大学選手権の決勝へ。その目標を秋の一戦一戦につなげるため、京都産業大学のラグビーが再び動き出す。1月には全国の準決勝で敗れ、6月には関西の春季決勝で逆転勝ちした。勝ち切れなかった試合と、流れを取り戻した試合。その両方を経たチームが、今季はどんな80分を積み重ねるのか。

2026ムロオ関西大学ラグビーAリーグの初戦は9月13日(日)。京産大は東大阪市花園ラグビー場の第1グラウンドで、午後4時から立命館大学と対戦する。[1]

全国の舞台を見据えるとしても、目の前にあるのは関西のリーグ戦だ。春の優勝が秋の順位を保証するわけではない。新しい学年構成でつくってきたチームの力を、まず公式戦で確かめることになる。

1月の準決勝が残した点差

今年1月2日、第62回全国大学ラグビーフットボール選手権大会の準決勝で、京産大は明治大学に19―37で敗れた。国立競技場での試合は前半を7―27で折り返し、後半は12―10。後半だけなら得点で上回ったが、前半の20点差を覆すには至らなかった。[2]

ここから読み取れるのは、追い上げる力と、試合全体を勝ち切る力を分けて考える必要があるということだ。後半の得点だけを取り出せば粘りを評価できる。一方、最終スコアは、先に大きな差を許した重さを示している。

ただし、この数字だけで敗因を特定することはできない。反則、陣地、接点での攻防をそれぞれ検証しなければ、どの局面に課題があったかは決められない。本誌として注目したいのは、秋の試合で相手に流れが傾いた時間帯を、どれだけ短くできるかである。

春の決勝では、後半を無失点に

6月28日の関西大学春季トーナメント決勝は、違う結末になった。天理親里競技場で天理大学と対戦し、京産大は前半を14―24で終えながら、後半に14点を加えて28―24で勝った。後半の失点はゼロだった。[3]

関西協会の会見記録によると、廣瀬佳司監督は、前へ出る守備とセットプレーで取り組んできたことを発揮できた点を評価した。主将の石橋チューカは、粘り強い守備とセットプレーをさらに強化したいと説明している。ともに、優勝を完成形とは捉えていなかった。[4]

1月と6月を並べると、後半の立て直しという共通点が見える。ただし、相手も大会も異なり、二つの結果から全国での優劣を予測することはできない。春に示した修正力を、秋には劣勢になる前の安定につなげられるか。それが観戦の一つの手がかりになる。

スクラムは、受け継ぐだけでは強くならない

京産大を語るとき、スクラムは欠かせない。部の歴史紹介は、1980年にスクラムを中心としたセットプレーへ基本戦略を固めたと説明する。現在まで続く競技上の特徴は、最初から備わっていた個性ではなく、チームが選び、積み上げてきたものだった。[5]

スクラムは、軽い反則やプレーの中断後に、ボールを争って試合を再開する仕組みである。World Rugbyの競技規則では、双方が15人の場合、原則として各チーム8人が組む。前列にはプロップ2人とフッカー1人、その後ろにロック2人、さらにバックロー3人が入る。[8]

観客からは押し合う一つの塊に見えても、役割は分かれている。そこで得たボールを次の攻撃にどうつなぐかまで見れば、スクラムを単独の力比べとして眺めるだけでは分からない展開が見えてくる。

大学のチームは、卒業と入学によって顔ぶれが変わる。伝統とは、同じ選手が同じ仕事を続けることではない。新しい組み合わせでも強みを発揮できるようにする作業が、毎年必要になる。今季のスクラムも、過去の評判ではなく、目の前の試合で評価したい。

新興の部から、関西の頂点へ

部の沿革によると、創部は大学が開学した1965年。1974年に関西Aリーグへ昇格し、1982年に大学選手権へ初出場、1990年に関西Aリーグ初優勝を果たした。長い歴史を持つ強豪に挑むところから、全国を目指すチームへと歩んできた。[5]

その過程を長く率いたのが、大西健元監督である。大学が紹介する経歴では、監督を務めたのは1973年から2019年までの47シーズン。その指導と部の歩みは、2021年刊行の書籍でも取り上げられた。[6]

一人の指導者が長く関わった歴史は、現在の選手にそのまま背負わせるものではない。むしろ、当時のチームが自分たちの勝ち方をつくったように、今の世代も強みを確かめ、必要な部分を変えていく。その過程として見るほうが、伝統と現在を結び付けやすい。

2021年の復活を、現在の保証にしない

近年の節目には、2021年の関西Aリーグ優勝がある。大学の回顧記事は23年ぶりの優勝と、同シーズンの大学選手権ベスト4進出を紹介している。1998年以来のリーグタイトルは、長い間隔を経て頂点へ戻った出来事だった。[7]

そこから2026年のチームを見ると、全国の上位を目指す期待には実績の裏付けがある。一方で、過去の到達点は新しいシーズンの出発時に持ち越せる得点ではない。関西で勝ち、全国で勝つための仕事は、今の選手たちが改めて引き受ける。

初めて見る人にも分かる、秋の注目点

本誌が提案する見方は三つある。まず、セットプレーの後に攻撃を続けられているか。次に、相手に前進された後、守備の並びを整え直せているか。そして、失点やミスの直後に、次のプレーをどう選ぶか。いずれも、得点場面だけでは見えないチームの働き方に注目する問いだ。

これは京産大の弱点を断定するチェックリストではない。春に首脳陣が挙げた強化の方向と、過去の試合結果を踏まえた観戦の視点である。大きな勝利でも内容を確かめ、僅差の試合でも何を改善できたかを見ることで、シーズンの変化を追いやすくなる。

開幕戦の主な案内
対戦立命館大学―京都産業大学
日時2026年9月13日(日)16:00キックオフ
会場東大阪市花園ラグビー場・第1グラウンド
児童・生徒の招待小・中・高校生は自由席に無料招待。事前申込み不要。中・高校生は生徒手帳を持参。
最新情報関西協会の開幕戦案内を確認。

無料招待は、協会が開幕戦の企画として案内している条件である。すべての観客や席種が無料になるという意味ではない。観戦前には、チケットと開催情報を確認したい。[1]

Japan.co.jpの視点:決勝への道は、試合の途中にある

決勝進出という大きな目標は、秋の試合を見続ける理由になる。ただ、その可能性を測る材料は、遠い先の組み合わせ予想よりも、目の前の80分にある。相手の勢いを止め、自分たちの攻撃を再開し、疲れた時間帯にも判断をそろえられるか。

春の逆転勝ちは、その作業が結果につながった一例だった。秋には、同じことを別の相手、別の状況でも繰り返せるかが問われる。京産大の新しい挑戦は、9月13日の花園で、まず一試合分の答えを出す。