルは文章を人間のようには読まず、小さな「トークン」に分ける。楽天は、一つのトークンで以前より多くの日本語文字を表現できるよう拡張した。短いトークン列で済めば、学習と推論の費用を抑え、小さなローカルモデルを実用に近づけられる。

同時に、その歴史は慎重さも教える。楽天自身が2025年12月に示したJapanese MT-Benchでは、元のRakuten AI 7Bが4.35、AI 2.0が6.79、AI 3.0が8.88だった。試験対象も版もHP向け製品と同一ではないため、これは製品評価ではない。それでも、PCへ入る小さなモデルが、すべての難問に最適とは限らないからこそ、ハイブリッド設計が必要だと分かる。

ハイブリッドAIは、ローカルAIの失敗を認める仕組みではない。プライバシー、速度、費用、能力は、同じ場所で同時に最大にならないという現実を認める仕組みだ。

漢字ROMから端末内言語モデルへ

日本の初期PCとの共通点は、懐古以上のものだ。8ビットパソコンは、文字コードと表示に多くを必要とする業務用日本語へ十分適していなかった。NECが1982年10月に発表した16ビットのPC-9801は、日本語処理とカラー表示を備え、国内のハード・ソフト文化の中心になった。

強みは同時に境界でもあった。日本語という要求が、IBM互換世界と単純には置き換えられない国内設計を支えた。情報処理学会のコンピュータ博物館は、PC-98が漢字ROMを用いた歴史と、後にDOS/VがPC/AT互換機上で日本語表示を可能にした流れを記録する。Windows 95は、国際標準に近い機械上で日本語をソフトウェアが柔軟に扱う方向を加速した。

AI時代は、もっと高い層で同じ移動を繰り返す。世界規模で学習したクラウドモデルも日本語を話す。しかし流暢さと、ビジネスメールの圧縮された敬語、省略された主語、元号、住所の慣習、接客の期待、直訳と適訳の違いを理解することは同じではない。日本語最適化モデルは、その言語処理費用を再び機械の内側へ置こうとする。

ただし、古い歴史は安易な国産礼賛を戒める。PC-98の日本向け設計は有用だったが、最後には互換性がより重要になった。Rakuten AI 7Bもフランスの公開モデルを祖先に持ち、国際的な形式で動き、米国企業のOSと実行環境、各国企業の半導体を使う。ここでの「国産AI」は、閉じた純国産技術ではなく、日本語データ、適応技術、サービス文脈を指す。

1979年・NECが8ビットのPC-8001を発表。日本の第一次パソコンブームが広がる。

1982年・16ビットPC-9801が日本語処理とカラー表示を業務用基盤へ組み込む。

1990年代・DOS/V、続いてWindowsが、日本語PCを国際互換ハードウェアへ近づける。

1997年・楽天の前身が、従業員6人、サーバー1台、出店13店で楽天市場を始める。

2024年・楽天が日本語向けRakuten AI 7Bを公開。Microsoftが40 TOPS以上のCopilot+ PCを発表。

2025年・楽天がエージェント型AIを本格開始し、日本HPとの協業を発表。

2026年・端末内7Bモデルとクラウドエージェントを持つデスクトップ版が、HP法人向けPCで始まる。

13店舗の市場からエージェントまで

楽天は1997年、当時は疑わしく見えた考えから始まった。小さな商店でもオンライン商店街で商売を育てられるという発想である。最初の楽天市場は13店舗。2001年に楽天トラベル、2002年にポイント制度が続き、2006年には、一つの会員と共通ポイントが複数サービスを行き来させる「楽天エコシステム」の構想を掲げた。

この歴史は、エージェントが「答える」以上のことをするとき重要になる。一般的なチャットボットもホテルを推薦できる。経済圏のエージェントは、在庫の形式、ポイント制度、予約手順を理解し、一つの商業IDの中で利用者を案内できる。楽天グループは現在、EC、旅行、カード、銀行、証券、デジタルコンテンツ、携帯通信など70超の事業を持ち、会社発表では世界約21億の会員に及ぶ。

モデル開発は段階的に進んだ。2024年3月に7B系を公開し、同年12月にMoE型のRakuten AI 2.0と15億パラメータのminiを発表。2025年7月にはエージェント型Rakuten AIを本格開始し、Rakuten Linkとウェブへ入れた。買い物、生活、金融、旅行、教育、仕事、健康、娯楽を横断する玄関になることを目標にした。

