5得点の勢いを、ドイツでも再現できるか

フランス・パリ郊外のサン=トゥアンでハイチに5―1。大量得点の手応えを携えて、なでしこジャパンはドイツ北部のブレーメンに向かう。だが、次の相手は同じ戦い方を許してくれるとは限らない。10月13日のドイツ女子代表戦は、攻撃の迫力よりも、強い相手を前に主導権をどう取り戻すかを問う一戦になる。

日本サッカー協会(JFA)によれば、試合はブレーメンのヴェーザーシュタディオンで現地時間13日午後5時45分、日本時間14日午前0時45分に開始予定だ。したがって13日付の記事で勝敗を先取りすることはできない。[2][5]

日本は3月のAFC女子アジアカップ決勝でオーストラリアを1―0で破り、3度目の優勝を飾った。アジアの頂点に立ったチームにとって、欧州の強豪との試合は世界基準を測る重要な機会である。[8]

ハイチ戦が示した攻撃の厚みと課題

10月9日(現地時間)のハイチ戦では、日本が4―3―3を採用した。GK大熊茜、最終ラインに山本柚月、高橋はな、石川璃音、北川ひかる。中盤は長野風花を軸に長谷川唯、宮澤ひなたを配置した。JFAの試合報告では、前半に3得点を重ねた一方、前半終了間際にハイチのバチェバ・ルイスに1点を返されている。[1]

後半57分には千葉玲海菜が中央からの崩しを仕上げ、82分には千葉のラストパスを受けた途中出場の土方麻椰が5点目を決めた。土方は投入直後のファーストタッチで結果を残した。83分には島田芽依が代表デビュー。途中出場選手が試合を動かせることは収穫だ。[1]

もっとも、ハイチに対して作れた中央の突破経路をドイツ相手に再現できるかは別の問題だ。得点数だけでなく、ボールを失った直後の守備、相手の圧力下でのパス選択、両サイドでの数的優位が問われる。

狩野倫久体制の実験、その選択肢

今回の代表チームはJFAナショナルコーチングスタッフの狩野倫久(かのう・みちひさ)監督が指揮する。長谷川唯、藤野あおば、谷川萌々子、浜野まいかなど、欧州でプレーする選手が複数選ばれた。代表選手が日常的に接する戦術文化が多様になる一方、短い活動期間で組み合わせを整える難しさもある。[3]

10月9日にはFW田中美南がけがで離脱し、INAC神戸レオネッサのMF成宮唯が追加招集された。攻撃の選択肢を固定して考えることはできない。ハイチ戦で得点に絡んだ千葉、土方や、中盤でテンポを作る長谷川らの起用法が注目点となる。[4]

ドイツ戦で誰が先発し、どの配置を取るかは記事準備段階で確定していない。4―3―3を次戦の確定布陣として記すのではなく、ハイチ戦で用いられた選択肢として評価する必要がある。

ドイツも入れ替わる――両軍の負傷者

ドイツはクリスティアン・ヴュック監督が率いる。DFBが9月29日に発表した招集名簿には、ブンデスリーガや英女子リーグなどで経験を積む選手が並ぶ。若手も加わり、2027年ブラジル女子ワールドカップを見据えた強化が進む。[9]

一方、主将ジュリア・グウィンは所属クラブで負傷し、今回の2試合を欠場する。DFBは代わってサライ・リンダーを追加招集したと10月4日に発表している。日本の田中美南の離脱と同じく、主力を欠く中での戦術修正が両チームに求められる。[6]

DFBは試合の開催地をブレーメンのヴェーザーシュタディオンと発表。9月15日時点で日本戦のチケットは1万4000枚以上販売されていたが、これは最終入場者数ではない。[5]

2011年、ドイツで動いた日本女子サッカーの歴史

日本とドイツの女子サッカーは、2011年7月9日のヴォルフスブルクにさかのぼる特別な記憶で結ばれている。女子ワールドカップ準々決勝、日本は開催国で優勝候補だったドイツを延長戦の末に1―0で破った。108分、丸山桂里奈の得点だった。[7]

日本はその後スウェーデンを3―1で退け、決勝で米国と2―2からPK戦に進み優勝した。東日本大震災の年の快挙は、競技の枠を超えて大きな意味を持った。ただし15年前の勝利を、そのまま2026年の戦力比較に使うことはできない。

2000年代から欧州で女子サッカーの育成とプロ環境が進むなか、日本も代表からクラブへ、国内リーグから国外リーグへと競技の基盤を広げてきた。今回の親善試合は2011年の再演ではなく、異なる世代が新たな答えを探す試験台である。

2026年のアジア王者に求められる世界基準

3月のアジアカップでは浜野まいかの得点によって日本が豪州を下した。2026年のアジア女王という肩書きは、相手に研究される側に回ったことも意味する。[8]

欧州勢との試合では、守備の切り替えの速さ、相手のプレッシャーのかけ方、個々の身体能力、セットプレーへの対応など、国内やアジア大会と異なる問いに直面する。日本の強みである連係と技術が、前線からの強い圧力の中で機能するかが鍵になる。

「勝てば世界一に近づく」「敗れれば改革は失敗」といった単純な評価は避けたい。親善試合の意味は、強い相手との対戦で弱点を見つけ、次の強化に反映できることにもある。

ブレーメンで確認したい三つの局面

第一に、前線でボールを奪えるか。ハイチ戦の日本は中央で連係を作ったが、ドイツはより速くボールを動かし、長い距離を使って逆襲してくる可能性がある。前進の起点となる選手と、その背後を守る選手の距離が重要だ。

第二に、中盤の構成力だ。長谷川唯の配球、長野風花の支え、宮澤ひなたや谷川萌々子らの前への推進力を、対戦相手に応じてどう組み合わせるか。個人の能力ではなく、連動した位置取りを観察したい。

第三に、交代策。ハイチ戦の千葉と土方は途中出場で結果を残した。序盤の試合運びが難しくても後半に選択肢を残せるか、狩野監督の試合中の修正能力が問われる。これらは記事執筆時点の分析上の論点であり、実際の展開を予測した事実ではない。

試合後に残るもの

日独戦は親善試合であり、勝敗そのものが世界大会の予選結果を左右するものではない。だが、攻撃の形が通じた場面と通じなかった場面、守備が乱れた時間帯、起用選手の役割は次の強化に直結する。

13日版を公開する時点で確認できる事実は、ハイチ戦5―1とドイツ戦の開催予定、発表済みの招集・離脱情報である。試合結果、先発や得点経過は公式の発表後に更新すべきだ。

15年前、日本はドイツの地で歴史を変えた。今度問われるのは、記憶の再現ではない。世界の強豪を相手に、なでしこジャパンが次の世代のサッカーをどこまで形にできるかである。

出典・参考資料

  1. 日本サッカー協会、ハイチ戦試合報告(2026年10月10日)
  2. 日本サッカー協会、ドイツ戦日程
  3. 日本サッカー協会、招集メンバー・スタッフ
  4. 日本サッカー協会、田中美南選手離脱・成宮唯選手招集
  5. ドイツサッカー連盟、ブレーメンでの親善試合案内
  6. ドイツサッカー連盟、グウィン負傷・リンダー追加招集
  7. 日本サッカー協会、女子ワールドカップの歴史
  8. アジアサッカー連盟、女子アジアカップ2026決勝
  9. ドイツサッカー連盟、2026年代表招集

取材資料確認:2026年10月10日。ドイツ戦は日本時間10月14日午前0時45分開始予定。試合結果は未発生であり、事前予想を結果として扱っていません。