何が設立されたのか:8月3日、東京都単独ではなく日本オリンピック委員会(JOC)が一般財団法人を設立した。大会はIOC主催のLA28予選シリーズであり、再び東京で五輪を開く計画ではない。各競技の正確な出場枠制度は、国際競技連盟とIOCが承認する最終文書で確認する必要がある。

旧国立競技場地区に隣接するJAPAN SPORT OLYMPIC SQUAREの会議室で、東京は二つの五輪の記憶をつなぐ橋を架け始めた。

背後にあるのは東京2020だ。スケートボード、BMXフリースタイル、スポーツクライミング、3x3バスケットボールが鮮烈な五輪デビューを果たしたのに、ほぼ無人の観客席しかなかった大会である。前方にあるのはロサンゼルス2028。短時間の競技、音楽、公園、伝統的クラブの外で最初の技を覚えた選手たちが、五輪運動の新しい顔をつくる。

JOCは8月3日、一般財団法人オリンピックQシリーズ2028東京財団を設立し、代表理事・会長に太田雄貴氏を選定した。太田氏は日本フェンシング初の五輪メダリストで、現在はJOC専務理事。副会長には佐藤智秀東京都副知事と南壮一郎ビジョナル社長、事務総長には栗岡祥一元東京都副知事が就いた。第1回理事会は運営枠組み、JOC・東京都との基本協定、初年度事業計画と予算を承認し、約2年間の準備を始めた。

日程は短いが、役割は大きい。2028年5月4日から7日まで、東京は都立代々木公園と国立代々木競技場の一帯に設ける「代々木アーバンパーク」で、4都市シリーズの開幕戦を開催する。3x3バスケットボール、BMXフリースタイル、スポーツクライミング、スケートボードのストリートとパークで、選手はLA28への道を争う。翌週に上海、6月にモントリオールとオーランドが続く。

2028年5月4〜7日ゴールデンウィークの東京開幕戦
4競技スケートボードは2種目を実施
世界4都市東京、上海、モントリオール、オーランド
7億6600万円2027年3月までの財団初年度予算

「Q」が意味するもの

QはQualification、予選を意味する。パリ2024に向けて「オリンピック予選シリーズ」として始まり、ロサンゼルス周期では「オリンピックQシリーズ」に改称された。移動する小型五輪ではないが、複数競技を一つの場に集める五輪的な見せ方を借りる。本質は、五輪出場を決める重要な競技会を集約し、競技連盟ごとの孤立した予選ではなく、都市型フェスティバルとして提示することだ。

初開催の2024年は、ブレイキン、BMXフリースタイル、スケートボード、スポーツクライミングを上海とブダペストに集めた。120の国内競技連盟から464選手が登録し、2大会のポイントが大きな比重を持った。ブダペストでは150人を超える選手がパリ出場枠を得る見込みとされた。一つのアーバンパークで壁、ランプ、ボウル、ダンスフロアが隣り合う仕組みだった。

2028年、IOCは6競技・4都市へ拡大する。全体の競技は3x3、ビーチバレーボール、BMXフリースタイル、フラッグフットボール、スポーツクライミング、スケートボード。各都市が6競技すべてを行うのではなく、4競技ずつ担当する。東京のプログラムは、東京2020で登場した都市型競技群を最も濃く再現する。ビーチバレーとLA28新競技のフラッグフットボールは他都市で行われる。

開催都市日程発表済み競技
東京5月4〜7日3x3、BMXフリースタイル、スポーツクライミング、スケートボード・ストリート/パーク
上海5月11〜14日3x3、ビーチバレー、BMXフリースタイル、スポーツクライミング
モントリオール6月1〜4日フラッグフットボール、ビーチバレー、BMXフリースタイル、スケートボード・パーク
オーランド6月8〜11日フラッグフットボール、ビーチバレー、スポーツクライミング、スケートボード・パーク

「最終予選シリーズ」という公式説明は、東京の優勝者が全員その場で五輪切符を受け取るという意味ではない。出場資格制度は競技ごとに異なる。国際競技連盟がランキング、大陸枠、各国上限、Qシリーズ成績の組み合わせを定め、IOCが承認する。各大会で何枠を与えるかは、発行されるLA28の最終資格制度で読むべきだ。財団の仕事は東京大会を運営することで、資格ルールを書き換えることではない。

代々木は単なる背景ではない

予定会場は五輪の考古学そのものだ。1964年大会以前、代々木地区の多くは米軍住宅「ワシントンハイツ」だった。東京初の五輪はそこを選手村と競技地区へ変えた。1964年大会はアジア初の五輪であり、東海道新幹線、首都高速、国際都市へ変わる東京と結びつき、戦後日本の復帰をテレビで世界へ宣言した。

丹下健三の国立代々木競技場は、その建築的象徴だった。巨大な吊り屋根はコンクリートと鋼を運動へ変えるように見えた。1964年に水泳とバスケットボールのため建てられ、その後も現役のアリーナとして残り、東京2020ではハンドボール会場になった。選手村の一部は代々木公園となり、原宿と渋谷に挟まれた市民の風景になった。