2025年12月には、GENIACの支援でRakuten AI 3.0を発表した。その規模とクラウド配置は、HP上の7Bモデルと大きく異なる。二つの系統を合わせると、楽天の設計が見える。安く私的な仕事は利用者の近くへ。高価で接続された知能は管理された基盤へ。その上に商業エージェントを載せる。

デスクトップへの同梱は、技術であると同時に流通である。利用者がウェブサービスを発見し、習慣を作り、タブを固定するのを待たず、楽天はWindowsのタスクバーと選択文章の流れに場所を得る。HPは、似通ったAI PCと差別化できる日本語サービス層を得る。楽天は日本の文脈とサービスを、HPは仕事がすでに行われる場所を差し出した。

クラウド時代の後に残るHPの機械

HPの企業史は1939年、米国パロアルトのガレージから始まる。個人用パソコンよりはるかに前だ。その後、計算機、プリンター、ワークステーション、PCの代表的企業となり、2002年にコンパックを買収。2015年に分割され、HP Inc.がパーソナルシステムと印刷を、Hewlett Packard Enterpriseが企業向け基盤、ソフト、サービスを継いだ。楽天の相手は、その分割から生まれたPC企業である。

クラウド時代の長い期間、パソコンは磨かれた端末になりかけた。画面、キーボード、ブラウザーを通し、最も重い計算は遠くで行う。AI PCは業界からの反論だ。新しい機械にはCPU、GPUに加え、大量のAI演算を効率よく処理するNPUが入る。

Microsoftは2024年5月、Copilot+ PCという上位区分を定めた。要件は40 TOPS以上のNPU、16GBのメモリー、256GBの記憶装置を含み、HPも最初の提携メーカーだった。この仕様が、そのままRakuten AI for Desktopへ適用されるわけではない。楽天・HPの同梱対象はもっと広く、アプリが端末内モードへの対応を確認する。この比較が示すのは一つだ。実用的なローカルAIには、ハードウェアの最低線がある。

Foundry Localは、ばらつく構成を抽象化する。Microsoftが2026年6月に説明した実行環境は、Windows上のAIハードウェアを検出し、適切な加速機能へつなぐ。アプリ開発者がIntel、AMD、Qualcomm、Nvidiaの部品ごとに一から最適化する負担を減らす。楽天はなおモデルの調整と検証が必要だが、基礎配管はプラットフォーム化している。

日本HPは、HP Wolf SecurityがAI処理を含む基盤を支えるとも説明する。端末防御として意味はあるが、モデルの答え、クラウド接続、エージェントの行動すべてが安全だと証明するものではない。安全な起動機構は、要約が正しいかを判断しない。エンドポイント保護だけで、ポイント残高を見るべきか、文書を読むべきか、予約を確定すべきかは決められない。

本当の商品は「経路」である

2025年11月、楽天と日本HPは、クラウド、エッジ、端末から使うエージェントとモデルを決める「インテリジェント・ルーティング」を説明した。2026年7月の製品資料は、利用者がオンデバイスとクラウドを切り替えられることを示す。一方、どの内容を確認し、自動選択をどう行い、途中でモードをまたぐか、端末外へ送る前に何を表示するかという詳細な判断表は公表していない。

その方針は、ベンチマークの点数以上に重要だ。ローカルモデルなら契約書草案を私的に要約できる。クラウドモデルは、内容を受け取る代わりに優れた分析を返すかもしれない。買い物エージェントには最新商品データが必要だ。翻訳にはネットもアカウントも不要な場合がある。良い振り分けは「難しければ最大モデルへ送る」ではない。機密性、同意、遅延、通信状態、価格、行動に必要な権限を同時に考える。

クラウド費用も分割を促す。遠隔推論は、利用者がトークンを送受信するたびに演算装置を使う。ローカル推論は、電力、保存、管理、サポート費用を伴うが、購入済みの機械を使う。何百万回もの日常的な書き直しや要約をPCへ移せば、楽天の追加費用を抑えながら応答を速くできる。

各社と利用者の利益は完全には一致しない。利用者はクラウドの方が高品質でも私的な端末内回答を望むかもしれない。楽天は商品を提案できる接続セッションを望む可能性がある。HPには、新しいハードウェアの価値を示す動機がある。「ハイブリッド」が見えない移動の言い換えにならないよう、画面は選択を十分に見せる必要がある。

