総務省統計局が9月20日に公表した高齢者に関する統計によると、65歳以上の就業者は2025年に943万人となり、比較可能な1968年以降で最多となった。22年連続の増加で、就業者全体に占める割合は13.8%に達した。[1] 高齢者は地域サービスの利用者であると同時に、その担い手でもある。

一方、2026年9月15日現在の65歳以上人口は推計3624万人。前年より2万人増え、総人口に占める割合は29.6%と過去最高になった。[2] 人口は今年9月の推計、就業は昨年の数値であり、同じ時点を測った統計ではない。

三つの割合は、分母が違う

統計を読む際の区別

29.6%は総人口に占める65歳以上の割合。13.8%は就業者全体に占める65歳以上の割合。26.0%は65歳以上人口のうち就業している人の割合である。後二つは2025年の値。[1][2]

「就業者」は会社員だけを意味しない。統計上は自営業なども含み、働く時間の長短をそのまま示す人数でもない。943万人をフルタイムの従業員数や、新たに採用できる人数として読むことはできない。

年齢だけで仕事を決めない職場づくり

2025年の就業率は、65~69歳が54.5%、70~74歳が36.2%、75歳以上が12.6%だった。[3] 同じ「65歳以上」でも、年齢層によって働いている人の割合は大きく異なる。

企業にとっては、採用や再雇用の人数とともに、仕事の内容と勤務時間を点検することが重要になる。例えば、経験を生かす教育役と身体的な負担の大きい作業をどう分担するか、本人の希望に合う時間帯を選べるかといった課題だ。年齢の区切りだけで、能力や健康状態、働きたい理由を決めつけるべきではない。

65歳以上の役員を除く雇用者では、非正規の職員・従業員が76.1%を占める。[1] この割合は高齢就業者全員を分母にしたものではなく、それだけで待遇への満足度や生活の余裕が分かるわけでもない。仕事の継続性や賃金、本人が選べる働き方も併せて見る必要がある。

交通は通院だけでなく、通勤も支える

高齢者向け交通を考える際、通院や買い物に加え、働く場所への移動も論点になる。編集部の分析では、短時間勤務の始業・終業に合う便があるか、乗り換えや停留所までの移動が負担にならないかを、地域の実態に沿って調べることが有用だ。

ただし、今回の全国統計は、特定の路線の利用者数や増便の必要性を示していない。交通事業者や自治体は、勤務先、運行時刻、利用実績、住民の希望を組み合わせて判断する必要がある。高齢者人口の増加率だけから交通需要を予測するのは難しい。

地域サービスの担い手と利用者を一緒に見る

65歳以上人口の中でも、75歳以上は2026年9月15日時点で2168万人となり、前年より43万人増えた。[2] この年齢区分は人口構成を示すもので、介護が必要な人の数と同じではない。

商店、公共施設、地域活動では、利用のしやすさと、働く側の続けやすさを同時に考えたい。窓口の説明を分かりやすくする、対面でも手続きを選べるようにする、勤務を柔軟に組むといった対応は、地域ごとの課題を確かめた上で検討できる。

最多の就業者数は、高齢者の役割の大きさを示している。一方で、誰もが働ける、あるいは働き続けるべきだという結論にはならない。働くことを選ぶ人を支える環境と、働いていない人も利用しやすいサービスの両方が、地域の計画に求められる。

出典

  1. 総務省統計局:統計トピックスNo.149(2026年9月20日)
  2. 総務省統計局:高齢者の人口(日本語PDF)
  3. 総務省統計局:高齢者の就業(日本語PDF)