この歴史はQシリーズに適しすぎるほどだ。旧来の五輪は記念碑的建築を中心に置き、都市にその周囲を近代化させた。新しいモデルは公共公園と既存施設に競技空間を組み込み、すでにそこにある街とスポーツを混ぜる。原宿のファッション、渋谷の音楽とデジタル文化、鉄道で歩いて来る観客。新高速道路より、都市の日常がインフラになる。

1964年、代々木は再建された国家を世界に見せた。2028年、街へ戻った五輪運動を見せようとしている。

財団はスポーツとアート、音楽、ファッション、デジタルを交差させる「アーバンフェスティバル」を掲げる。ビジョンは「Reach the NEXT.|次なる高みへ」。選手の最高の舞台と、若い観客が自由に表現できる公共空間を同時につくるという。この構想が重いのは、東京2020の都市型競技がまさにその化学反応を目指しながら、観客を失ったからだ。

東京が画面越しに見た大会

東京2020は新型コロナ禍で1年延期され、2021年にほぼ無観客で開かれた。競技はしばしば見事だった。スケートボードの若いメダリストは、転倒後も互いを称えた。BMX選手は有明のパークを立体劇場に変え、クライマーはスピード、ボルダー、リードに挑み、3x3はバスケットボールを10分間の爆発へ圧縮した。

しかし開催都市との関係は断たれた。日本のファンは、自分の街で競う選手をテレビで見た。空席が歓声を吸い込んだ。スケートボードとBMXのために建設された有明アーバンスポーツパークは2024年に一般利用施設として再開し、物理的レガシーは残った。それでも、若者が複数の競技に同じ場所で出会うという感情的約束は未完のままだった。

Qシリーズは公式には「五輪のやり直し」ではなく、主催者もそう呼ばない。それでも象徴性は明らかだ。同じ都市がランプと壁のそばに観客を置く二度目の機会を得る。開催は家族や若者が移動しやすいゴールデンウィーク。東京湾岸ではなく、日本有数の若者文化回廊である代々木を選ぶ。

1964年:東京がアジア初の五輪を開催。代々木競技場と選手村が近代都市を象徴。

2017年:IOCが東京2020への3x3、BMXフリースタイルなど若者志向種目の追加を決定。

2021年:都市型4競技が東京でデビューするが、ほぼ無観客。

2024年:上海とブダペストで初のオリンピック予選シリーズ。

2026年5月:IOCが東京、上海、モントリオール、オーランドを開催都市に決定。

2026年8月:JOCが東京財団を設立。

2028年5月:東京からLA28への4都市シリーズが始まる。

なぜ太田雄貴氏なのか

太田氏の経歴は、財団が接続すべき世界を横断する。五輪4大会に出場し、2008年北京の男子フルーレ個人銀メダルで日本フェンシング初の五輪メダリストになった。2012年ロンドンでは団体銀、2015年には日本人初の個人世界王者。引退後は日本フェンシング協会会長を務め、国内外のスポーツ行政へ移った。

フェンシングは古い五輪欧州の競技だ。マスクと剣、厳密な規則、1896年アテネからの系譜を持つ。一方、太田氏は照明、解説、エンターテインメント、観客との距離まで競技の一部として改革したことで知られる。スケートボードとBMXの大会を率いることは、見かけほど不自然ではない。選手が予選で感じる恐怖と、その勝負を新しい観客に伝える運営者の仕事を両方知る。

理事会もスポーツ関係者だけの輪にならないよう設計された。東京都幹部、プロクライマー野口啓代氏、五輪重量挙げメダリスト三宅宏実氏、企業経営者、弁護士、ガバナンス専門家が入る。評議員には競泳王者の北島康介氏もいる。公表された選任方針は、役員等の男女双方を原則40%以上とする目標を掲げた。

お金:最終開催費ではなく、出発点

第1回理事会は、2026年8月3日から2027年3月31日までの7億6600万円の予算を承認した。通常収益は全額「受取補助金等」と計上。支出は事業費2億円、管理費5億6600万円で、給与、賃借、専門業務、委託費などを含む。

JOCは、財団の基本財産300万円を含め、大会の準備・運営のため上限14億5000万円を拠出する意向を示し、理事会が受け入れた。ただし、この上限を東京大会の総予算と読んではならない。財団は大会開催基本計画を基に財政計画を策定するとしており、スポンサー、チケット、IOCの役割、東京都の支援、次年度以降の支出を一つにした最終開催費は、公開資料にまだ示されていない。

公表額意味意味しないこと
300万円JOCが拠出した設立時基本財産運営予算ではない
7億6600万円2026年8月〜2027年3月の予算2028年までの総費用ではない
2億円初年度予算内の事業費会場整備・競技運営費の全額ではない
5億6600万円人件費、賃借、委託など管理費直ちに無駄を意味しないが、内訳検証が必要
上限14億5000万円JOCが申し出た準備・運営への最大拠出額公表済みの大会総額上限ではない