信頼できるモード表示が示すべきこと
  • 場所:いまの依頼はPC内、クラウド、両方のどこで処理されるか。
  • 内容:文章、ファイル、画面文脈、アカウント情報、メタデータの何が端末外へ出るか。
  • 目的:答えを作るだけか、最新サービスを検索するのか、外部行動を準備するのか。
  • 本人性:どの楽天IDとサービス権限が有効か。
  • 確認:購入、予約、契約変更などの重要な段階で何を本人が承認するか。
  • 記録:クラウド依頼とエージェント行動をどこで確認、削除、監査できるか。

ローカルはより私的だが、魔法ではない

端末内処理のプライバシー上の利点は強く、具体的だ。ローカルモードがネット接続なしで選択文章を処理するなら、その文章を遠隔の推論サービスへ送らずに済む。飛行機、障害発生中、通信の悪い場所でも仕事を続けられ、ネット上の露出とクラウド費用を減らせる。

しかし「オンデバイス」は包括的な安全証明ではない。PC自体にマルウェアがいる可能性がある。別のアプリがクリップボード、アクセシビリティー、画面取得の権限を持つこともある。入力と出力が記録される場合もある。モデルとソフトの更新には供給網があり、小さなモデルも事実と異なる内容を生成する。

クラウドエージェントは、言語を道具とアカウントへつなぐため、別種類の危険を加える。NISTのエージェント乗っ取り評価には、悪意ある内容が、被害者の権限を使ってファイルを外部送信したりフィッシングメールを送らせたりする間接プロンプト注入の試験がある。日本の「AI事業者ガイドライン」は、開発者、提供者、利用者にプライバシー、安全、透明性、リスクに応じた統治を求める。

情報確認時点でRakuten AI for Desktopがそのような攻撃を受けたという公表事実はない。ここでの論点は設計である。検索、予約、残高確認、契約案内ができるほど、権限と確認の境界を狭く、明確にしなければならない。流暢な答えは間違い得る。過大な権限を持つエージェントは、間違いを現実の行動へ変えてしまう。

企業は「プライバシーに配慮」という形容詞だけでなく、端末内モードを試験すべきだ。何を記録するか、管理者がクラウド接続を制御できるか、データをどこで処理するか、更新をどう署名するか、入力が遠隔測定へ入るか、記録の保持期間、機密区分を強制的にオフラインへ固定できるかを確認する必要がある。発表資料が説明するのは利点であり、調達に必要なのは統制である。

アシスタント、エージェント、商人

「エージェント」という語は自律性を思わせる。公表された機能は、もっと限定的だ。楽天市場は商品を検索し、提案する。楽天トラベルは宿泊施設を探し、予約を支援する。PointClubは残高と関連FAQを確認する。両社は「意図の把握から実行まで」の支援と説明するが、公開資料は、本人の明示的な確認なしに取消不能な購入を完了できるとは述べていない。

この違いは見えるままであるべきだ。アシスタントは判断を助ける。エージェントは手順を組み、道具を使うことがある。商人は、その判断が取引に終わると利益を得る。楽天は一つの画面の中で三つの役割を持ち得る。境界が消えるため便利になり、同じ理由で説明責任が増す。

推薦結果が公開ウェブ全体なのか、楽天の在庫なのか、両方なのかを示すべきだ。広告枠が中立的な推論に見えてはいけない。ホテル提案なら、空室、順位、ポイント特典、プラットフォームの商業的利益を区別する必要がある。ポイント残高の確認に、仕事以上の金融情報を読む権限を与えるべきではない。

ここにHP提携の深い意味がある。かつてOSがデスクトップを、ブラウザーがウェブへの入口を、検索エンジンが意図への答えを競った。エージェント層は意図を解釈し、次の行動をどのサービスへ渡すかを競う。新品PCのタスクバーに置かれる価値は、利用者がプラットフォーム形成に気づく前に、習慣が基盤になり得ることにある。

日本は準備できた。それでも慎重だ

時機は良い。7月24日に公表された2026年版情報通信白書によると、生成AIを利用した経験がある日本の個人は58.8%で、前年調査の26.7%から2倍以上になった。今回から15~19歳を加えており、20歳以上に限ると52.2%。中国は93.6%、米国とドイツは75.6%だった。

急増は、AIが専門家だけの好奇心ではなくなったことを示す。海外との差は、流通と信頼がまだ重要だと示す。慣れたPCに最初から入口があり、日本語で使えるなら、サービスを探してモデルを選ぶ手順を減らせる。端末内の文章処理は、全書類をクラウドへ送る不安へ答える。楽天の各サービスは、日常の用途をすぐに与える。

