勝ち続ける難しさを、11年という数字は語る
福島の女子高校バレーで、また同じ校名が全国大会への切符をつかんだ。10月28日、福島トヨタクラウンアリーナ(福島市)で行われた春の高校バレー福島県代表決定戦。郡山女子大学附属高等学校は聖光学院高等学校を3―0で下し、11年連続28回目の全国大会出場を決めた。県予選の連覇と、全国の頂点に立つことは違う。その違いを誰より知るのが、全国への挑戦を重ねてきた選手たちだ。
第1セットから主導権、最後まで崩さず
福島テレビの試合報道によると、第1セットはライトの佐藤かりん選手を軸に攻撃を重ね、25―18で先取した。第2セットも25―16。聖光学院は第3セット中盤に5連続得点で反撃したが、郡山女子大附属が25―19で締めた。3セット計の点差は、準備と試合運びが機能したことを示す一方、聖光学院が第3セットで流れを変えようとした事実も見落とせない。相手を単なる「連覇の引き立て役」にしないことが、決勝を正しく伝える第一歩だ。
11年連続、28回目――数字の意味を分ける
「11年連続」は福島県代表決定戦で勝ち、春高バレー全国大会に出場する年数を指す。「28回目」は全国大会への累計出場回数である。全国大会を11連覇したという意味ではない。学校の10月29日付発表は県代表決定戦での3―0勝利、11年連続28回目の優勝を明記する。スポーツブルの全国大会関連ニュースも同じ出場記録を示している。
決勝に進んだ2校の異なる物語
郡山女子大附属は大会前から第1シード。対する聖光学院は初の全国出場を目指し、準決勝で若松商業を破って決勝へ進んだ。郡山女子大附属も準決勝で福島成蹊の粘りに直面し、第2セットは34―32にもつれたと大会結果の記録は伝える。決勝のストレート勝ちは、その前日から続いた緊張の最終章だった。
清野陽愛主将が語った「楽しいバレー」
福島テレビが10月28日に報じた試合後の談話で、3年の清野陽愛(ひな)選手は、全国でも「自分たちの附属らしい楽しいバレー」を見せたいと話し、ベスト16を目標に掲げた。言葉の中心は、過去の優勝回数を守ることだけではない。全国という大きな舞台で、自分たちのプレーをどう表現するかにある。10月2日の組み合わせ抽選会でも清野主将は、インターハイで力を出し切れなかった経験を挙げ、改善して春高に臨みたいと語っていた。
1957年、郡山市に誕生した私立女子高校
学校の公式沿革によると、郡山女子大学附属高等学校は1957年(昭和32年)4月に普通科を設置し、郡山市内最初の私立女子高校として発足した。母体の郡山開成学園は1947年に郡山女子専門学院を創設。戦後の地域社会で女子の高等教育を広げるという理念から始まった。高校は1965年に音楽科・デザイン科・食物科を設けるなど教育領域を広げてきた。バレー部の勝利を学校全体の歴史に置くと、地方の女子教育とスポーツの機会が長い時間をかけて積み重なったことが見えてくる。
「尊敬・責任・自由」の学園で
郡山開成学園は建学の精神を「尊敬」「責任」「自由」と説明している。この理念と競技成績の因果関係を証明する資料はない。それでも、学業や芸術、部活動を同じ学校生活の一部として捉える背景を知る手がかりにはなる。強いチームには選手交代のたびに戦い方を再構築する課題があるが、その具体的な練習計画や指導方法については今回、独自取材による裏付けを得ていない。
福島の女子スポーツを映す全国への窓
全国大会に続けて出場することは、個々の選手にとっては一度きりの経験かもしれない。3年生は卒業し、次の世代がチームを作る。だからこそ「11年」は一人の選手の連勝ではなく、世代をまたぐ継承を意味する。その背景にどんな地域の育成環境や進学選択があるのかは、今後の取材課題だ。県内の他校が競争力を高めることも、地域全体の競技水準にとって欠かせない。
全国大会は2027年1月、東京体育館で
日本バレーボール協会の公式日程によると、第79回全日本バレーボール高等学校選手権大会は2027年1月4~7日、9~10日に東京体育館で開かれる。全国大会の組み合わせ抽選は11月29日予定。したがって11月1日時点で対戦相手や勝ち上がりを断言することはできない。県代表の実績と全国大会の成績は、ここでも分けて見る必要がある。
「続く強さ」を、次の一試合へ
3セットで勝ったという事実の背後に、聖光学院の挑戦、準決勝の接戦、そして全国で力を出し切れなかった前回の経験がある。郡山女子大附属が新たに手にしたのは、過去の栄冠を飾る数字だけではない。東京で、その数字を一度脇に置き、一試合目から自分たちのバレーを証明する機会である。
出典・検証資料
学校・主催団体・報道機関の公開資料に基づく。選手や監督への独自インタビューは行っていない。
