首位にいる。それでも、順位表には巨人とのゲーム差が「0.0」と並ぶ。阪神の秋は、ひと目では読み切れない数字とともに終盤へ入った。9月19日終了時点で71勝58敗1分け。勝率でわずかに上回る阪神には、目の前の一勝を積み重ねることと、残り試合をどう戦い抜くかという二つの課題が重なっている。[1]
甲子園では19日、広島に1―5で敗れた。4万2645人が見守った試合で、阪神の得点は初回の1点にとどまった。17、18日の連勝でつないだ流れを、もう一度つくり直さなければならない。[4][6][7]
「0ゲーム差」でも、同率首位ではない
まず、優勝争いの現在地を確かめたい。以下の成績はすべて9月19日の試合終了時点で、9月20日以降の結果は含まない。
| 順位・球団 | 勝―敗―分 | 勝率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1 阪神 | 71―58―1 | .5503 | — |
| 2 巨人 | 72―59―2 | .5496 | 0.0 |
| 3 DeNA | 66―64―3 | .508 | 5.5 |
勝率は、引き分けを除いた試合数で勝利数を割って求める。阪神は71÷129、巨人は72÷131。巨人の方が一つ多く勝っていても、勝率では阪神が上に立つ。一方、両球団とも勝ち越し数は13で、ゲーム差の計算上はゼロになる。順位とゲーム差は、同じものを別の形で示しているわけではない。
143試合制で数えると、阪神の残りは13試合、巨人は10試合。未消化試合の多さは、自ら勝利を増やせる余地でもあるが、まだ勝っていない試合を貯金に数えることはできない。観戦する側も、相手が負けるのを待つだけでなく、それぞれの残り試合数と勝率を一緒に見る必要がある。
7連敗からの立て直し、問われる得点の継続性
9月の試合結果をたどると、阪神は5日のDeNA戦から15日の中日戦まで、実施された試合で7連敗した。とりわけ12日から15日までは4試合で計1得点。0―1の敗戦が二つ続き、その後も打線は大量点を奪えなかった。これは公式日程の結果から数えたもので、中止試合は含めていない。[2]
17日は広島に7―2、18日は2―1で勝った。大きく点差をつける勝ち方と、接戦を守る勝ち方の両方があった。[6][7] だからこそ、翌19日の敗戦だけで立て直しが失敗したと断じるのも早い。短い連勝を次のカードへつなげられるかが、終盤の評価を分ける。
19日の阪神は7安打、広島は8安打だった。安打数の差は一つでも、得点差は四つ。阪神には2失策も記録された。[4] 安打を何本打ったかだけでは、試合は説明できない。走者がいる場面での打撃、次の塁を狙う判断、守備でアウトを確実に取ること。その一つ一つを、得点と失点につなげて見ていく必要がある。
主軸の数字と、投手の勝敗をどう読むか
打線の軸となる佐藤輝明(さとう・てるあき)は、打率.312、35本塁打、95打点。昨季の40本塁打に続き、今季も長打力を示している。[8] 森下翔太(もりした・しょうた)は34本塁打、打率.296で、昨季の23本塁打をすでに上回った。[9] いずれも9月19日現在の成績だ。
ただ、個人の年間成績が充実していても、ある一週間に打線が沈むことはある。主軸の一発を待つだけでは、相手バッテリーの攻め方に左右されやすい。主軸の前で走者を出せるか、主軸が歩かされた後に得点できるか。残り試合では、好打者を並べた打線が、得点を生む打線として機能するかが焦点になる。
投手の側にも、勝敗の数字だけでは見えない仕事がある。村上頌樹(むらかみ・しょうき)は防御率1.92ながら10勝9敗。[10] 19日は5回を投げ、2失点、自責点1で敗戦投手となった。[5] この登板記録から、シーズン全体の敗因を打線に帰すことはできない。それでも、先発が失点を抑えることと、チームが勝つことの間に、攻撃と守備の支えが必要なことは読み取れる。
巨人との直接対決だけが決戦ではない
日程上、目を引くのは10月1日の甲子園での巨人戦だ。[3] しかし、その一戦まで待てば優勝争いが整理されるとは限らない。9月下旬にはDeNA戦とヤクルト戦が続く。阪神と巨人が別の相手と戦う日にも、勝率の差は動く。
下表は、NPBの月別日程から主な残りカードを抜粋したもの。開始時刻は日本時間で、全残り試合を網羅した表ではない。観戦前には公式発表を確認したい。[2][3]
| 日付 | 対戦相手・球場 | 開始 |
|---|---|---|
| 9月20・21日 | DeNA/甲子園 | 18時・14時 |
| 9月22・23日 | ヤクルト/神宮 | 18時・14時 |
| 9月25・26日 | DeNA/横浜 | 18時・14時 |
| 9月29・30日 | ヤクルト/甲子園 | 両日18時 |
| 10月1日 | 巨人/甲子園 | 18時 |
| 10月3日 | 広島/マツダ | 14時 |
| 10月4日 | DeNA/横浜 | 18時 |
首脳陣にとって難しいのは、今日の接戦で使いたい投手と、次の接戦に残したい投手が重なる場面だ。救援投手を投入すれば勝機を守れることもあるが、登板が続けば次の試合の選択肢は狭くなる。これは特定の起用を批判する話ではない。移動と試合が続く終盤戦で、毎日の勝利と数日先の戦力をどう両立させるかという、日程から生じる課題である。
2021年の「0.0」が残す教訓
阪神にとって、ゲーム差ゼロと順位の違いは、抽象的な計算ではない。2021年は77勝56敗10分けで2位。NPBの球団年度別成績には、首位とのゲーム差が「0.0」と残る。その後、2023年と2025年にはリーグ優勝を果たした。[11]
過去を持ち出す意味は、今季も同じ結末になると言うことではない。優勝した年の記憶も、わずかな差で届かなかった年の記憶も、現在の一球に重ねられやすいということだ。前年王者として連覇を目指す阪神には実績がある。ただし、その実績が今季の残り試合に白星を与えてくれるわけではない。
応援する側の緊張も、単なる悲観や楽観では片づけられない。先の観戦予定を決めたい一方で、順位が変われば10月の予定も変わる。球団が発表したクライマックスシリーズの主催試合案内も、2位なら10月10日からのファーストステージ、1位なら14日からのファイナルステージという条件付きだ。開催の準備と、順位の確定は別である。[12]
一球の重さを、数字で確かめる
今後の阪神を見る軸は三つある。打線が複数試合にわたって得点を続けられるか。先発がつくった接戦を、守備と救援が支えられるか。そして、直接対決以外のカードで勝率を上げられるかだ。
「ここで勝てば決まる」と言いたくなる夜は増えるだろう。しかし、9月19日現在の順位表が示すのは、勝率のごく小さな差で先頭に立つ阪神の姿である。必要なのは、優勝の瞬間を先取りすることではない。次の打席、次の守備、次の試合で、その小さな差を自分たちの側へ広げることだ。
