65歳未満若年性認知症の発症年齢
約3.57万人2020年公表の全国推計
2024年認知症基本法施行
LEAP県が案内する交流会

若年性認知症を語るとき、病名だけでなく、本人が続けたい仕事や暮らしを見なければならない。

65歳より前に認知症になるということ

認知症という言葉から高齢者の介護を思い浮かべる人は多い。しかし、仕事の責任が重く、子どもの教育費や住宅ローンを抱え、親の介護も考え始める年齢で発症する人もいる。働くこと、誰に病気を伝えるか、家庭での役割をどう維持するか。若年性認知症が突きつける課題は、医学的な症状だけではない。滋賀県は10月23日付の医療福祉推進課の新着情報に、若年性認知症の本人と家族の交流の場を掲げた。案内の中身は新設事業の発表ではない。それでも、支援につながる入口を見つけやすくすること自体に意味がある。

「LEAP」という居場所

県が案内する「交流会LEAP(リープ)」は、公益社団法人「認知症の人と家族の会」滋賀県支部に関わる交流の取り組みだ。名称はLearn(学ぶ)、Enter(参加する)、Activities(活動)、Positive(前向き)の頭文字に由来する。県の説明によれば、LINEのオープンチャット、オンライン会議のZoom、滋賀県内での対面交流を活用する。参加者は毎回、自分の体験を話す必要はない。人の話を聞くことだけでもよいとしている。病名でひとくくりにされず、似た悩みを持つ人と接点を持てることが、こうした場の価値だ。

更新情報と新規事業は違う

県の新着一覧には2026年10月23日の日付があるが、交流会を紹介する個別ページ自体は2025年5月8日更新と表示されている。したがって、10月23日に交流会が初めて始まった、参加方法が新しく変わったとは確認できない。過去の案内には開催曜日や時間帯の記載もあるが、2026年秋の具体的な開催日、会場、参加条件は主催者の最新情報で確かめる必要がある。本稿は制度と窓口を整理するもので、特定の催しへの参加を確約するものではない。

若年性認知症とは何か

若年性認知症は一般に65歳未満で発症した認知症を指す。原因疾患は一つではなく、症状や進行、必要な配慮も人によって異なる。単に「物忘れが増えた」だけで判断できず、仕事の手順、言葉、判断、移動などに現れる場合もある。体調やストレス、ほかの病気によって似た症状が生じることもあるため、気になる変化があれば医療機関への相談が大切だ。診断名が同じでも、できること、続けたいこと、望む支援は本人ごとに違う。

約3万5700人という推計の読み方

厚生労働省が紹介する2020年公表の全国調査では、18~64歳の若年性認知症の人は約3万5700人、同年齢人口10万人当たり50.9人と推計された。2009年公表の前回調査の約3万7800人、10万人当たり47.6人と単純に比較すると、人数は減る一方で人口当たりの割合は増えた。背景には18~64歳人口自体の縮小もある。この数字は2026年の新しい確定患者数ではなく、推計時点と調査方法を伴う値である。本人や家族が地域で使える支援の総数を示す数字でもない。

働き続けるための支援

仕事を続けたい人にとって、職務内容の調整や通勤、安全面の配慮は重要になる。しかし、会社の理解がなければ相談すること自体が難しい。厚労省は若年性認知症の治療と仕事の両立を支援する手引きを示し、専門の支援コーディネーターには医療、福祉、雇用機関を結ぶ役割を位置付けている。休職、障害に関する制度、収入の変化、家族の働き方も個別に整理する必要がある。診断後、全員が直ちに働けなくなるわけではない一方、就労継続を無条件に保証する制度でもない。