区別は重要だ。五輪より「小さな」祭典でも、警備、仮設設備、放送、選手サービス、輸送、技術、医療、ブランド管理が必要になる。計画が具体化するたび、初日の上限だけでなく更新予算を公開する必要がある。

東京2020の影の下で書かれたガバナンス

財団資料で最も語るのは、ランプやクライミング壁のイメージではない。契約のページである。

東京2020の後にはスポンサー選定をめぐる贈賄事件で有罪判決が出て、テスト大会・会場運営業務をめぐる談合事件の刑事手続きも進んだ。信頼は損なわれ、札幌の2030年冬季五輪招致断念にも影響した。東京都とスポーツ庁はその後、大規模大会運営組織の指針を強化した。

新財団は、その教訓を明文化している。都条例に準じる情報公開制度、非開示判断を調べる独立審査委員会、コンプライアンス委員会と通報窓口、弁護士・会計士による契約審査、監査室・監事・会計監査人の三様監査を掲げる。財団、東京都、JOCによる契約・調達管理会議も共同設置する。

とりわけ直接的なのが「マーケティング部門には広告代理店からの出向を受け入れない」という規定だ。スポンサー募集はJOCが主体となり、公正な手続きで行う。スポンサー制度と個別契約を事前確認する会議も置く。設立時の専門業務契約では複数見積もりを取り、参加者、見積額、契約結果を公表するとしている。

今後確認すべきガバナンス公約
  • 法定事項を超えて重要決定を公開する。
  • 非開示判断を独立委員会が審査する。
  • 利益相反を審査し、マーケティング部門に広告代理店出向者を置かない。
  • 調達を弁護士と会計士がチェックする。
  • 監査室、監事、会計監査人を連携させる。
  • 契約結果と見積過程を公開する。
  • 懲罰規程、継続教育、通報窓口を運用する。

紙の上の規則は、まだ名誉回復ではない。大型契約を発注し、スポンサー区分を交渉し、費用増を説明し、問題が起きる前に議事録を公開できるかで価値が決まる。透明性は組織図ではなく、継続する行為だ。

予選大会であり、文化的な賭けでもある

QシリーズはIOCの複数の課題を一度に解く。通常、予選は熱心なファンを集めても一般の注目は小さい。複数競技を束ねれば放送規模が生まれる。都市型競技は若い観客を引きつける一方、従来型アリーナに閉じ込めると異質に見える。フェスティバルなら音楽、ファッション、コミュニティを競技と一緒に運べる。開催都市は選手村を建てず、五輪全体の費用を負わずに五輪イベントを得る。

緊張もある。スケートボードは制度的管理を疑う文化から育った。ブランド化された予選商品にすれば魅力を平板化しかねない。フェスティバル演出が、人生最大の勝負に臨む選手から注意を奪う危険もある。公共公園の利用、近隣説明、チケット価格、5月の天候、原宿・渋谷間の人流、騒音、仮設許可、暑熱対策がコンパクト構想を試す。

競技公平性の問題もある。裕福な大都市4カ所に世界シリーズを置けば、遠征費の負担が集中する。ランキング、大陸枠、選手支援を通じ、五輪へのアクセスが航空券へのアクセスにならないようにしなければならない。2024年は120の国内連盟が参加した。この広がりを維持・拡大できるかは、観客数と同じほど重要だ。

東京が話す、第三の五輪言語

東京はこれまで二つの有名な五輪言語を話した。1964年はコンクリート、鉄、国家インフラ。2021年は画面。パンデミックから救われた世界的祭典だったが、開催都市の観客とは切り離された。

2028年Qシリーズは第三の言語を提案する。公園である。五輪より小さく、スタジアムより仮設的で、都市の日常に近い。選手は開会式で国旗の後ろを行進しない。ランキングと蓄積ポイントを持ち、数日でロサンゼルス行きを決める。

その意味で、五輪の祝典より正直な大会になるかもしれない。予選では夢がまだ不確実だ。一本のランが選手生命を変え、転倒の一つ一つに出場枠の計算が付く。そのドラマを1964年の代々木の屋根のそばに置き、2021年に不在だった観客で公園を満たせば、東京は五輪の過去を別の未来へ接続できる。

8月3日にできた財団は、そのための機械にすぎない。真の課題は三つを同時に証明することだ。最高水準の予選を、競技の厳粛さを失わず公共の祭典にできるか。都市文化を装飾へ縮小せず五輪制度に入れられるか。そして契約、金、決定を見える形にすることで、日本が再び市民に国際スポーツ大会への信頼を求められるか。

取材注記・主要資料

本稿は、財団の初年度予算とJOC拠出上限を最終開催費から区別した。また「最終予選シリーズ」は制度上の役割として扱い、LA28の正確な出場枠配分は各競技の承認済み資格制度で確認すべきものとした。