みかんの県
愛媛の第一印象は、やはり柑橘である。宇宙飛行士には、まず生命維持装置よりみかんを渡したい。
Aichiでは点検され、Akitaでは静かにされ、Aomoriでは燃やされ、Chibaでは地図を直された。 Ehimeでは、まずみかんを渡される。 ここでは、急いでいる者から順番に、やさしく減速していく。
愛媛は、強く押してこない。 みかんをむき、湯に入り、海を見て、城を上り、島を渡る。 気づくと、旅人の表情が少しやわらかくなっている。
愛媛の第一印象は、やはり柑橘である。宇宙飛行士には、まず生命維持装置よりみかんを渡したい。
道後温泉がある。古い湯の記憶が、松山の町にやさしい時間を流している。
松山城、坊っちゃん、正岡子規、俳句。愛媛には、景色を言葉にする力がある。
しまなみ海道、瀬戸内の島々、橋と自転車。海は境界ではなく、道になる。
鯛めし、じゃこ天、宇和島、今治、港町。瀬戸内の穏やかな海が、食卓を豊かにする。
愛媛を知るには、急ぎすぎてはいけない。 松山の湯と城、しまなみ海道の橋、内子と大洲の町並み、宇和島の海、瀬戸内の島々。 宇宙飛行士の移動計画も、ここでは少しゆっくりになる。
古い湯、路面電車、浴衣の町歩き。宇宙服では入れないが、気分だけでも脱力できる。
町を見下ろす山城。城から海と町を眺めると、愛媛の広がりが見えてくる。
橋、自転車、島、海。宇宙船より低速だが、旅としては圧倒的に正しい。
町並み、木蝋、劇場、暮らしの記憶。愛媛の内側に残る、静かな時間。
川、城、古い町。派手ではないが、歩くほどに余韻が残る。
海と鯛めし、南予の空気。愛媛の南側には、また別のやさしさがある。
愛媛の食は、明るい。 みかん、鯛めし、じゃこ天、柑橘ジュース、瀬戸内の魚、宇和島の海の幸。 すっぱい、甘い、香る、ほっとする。 宇宙食にはない、地球のやさしい成分が多い。
愛媛の文化は、温泉だけではない。 俳句、文学、松山城、道後、内子の町並み、しまなみ海道、南予の海。 展示や町を歩いていると、愛媛がただ明るいだけでなく、 生活、言葉、湯、海、島を丁寧に重ねてきた県だとわかる。
愛媛は、みかんだけではない。温泉だけでもない。瀬戸内だけでもない。 城、文学、橋、島、魚、古い町、南予の海。 旅人が急いで通り過ぎようとすると、みかんを渡して止めてくる。
みかん。 愛媛の明るさを、いちばんわかりやすく手に持てる形にしたもの。 宇宙飛行士には、まず皮のむき方から教える。
道後温泉。 古い湯の記憶が、松山の町に残る。 宇宙船の修理より、まず入浴のほうが大事かもしれない。
蛇口からみかんジュース。 本当に日常のすべてがそうではない。 しかし、そう信じたくなるほど、愛媛は柑橘の県である。
愛媛は、旅の速度を選べる県である。 湯でゆっくりする。城に上る。島を自転車で渡る。古い町並みを歩く。南予の海を味わう。 宇宙飛行士の任務表にも、休憩時間を多めに入れたくなる。
松山城 → 道後温泉 → 路面電車。愛媛の入口として、湯と城と町の空気を味わう。
今治 → 橋 → 島 → 自転車。海を渡る旅として、愛媛の青を体で理解する。
松山の文学散歩 → 子規 → 坊っちゃん。短い言葉で、長い余韻を残す。
町並み → 川 → 城 → 古い暮らし。愛媛の静かな時間を歩く。
宇和島 → 鯛めし → 海辺の町。南の愛媛には、さらにやわらかい海の表情がある。
愛媛は、急がんでええと言ってくれる。
みかんをむき、湯に入り、海風を受け、島を渡る。
愛媛は、宇宙飛行士の速度までやさしく落としてくれる県である。