滋賀県の支援コーディネーター

滋賀県の公式案内によれば、「若年性認知症支援コーディネーター」は滋賀八幡病院認知症疾患医療センターおうみと近江温泉病院認知症疾患医療センターに配置されている。本人の希望や困りごとを聞き、適切なサービスや関係機関との連絡調整を支援する。県内の認知症疾患医療センターはいずれも若年性認知症の相談に対応するとされるが、コーディネーター配置施設と全相談対応施設は同じ意味ではない。実際の受付時間や紹介方法は各施設の最新情報で確認したい。

相談の入口は一つではない

最初の相談先には、かかりつけ医、認知症疾患医療センター、自治体の窓口、地域包括支援センターなどがある。滋賀県は介護経験者に相談できる「もの忘れ介護相談室」や全国向けの若年性認知症コールセンターも案内している。職場の問題、医療上の判断、法律や家計の問題では必要な専門家が異なる。相談先の数が多いことは安心材料である一方、本人が各制度を自力でつなぎ直さなければならないなら負担にもなる。継続して相談できる担当者の存在が重要だ。

家族も、それぞれの人生を持つ

家族は通院の付き添いや家計の管理を担うことがあるが、本人の意思を確かめずに生活上の判断を代行してよいわけではない。パートナーが働き続ける必要もあれば、子どもへの説明をどうするか悩む家庭もある。病状、家族構成、本人の希望によって必要な支援は違う。交流会が提供できるのは治療の代わりではなく、制度の情報を得たり、孤立を和らげたり、同じ経験に触れたりする可能性である。その効果を数値で断定する調査は今回確認していない。

日本の政策が変わってきた道筋

若年性認知症の生活実態が注目され、2009年と2020年に全国調査の結果が公表された。相談窓口や若年性認知症支援コーディネーターなどの仕組みも整備されてきた。さらに2023年に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立し、2024年1月に施行された。同年12月に閣議決定した認知症施策推進基本計画は、認知症の人を支援の対象としてだけでなく、意見と希望を持つ社会の一員として捉える「新しい認知症観」を掲げる。理念が暮らしの現場に届くかは、身近な相談と参加の機会にかかっている。

地域の「認知症カフェ」と交流会の違い

滋賀県内には本人、家族、専門職、地域の人が交流する認知症カフェもある。ただし、一般的な認知症カフェと、若年性認知症の本人・家族のニーズに着目したLEAPのような交流の場では、参加者の年齢層や相談内容、開催形態が異なり得る。仕事の悩みを話せる相手がいるか、オンライン参加できるか、家族だけでも相談できるか。必要な機会は一人ひとり違う。複数の場が地域にあることは、同じ支援を重複させるのではなく選択肢を増やすことにつながる。

次の取材で確かめたいこと

滋賀で支援の輪が実際にどのように機能しているかを知るには、LEAPの主催者、参加を希望する本人、家族、支援コーディネーターへの取材が必要だ。2026年度の開催日、参加人数、就労支援への接続、オンラインが苦手な人への対応、県内の地域差も確認したい。本稿では個人の体験談や発言を創作していない。10月23日の一覧更新を新しい制度の開始と混同せず、いま公開されている相談先と交流の仕組みを伝える。若年性認知症をめぐる問いは、何を失うかだけではない。本人が望む暮らしを地域がどう支えるかである。

出典・確認資料

滋賀県と国の公表資料を参照。10月23日の新着一覧とLEAP個別ページの更新日は異なる。本人・家族・主催者への独自取材は行っていない。開催日程や参加方法は最新の主催者案内を確認してください。

  1. 滋賀県:若年性認知症の方やご家族の交流の場
  2. 滋賀県:若年性認知症支援者情報・相談先
  3. 滋賀県:医療福祉推進課の新着情報
  4. 滋賀県:認知症カフェについて
  5. 滋賀県:認知症疾患医療センター
  6. 厚生労働省:若年性認知症の手引き・調査
  7. 内閣官房:認知症施策推進基本計画
  8. 政府広報:知っておきたい認知症の基本
  9. 公益社団法人 認知症の人と家族の会:交流会案内(過去情報)