6–0韓国戦の最終スコア
3得点萩原紀佳
2勝1敗予選成績
10月22日準決勝予定日

3人で9メートルのゴールを守る。静けさの中でこそ、技術が響く。

音を読む競技で、日本が守り切った24分

愛知県豊橋市の豊橋市総合体育館で10月20日に行われた愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の女子ゴールボール予選。日本は韓国を6―0で下し、準決勝進出を決めた。攻撃では前後半に3点ずつ奪い、守備では失点を許さなかった。「完封」という言葉には得点の華やかさだけでなく、音を頼りに幅9メートルのゴールを守り続けた選手たちの仕事が詰まっている。

先制は開始29秒

日本ゴールボール協会が10月20日に公表した試合報告によると、日本は新井みなみ、木村由、神谷の3選手で試合を開始した。開始29秒に木村が先制。続いて新井が前半6分9秒、11分2秒に得点し、3―0で折り返した。後半は安室早姫、神谷、萩原紀佳の3選手でスタート。萩原が2分46秒、3分1秒、6分22秒と続けて決めて点差を広げた。協会が公表した得点内訳は萩原3、新井2、木村1。センターの神谷は全時間帯を通じて出場し、韓国の攻撃を無得点に抑えたと報告されている。

予選2勝1敗、その中身

女子日本代表は17日にタイを10―0で下し、19日は中国に0―1で敗れた。20日の韓国戦で2勝1敗となり、準決勝へ進んだ。韓国を無失点に封じたことは評価できる。ただし、それが直ちに大会全体での優位を意味するわけではない。中国には1点差で敗れており、アジアの上位争いが接戦となることを示している。敗戦を含めた三つの結果を並べてこそ、今回の6―0が適切に位置づけられる。

目ではなく、鈴の音を頼りに

ゴールボールは視覚障害のある選手が行う競技で、1チーム3人が出場する。縦18メートル、横9メートルのコートの両端に、幅9メートルのゴールが設置される。ボールには鈴が入り、重さは約1.25キログラム。選手はアイシェードを着用して見え方の差をなくし、床の凸状のラインに触れて位置を確かめる。観客がプレー中に静粛を求められるのは、聴覚情報が攻防の前提となるからだ。日本ゴールボール協会と国際視覚障害者スポーツ連盟が競技の仕組みを説明している。

3人の守備は「間」を消す仕事

幅9メートルのゴールを3人で守るには、音から球筋を読み、体を横に伸ばし、味方との間隔を埋めなければならない。相手が投げる角度や速度を変えれば、そのたびに判断が必要になる。前半と後半で出場者が入れ替わっても、守備の連係を保つことが重要だ。神谷がフル出場した事実は確認できるが、公開された試合報告だけで各守備局面の作戦や成功要因を断定することはできない。完全な分析には映像や選手・指導者への取材が必要になる。

「10点差コールド」との違い

競技規則では得点差が10点に達するとコールドゲームとなる。タイとの10―0はその条件を満たす試合だったが、今回の韓国戦は6―0である。無失点の意味を正確に伝えるには、試合の性格を取り違えないことが大切だ。途中で終了したかのような印象を与える必要はない。日本の攻撃は前半3点、後半3点。後半の萩原による3連続得点が、試合終盤の大きな見どころとなった。

ロンドンの金、東京の銅、その先へ

女子日本代表の歩みは長い。2004年アテネ・パラリンピックで銅メダルを獲得し、2012年ロンドン大会では日本のパラリンピック団体競技として初めて金メダルに輝いた。東京2020大会(2021年開催)でも銅メダルを獲得し、パリ2024大会は6位だった。日本ゴールボール協会の公式記録が示す歴史である。一方、男子はパリで金メダルを手にした。日本のゴールボールは長年の選手育成と国際大会経験に支えられており、今回の女子の準決勝進出もその延長線上にある。

戦後のリハビリから国際競技へ

ゴールボールは第二次世界大戦後、視覚に障害を負った人々のリハビリテーションを背景に生まれ、その後、独自の国際競技へと発展した。現在の一流選手に求められるのは、聞こえた方向へ単純に倒れ込むことではない。攻撃では球速や跳ね方を変え、守備では位置と反応の精度を高める。競技そのものに蓄積された技術を理解しなければ、選手の力量も正しく伝わらない。

対戦相手の物語も消してはいけない

韓国はこの試合で無得点に終わった。ただし、一つのスコアから選手層や指導体制の優劣まで評価することはできない。協会の試合報告は日本側の得点経過や出場者を詳しく記しているが、韓国の作戦変更や当事者の証言を十分に伝える資料ではない。報道は相手を軽んじる表現を避け、日本のプレーを確かな根拠に基づいて評価すべきだ。

豊橋の会場と観戦の約束

競技会場は豊橋市総合体育館。歓声の大きさがそのまま盛り上がりと見なされる競技とは異なり、ゴールボールではプレー中の静けさが選手の力を支える。観客は競技の合間に拍手や声援を送れるが、ボールが動いている間は鈴の音を遮らないよう配慮する。初めて観戦する人に、その理由を伝えること自体が競技への理解を広げる。

準決勝の結果は、確認してから書く

女子準決勝は10月22日の午前10時30分または午後1時30分に予定されている。10月23日の女子3位決定戦は午前9時、決勝は正午の予定だ。ただし本稿の調査時点は日本時間10月21日であり、準決勝はまだ行われていない。対戦相手、結果、得点経過を推測で補ってはならない。10月23日付の記事として公開する際は、日本ゴールボール協会または大会主催者の公式記録で確認し、見出しや本文を更新する必要がある。

記録が残す確かな強さ

開始29秒の先制、新井の2得点、後半の萩原による3連続得点。そして失点0。ここまでは、10月20日の公式報告が裏づける事実だ。選手の活躍は、「見えないのにすごい」という表面的な驚きに閉じ込めるべきではない。厳しい競技条件の中で積み重ねた精密な技術と連係こそ、日本が韓国戦で示した強さだった。

出典・参考資料

取材基準日:2026年10月21日(日本時間)。10月22日の準決勝結果は未確認であり、本文は10月20日までの公式記録を中心としています。

  1. Japanese Goalball Association, October 20 match report
  2. Japanese Goalball Association, October 19 report
  3. Japanese Goalball Association, October 17 opening report
  4. Official Asian Para Games match schedule
  5. Japanese Goalball Association: Japan national team record
  6. Japanese Goalball Association: history
  7. Japanese Goalball Association: rules
  8. IBSA: about goalball
  9. IBSA: official rules