ただし、同梱は利用習慣を保証しない。日本のPC史には、技術的には優れていても、ソフト、互換性、習慣によって勝敗が決まった例が多い。ローカルモデルは存在を感じるほど速く、信頼できるほど正確で、クラウドや人間の判断が必要なとき認めるほど謙虚でなければならない。エージェントは手順を減らしながら、すべての意図を販売経路へ変えてはならない。

法人から始めることは、有用な試験になる。企業は10月以降の個人向け展開に先立ち、遅延、日本語品質、導入、方針管理、オフライン動作を測れる。同時に責任も大きい。企業文書こそローカル処理の価値が高く、記録やモード切り替えが曖昧であってはならない領域だからだ。

空白の残る仕様書

今回の発表は、提供開始、構成、機能を確立した。独立した性能評価までは示していない。両社は、代表的HP機種での毎秒トークン数、メモリー使用量、導入容量、電池への影響、文脈長、日本語要約の精度、クラウドモードとの誤り率比較を公表していない。Rakuten AI 7B ONNXの量子化水準も明らかにしていない。

対象機種の表現も、もっと精密にできる。ゲーミングPC、シンクライアント、一部ワークステーションを除く日本国内のHP製Windows PCが同梱対象だが、端末内部分は対応AI PC向けである。完全な機種表、CPU・GPU・NPU・メモリーの最低要件、性能区分、サポート期間があれば、「アイコンが付く」と「快適にローカルモデルが動く」を分けられる。

料金も未確定だ。公式発表に定額料金はない。Impress Watchは発表会取材として、当面は無料で今後の料金を検討中と報じた。無料の端末内機能、使用量に応じたクラウド、課金エージェント、楽天会員向け特典をどう分けるかで、同梱の経済的な意味は変わる。

モデル版にも逆説がある。楽天が公表した日本語モデルは7BからAI 2.0、AI 3.0へ能力を伸ばした一方、PCに置くのは最古で最小の系統の最適化版だ。それは正しい工学判断かもしれない。利用者には更新方針が必要だ。品質と安全の改善をどう端末へ届け、大容量ダウンロードをどう管理し、購入したPCを何年支えるのか。

画期的な製品か、同梱ソフトかを分ける七つの試験
  • 日本語品質:実際の業務文書で、敬語、意図、固有名詞、数字の細部を保てるか。
  • 速度:入門、中級、上位の対応HP機で、最初の有用な答えが速く届くか。
  • プライバシー統制:管理者と個人が、選んだ仕事を確実に端末内へ固定できるか。
  • モードの明瞭さ:内容を送る前に、クラウドへの移動が常に見えるか。
  • エージェント安全性:重要な行動の権限が狭く、確認が明示的か。
  • 商業的な透明性:答えと、楽天市場の利益を反映する推薦を見分けられるか。
  • 寿命:PCの実用期間を通じ、モデル、実行環境、安全統制が更新されるか。

その文章は、どこへ行くのか

PC-9801の時代、機械の中にある日本語は目に見えた。ハードウェア、表示方式、ソフト群、市場の形に現れた。Rakuten AI for Desktopは、新しい言語層を軽く見せる。段落を選び、アクションバーに触れ、書き直しを受け取る。

その小さな操作の下に、昔の漢字ROMより重い選択がある。端末内で処理した文章は、利用者の機械の一部にとどまる。クラウドへ送った文章は、サービス関係の中へ入る。エージェントに渡した希望は、検索、推薦、予約、商業システムの次の段階になり得る。

楽天と日本HPは、工学問題への信頼できる答えを作った。日本語モデルはPC上で動く。Microsoftの実行環境は異なるハードウェアを使いやすくする。クラウドは大きな知能と最新サービスを供給する。「ハイブリッドAI」という業界用語を、日本の利用者が有効化できる製品へ変えた。

次に必要な成果は、分かりやすさである。どちらの頭脳が答え、何を見て、誰の利益を代表し、何をする権限があるのか。優れたハイブリッドPCは、考える場所を選ぶだけではない。その思考が机を離れる前に、選択を利用者へ理解させる。

取材ノートと主な資料

製品、企業、市場情報は2026年7月30日午前10時12分(日本時間)までに確認した。提供対象は日本国内の対象HP製Windows PCとの同梱で、オンデバイスモードにはアプリが判定する対応AIハードウェアが必要。公式資料は最終料金、完全な対応機種表、最低仕様、独立性能試験を示していない。個人利用率58.8%は2026年版政府白書の調査で、対象年齢が広がった点を考慮しなければ前年と単純比較できない。