12男子参加チーム
7女子参加チーム
2–3男子・アイルランド戦
10月14–24日大会期間

試合の結果だけでは、日本のCPサッカーが築いてきた道も、その先に必要な支援も見えてこない。

アトランタで問われる「日本の7人制」

米国ジョージア州アトランタで10月14日から始まった「2026 IFCPF Men’s World Cup/Women’s World Cup」。脳性まひなどによる運動機能障がいのある選手が競うCPサッカーの世界大会に、日本は男子、女子の両代表を送り出した。男子12チーム、女子7チームが参加する。10月9日付の日本サッカー協会(JFA)の発表を読み解くと、意義は国際大会への出場という事実だけにとどまらない。日本における競技の育成と、女性選手が世界で競う機会をどう増やすかが問われている。

男子は2敗、それでも接戦に見えた改善

国際CPサッカー連盟(IFCPF)の公式記録によれば、男子日本代表は10月15日の初戦でイングランドに0―5で敗れた。続く16日のアイルランド戦も2―3で惜敗。イングランド戦は前半0―1から後半に差を広げられた一方、アイルランド戦では前半を1―0で折り返した。勝利こそ得られなかったが、得点できたこととリードを維持する難しさは、試合経過からうかがえる。ただし、得点者や細かな戦術的要因を公式の試合記録なしに断定することはできない。

女子代表が背負う別の挑戦

女子の日本代表は10月17日に米国、19日にフィンランドと対戦する日程が組まれた。女子大会の参加は7チーム。日本障がい者サッカー連盟(JIFF)の掲載する代表選手のローマ字表記にはSaki Kuroki、Mirai Toyoda、Miyabi Hamada、Mai Ota、Mayuko Kaiga、Kiona Kitajima、Aika Sasakiの7人が並ぶ。日本語の氏名表記・読みを一次資料で照合できていないため、本稿では無理に漢字へ置き換えない。米国戦は現地17日午後4時開始予定で、10月17日の制作時点で確定結果を確認できていない。

CPサッカーは「特別な余興」ではない

CPサッカーは走行してプレーする選手による本格的な競技だ。IFCPFの基本規則では1チーム最大7人、前後半各30分、オフサイドなし、フィールドは長さ70メートル・幅50メートル。スローインの代わりに球を転がして再開することも認められる。選手は技術、体力、判断力、連係を競う。電動車椅子サッカーやブラインドサッカーとは異なる競技であり、用具や障がいを混同した説明は避けなければならない。

公平を支える「クラス分け」

パラスポーツには競技上の公平性を担保するクラス分けがある。CPサッカーで用いられるのはFT1、FT2、FT3の3つのスポーツクラスで、障がいが競技動作に及ぼす影響を評価する。通常の7人制ではFT1の選手を常時少なくとも1人置き、FT3の選手は同時に1人までとされる。これは医療上の価値を人に付ける分類ではなく、試合の競争条件を整える競技制度だ。個々の選手の診断や障がい程度を外見だけから推測してはならない。

1980年代から今日まで――競技の歩み

CPサッカーは国際的に「7人制サッカー」の名でも知られてきた。1984年のニューヨーク・ストークマンデビル・パラリンピック以降、男子7人制サッカーがパラリンピック競技として行われ、2016年リオ大会を最後に競技プログラムから外れた。国際的な大会体系と競技振興はその後も続いている。2018年にはIFCPFがクラス分けをFT1からFT3へ刷新した。パラリンピック採用の有無だけで競技の価値を測るべきではない。

日本の選手育成を支える地域と団体

国内で競技を継続するには、地域のクラブ、指導者、合宿、医療・運動科学の支援、遠征費用が欠かせない。JIFFは男子代表の強化指定選手として柳英行、南條莉久、赤禿賢一郎、森柊也、影山寛仁、三浦良介、浦辰大、戸田哲也、河野凌久、久保善暉、横沢駿、齋藤成を掲載している。ただし「強化指定選手」は当日の先発や実際の出場者と同義ではない。選手一人ひとりの経歴と役割を正確に紹介するには個別取材が必要だ。

注目すべきは結果だけではない

世界大会では強豪との実力差が明確になる。その差を埋める道は、遠征機会の拡大や日常的な競技環境の充実にある。女子競技は参加国・チーム数自体がまだ限られる。だからこそ日本が両代表を出した事実は重要だ。何人が競技を始め、続けられ、指導者になるのか。大会が終わっても追い続けるべき数字は、勝敗と並んでここにある。

次の試合と検証の約束

男子は現地時間10月18日にインドネシア戦を予定し、その後は順位決定戦へ進む。女子は米国戦に続きフィンランド戦を予定する。10月19日付の紙面に掲載する本稿は、10月17日までに確認できた試合記録と日程に基づく。大会が進むに従ってスコア、出場選手、順位は変わるため、最新記録はIFCPF公式サイトを参照してほしい。日本代表の実像を伝えるには、勝敗の見出し以上に継続した取材が必要である。

一次資料・参考資料

  1. JFA / 日本サッカー協会:2026年大会案内
  2. IFCPF: official tournament results
  3. IFCPF: sport rules
  4. IFCPF: classification
  5. JIFF:男子日本代表と選手一覧
  6. JIFF: women’s national team roster
  7. IFCPF: football and its history
  8. IFCPF: 2018 classification reform