勝敗だけを見れば、日本は危なげなく準決勝へ進んだ。8月27日の準々決勝は3―0。1次リーグ3試合を含む通算成績は4勝0敗、セット数は12勝0敗となった。しかし、全セットが一方的だったわけではない。第2セットはチャイニーズタイペイに序盤から先行され、追いついた後も1点差まで迫られた。そこでサーブと攻撃の精度を戻し、25―21で閉じた修正が、この試合の意味を最もよく示している。

大会公式リポートによると、和田はアタック17点、サービスエース2本の計19得点。主将の石川真佑(いしかわ・まゆ)はアタック9点、ブロック3点、エース2本の14得点だった。専門誌「月刊バレーボール」の試合記事は、島村春世(しまむら・はるよ)を11得点としている。日本は特定の一人に最後の一本を任せきらず、前衛の組み合わせと途中出場を動かしながら3セットを取り切った。

3―0準々決勝。25―14、25―21、25―13。
4勝0敗1次リーグ3試合と準々決勝を全勝。
12―04試合で獲得12セット、失セット0。
19得点和田由紀子。アタック17点、エース2本。
4強入りは、五輪出場決定ではない。 大会案内では、2028年ロサンゼルス五輪の出場権を得るのは今大会の優勝チーム。日本は準々決勝を勝った段階であり、残り2勝が必要だった。準決勝進出と五輪出場権獲得を同じ意味に扱ってはならない。

第1セット、サーブから主導権

「月刊バレーボール」の試合経過では、日本は関菜々巳(せき・ななみ)のトスから和田と石川へ速く展開し、島村の移動攻撃も使った。和田のサーブで連続得点をつくり、序盤から点差を広げた。25―14という結果は、攻撃だけでなく、相手の組み立てをサーブで制限して切り返しやすくしたことの表れだった。

「月刊バレーボール」の試合記事によると、日本は1次リーグ最終戦のベトナム戦から先発を一部変え、和田をオポジットの位置で起用。ミドルブロッカーには島村と山口真季(やまぐち・まき)が入った。大会公式リポートも、この試合の和田をオポジットとしている。右側から得点を重ねた起用は、準決勝へ向けた重要な選択肢になった。

第2セットの出遅れ、全勝記録より価値ある場面

同誌の試合経過によると、チャイニーズタイペイは第2セット、サーブで日本のレシーブを揺さぶり、序盤に先行した。日本は佐藤淑乃(さとう・よしの)の攻撃、山口のブロック、和田の右側からの決定で立て直した。中盤以降も相手は1点差まで追ったが、終盤に石川のサーブが流れを切り、25―21で奪った。

ここで重要なのは、失セット0という数字を「苦境がなかった」と読み替えないことだ。相手のサーブに崩された時、ハイボールを誰に託すか。ブロックと守備の位置をどう合わせるか。競った終盤でサーブを攻めながらミスを増やさないか。第2セットは、準決勝以降に必要となる判断を試した。

12セット連取の価値は、すべてのセットを圧倒したことではない。崩れた時間帯を、セットを失う前に短くしたことにある。

第3セット、先発外の力も使って閉じる

同誌の試合経過では、第3セットは石川と和田の攻撃に加え、山田二千華(やまだ・にちか)の速攻、途中出場した秋本美空(あきもと・みく)のブロックも得点につながった。25―13。控え選手が短い出場時間で役割を果たしたことは、連戦で先発の負担を抑え、相手に見せる選択肢を増やす。

石川の14得点にはブロック3点とエース2本が含まれた。「月刊バレーボール」の集計では、島村もアタック9点、ブロック2点の11得点。和田の19得点が最大だった一方、サイド、中央、サーブ、ブロックから得点源を分散できた。

日付段階・相手結果各セット競った局面
8月21日1次リーグ・ホンコンチャイナ3―025―9、25―15、25―12全セットを10点差以上で獲得
8月23日1次リーグ・韓国3―033―31、25―19、25―20第1セットはデュースの長期戦
8月25日1次リーグ・ベトナム3―025―23、25―17、25―21第1、第3セットは4点差以内
8月27日準々決勝・チャイニーズタイペイ3―025―14、25―21、25―13第2セット序盤に先行を許す

「12―0」が隠す、接戦の経験

日本はホンコンチャイナ戦を大差で制した後、韓国戦の第1セットを33―31で取った。ベトナム戦では25―23、25―21のセットがあった。準々決勝の第2セットも4点を先行された。12セットを連取した記録の内側には、デュース、終盤の1本、序盤の出遅れという異なる圧力がある。

準決勝のように相手の攻撃力と守備が上がる試合では、同じ修正に長い時間を使えない。サーブレシーブから中央を使える状態を保つこと、右側の和田を生かすこと、ブロックの後ろを守ることが連動しなければ、連続失点は短くならない。

タイとの準決勝、勝てば決勝と世界大会枠へ

準々決勝終了時点で、日本の準決勝相手は前回優勝のタイに決まった。タイは韓国を25―20、25―18、25―21で下して4強入り。試合は8月29日午後5時15分(天津時間)、同6時15分(日本時間)に組まれていた。

大会公式メディアによると、準決勝の勝者は決勝へ進むとともに、上位3チームに与えられる2027年FIVBバレーボール・ワールドカップ出場枠を確保する。関は大会公式メディアに、これまでの準備を変えずに続ける考えを示した。ただし、日本語での発言原文は公開資料で確認できないため、直接引用にはしていない。

ロサンゼルス五輪への条件はさらに厳しい。フジテレビの大会案内と大会公式報道はいずれも、今大会の優勝チームが五輪出場権を得るとしている。準決勝を勝っても、決勝に勝たなければ五輪枠には届かない。

準決勝で見る五つの点
  • サーブレシーブを安定させ、関が中央と両サイドを選べるか。
  • 和田の右側からの得点を、タイの守備に読ませない配球にできるか。
  • 石川、島村、山口らのブロックと後衛守備を連動させられるか。
  • 競った20点以降に、サーブを弱めず失点を連鎖させないか。
  • 山田、秋本ら途中出場選手が流れを変える役割を果たせるか。

記録の到達点と、記事の時間軸

準々決勝終了時点の日本は、4勝、12セット連取、失セット0。この三つは公式記録で確認できる。ただし、それは「優勝候補として完成した」という証明ではなく、どの相手にもセットを渡す前に課題を修正できたという途中経過だ。

取材時点の注記:本稿は8月27日の準々決勝終了後、8月29日午前までに確認できた公式記録に基づく。8月29日夜(日本時間)に予定された日本―タイの準決勝結果は反映していない。8月30日朝刊として公開する際は、準決勝結果と大会日程を公式記録で更新する必要がある。