92.64優勝得点
1.112位との差
2025ノービスBで準優勝
11月21–23日全日本ジュニア予定

「次の羽生」ではなく、菊池英仁という一人の選手の勝利を見つめたい。

札幌で決まった、わずか1.11点差の日本一

10月25日、札幌市月寒体育館。第30回全日本フィギュアスケートノービス選手権大会の男子ノービスAで、宮城FSCの菊池英仁(きくち・ひでひと、12歳)が92.64点を記録し、初優勝した。2位の神野琉衣(名古屋FSC)は91.53点。差は1.11点だった。3位は藤本東馬(MFアカデミー)の75.95点。将来の五輪を語るより先に、まずこの日の事実を大切にしたい。12歳の選手が、一つの演技で競り勝った。

名前を正確に伝えることから

選手の名前は「菊池英仁」。2025年の日本スケート連盟フィギュア強化部による選手名簿には、ふりがなとして「きくち ひでひと」と明記されている。英語ではHidehito Kikuchiと表記する。ニュースの写真説明などに「菊地」と記された例があるが、連盟の登録表記は「菊池」である。名前と読みの正確さは、若い選手を報じるうえで欠かせない基本だ。

ルッツを跳び、連続ジャンプをまとめた

日刊スポーツの現地取材によれば、菊池は冒頭のトリプルルッツを成功させ、トリプルトーループからダブルトーループへのコンビネーションも着氷した。フリーのみで競うノービスA男子の演技は、難しい要素を組み込む技術と、限られた時間で全体をまとめる構成力が問われる。個別要素のGOEや細かな減点の断定は、連盟のジャッジスコアを直接照合できた範囲に限る必要がある。

一年前は2位、今年は頂点

この優勝は突然の物語ではない。2025年10月の第29回全日本ノービスでは、菊池は一つ下のノービスB男子で67.56点の2位。同じ宮城FSCの泉篤杜が77.77点で優勝していた。前回の悔しさを経験し、カテゴリーが上がった2026年に優勝したという一年間の軌跡が、今回の結果に奥行きを与えている。ただし両大会はカテゴリーも競技条件も異なるため、67.56点から92.64点への増加を単純な実力向上率として扱うことはできない。

「羽生結弦の後輩」の意味

菊池の所属する宮城FSCは、五輪で2連覇を果たした羽生結弦が育ったクラブとして知られる。菊池は日刊スポーツの取材で、羽生の表現の豊かさを目標に挙げ、仙台での演技やアイスショーを見た経験を話している。しかし、同じクラブに属したことは、同じ歩みをたどるという意味ではない。後輩を「第二の羽生」と呼ぶよりも、本人が築こうとする技術と個性を見つめたい。

仙台という競技文化の土壌

宮城県仙台市は日本のフィギュアスケート史で特別な位置を占める。羽生は2014年ソチ大会で日本男子初の五輪金メダルを獲得し、2018年平昌大会で連覇した。仙台はまた、2006年トリノ大会金メダリスト荒川静香の歩みとも縁が深い都市である。こうした成功は競技への関心を育てるが、新しい世代に必要なのは比較の重圧ではなく、継続できる練習環境と安全な育成の仕組みだ。

ノービス大会は「小さな全日本」ではない

日本の競技制度にはノービスB、ノービスA、ジュニア、シニアという育成段階がある。ノービスには各地の予選や推薦を経て参加する仕組みがあり、2026年の全日本ノービスは10月23〜25日に開催された。男子Aはフリースケーティングで争われる。ここで勝ったからといって、シニアの国際大会や五輪への出場が約束されるわけではない。年齢区分や課題の違いを踏まえて結果を見ることが重要だ。

次の舞台は全日本ジュニア

日本スケート連盟のフィギュア委員会は大会後、菊池と2位の神野を全日本ジュニア選手権に推薦したと報じられた。大会は11月21〜23日に茨城県の山新スイミングアリーナで予定される。年上の選手も交じる舞台に向け、菊池は今回入れられなかったジャンプや難度の高いスピンに挑みたいと語っている。結果はまだ出ていない。

バック転という意外な特技

氷上だけが菊池の表現の場ではない。現地取材では、連続バック転が得意という一面も伝えられた。一方で本人は、氷上での実施には怖さがあるとも話している。ここに、若いアスリートの記事で忘れてはならない視点がある。目新しさを求めて危険な技を促すのではなく、本人の判断と指導者の安全管理を尊重したい。

1.11点の勝負から、これからの物語へ

優勝者を「将来の五輪金メダリスト」と断定する材料はない。成長期の競技生活では、体格の変化、けがへの対処、学業、指導環境、本人の楽しさが長い時間をかけて交差する。それでも、昨年の2位から今年の1位へ進み、さらに全日本ジュニアへの扉を開いた事実は十分にニュースだ。宮城FSCの12歳が次にどんな演技を見せるのか。大切なのは伝説の再現ではなく、菊池英仁自身の一歩を追うことだ。

出典・確認資料

日本スケート連盟の公式大会・名簿資料、共同通信と日刊スポーツの取材記事を照合。本人・指導者への独自取材は行っていない。

  1. 日本スケート連盟:第30回全日本ノービス選手権大会 / Japan Skating Federation 2026 event
  2. 日本スケート連盟:2026全日本ノービス公式結果 / Official 2026 results
  3. 日本スケート連盟:2025年全日本ノービスB男子公式結果 / Official 2025 novice B results
  4. 日本スケート連盟:2025年強化部資料(ふりがな) / 2025 development roster with kana
  5. 共同通信 Deep Edge:2026年10月25日の大会結果 / Kyodo sports report
  6. 日刊スポーツ:菊池英仁の演技と談話 / Athlete interview
  7. 日刊スポーツ:ジュニア推薦発表 / Junior invitation
  8. 宮城県:羽生結弦の功績 / Miyagi Prefecture Hanyu profile