世界大会は9月5日に始まる。しかし、日本のボールが最初に動くのは翌6日だ。FIFA U-20女子ワールドカップポーランド2026で、U-20日本女子代表は9月6日午後3時(現地時間)、ウッチのStadion Miejski ŁKS ŁódźでニュージーランドとグループD初戦を戦う。日本時間では同日午後10時。大会初日の喧騒を一日見届けてから、日本は自分たちの大会へ入る。
その立場は「挑戦者」でありながら、同時に明らかな優勝候補の一角でもある。日本は2018年大会で初優勝し、2022年と2024年は準優勝。新型コロナウイルスの影響で中止された2020年大会を挟み、実際に行われた直近3大会すべてで決勝へ進んでいる。FIFAの今大会抽選でも、日本は開催国ポーランド、スペイン、朝鮮民主主義人民共和国、ブラジル、フランスと並ぶ第1ポットに入った。
24チーム制の2回目 「3位でも通過」が試合を簡単にはしない
今大会は24チームが参加する第12回大会で、24チーム制としては2024年コロンビア大会に続く2回目。6組に4チームずつ入り、各組上位2チームに加えて3位のうち成績上位4チームがラウンド16へ進む。
開催都市はカトヴィツェ、ビェルスコ=ビャワ、ウッチ、ソスノヴィエツの4都市。日本のグループD3試合はすべてウッチの同じスタジアムで行われる。移動を最小限にできる一方、6日、9日、12日と短い間隔で異なるタイプの相手へ対応しなければならない。
日本・グループD日程
| 試合 | 現地時間 | 日本時間 | 対戦相手 |
|---|---|---|---|
| 第1戦 | 9月6日 15:00 | 9月6日 22:00 | ニュージーランド |
| 第2戦 | 9月9日 18:00 | 9月10日 1:00 | アメリカ |
| 第3戦 | 9月12日 15:00 | 9月12日 22:00 | イタリア |
3試合ともStadion Miejski ŁKS Łódź。JFAはDAZNでの配信予定を案内している。
アジア王者としてポーランドへ
監督は井尻明(いじり・あきら)。5月に組み合わせが決まった際、井尻監督は3チームとも力のある相手と評価し、日本らしさをピッチで強く表現しながらチャレンジャーとして戦う姿勢を示した。
しかし、このチームが春に残した数字は強い。4月のAFC U20女子アジアカップタイ2026で、日本はインドに6-0、チャイニーズ・タイペイに2-0、オーストラリアに5-2。準々決勝でベトナムを4-0、準決勝で中国を2-0で下した。
決勝の相手は、2024年のU-20女子ワールドカップ決勝でも日本を破った朝鮮民主主義人民共和国。今度は56分、佐野杏花(さの・ももか)が決勝点を奪い、日本が1-0で勝った。6試合20得点、失点はオーストラリア戦の2点だけ。5試合で無失点という内容でアジアを制した。
大会直前に背番号10を失った
9月3日、JFAは大会メンバー変更を発表した。リバプールFC所属の板村真央(いたむら・まお)が「コンディション不良」のため離脱。代わって神奈川大学の松澤実来(まつざわ・みく)が背番号10で追加招集された。
診断名や症状は発表されていないため、「けが」と断定することはできない。JFAの表現はあくまでコンディション不良である。
板村の離脱が軽い変更と言えない理由は春のアジアカップにある。準々決勝ベトナム戦で2得点、準決勝中国戦でも開始5分に先制点。ノックアウトステージで3得点し、決勝でも先発した。攻撃の中心の一人を大会直前に失ったことは事実だ。
21人はプロ、大学、アカデミーから集まった
最終メンバーはGK3人、フィールドプレーヤー18人。日テレ・東京ヴェルディベレーザから4人、JFAアカデミー福島から2人。WEリーグ所属選手、大学生、U-18年代が同じチームに入る。
GK岩崎有波(いわさき・うるは)はアジアカップ準決勝・決勝で主将を務めた。決勝点の佐野、福島望愛(ふくしま・のあ)はJFAアカデミー福島。田子夏海(たご・なつみ)はセレッソ大阪ヤンマーレディースでプレーする。
U-20日本女子代表・ポーランド大会メンバー
| # | 選手 | 所属 |
|---|---|---|
| 1 | 岩崎 有波 | ノジマステラ神奈川相模原 |
| 21 | 名和 咲香 | セレッソ大阪ヤンマーレディース |
| 12 | 石田 ひなは | サンフレッチェ広島レジーナ |
| 2 | 青木 夕菜 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
| 3 | 朝生 珠実 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
| 4 | 太田 美月 | INAC神戸レオネッサ |
| 5 | 本田 悠良 | 日体大SMG横浜 |
| 6 | 古田 麻子 | 帝塚山学院大 |
| 7 | 松永 未夢 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
| 8 | 樋口 梨花 | ちふれASエルフェン埼玉 |
| 9 | 田子 夏海 | セレッソ大阪ヤンマーレディース |
| 10 | 松澤 実来 | 神奈川大 |
| 11 | 津田 愛乃音 | マイナビ仙台レディース |
| 13 | 福島 望愛 | JFAアカデミー福島 |
| 14 | 眞城 美春 | 日テレ・東京ヴェルディベレーザ |
| 15 | 鈴木 温子 | 日体大SMG横浜 |
| 16 | 原 ひばり | ちふれASエルフェン埼玉 |
| 17 | 佐野 杏花 | JFAアカデミー福島 |
| 18 | 佐藤 百音 | RB大宮アルディージャWOMEN |
| 19 | 栗本 悠加 | 筑波大 |
| 20 | 中村 心乃葉 | セレッソ大阪ヤンマーガールズU-18 |
8月18日発表メンバーに、9月3日の板村真央離脱・松澤実来追加招集を反映。
6月のスペイン遠征は「閉じ方」も教えた
アジアカップ優勝後、日本はスペインへ遠征した。6月6日のカナダ戦は2-2。39分に先制されながら、青木夕菜が50分、福島望愛が68分に得点して逆転。その後、90+2分に追いつかれた。
3日後のイングランド戦は1-0。88分に太田美月が決勝点を挙げた。大会本番とは条件も選手起用も違うが、北米・欧州の相手と連戦し、「追う試合」「逃げ切る試合」を経験できた。
2002年「U-19」から、2018年世界一へ
この大会の第1回は2002年、カナダでFIFA U-19女子世界選手権として開催された。日本はナイジェリアと引き分け、カナダに敗れ、デンマークに勝って準々決勝へ進んだが、ドイツに延長で敗れた。
2008年は準々決勝。2010年はグループステージ敗退。2012年の日本開催では「ヤングなでしこ」が3位となり、2016年も3位。そして2018年フランス大会で頂点へ届く。決勝でスペインを3-1で破り、宮澤ひなた、宝田沙織、長野風花が得点。植木理子、遠藤純らも大会を通じて重要な役割を担った。
2022年はスペインに1-3で敗れて準優勝。2024年も決勝へ進んだが朝鮮民主主義人民共和国に0-1。FIFAはこれを日本にとって3大会連続の世界大会決勝と整理している。
2002年:U-19女子世界選手権として初出場、準々決勝。
2012年:日本開催で3位。
2016年:3位。
2018年:スペインを3-1で破り初優勝。
2020年:大会中止。
2022年:準優勝。
2024年:準優勝。実施3大会連続で決勝。
2026年:4大会連続決勝と2度目の優勝を目指す。
U-20は、数年後のなでしこを先に見る大会でもある
2018年優勝メンバーの宮澤、長野、植木、遠藤らは、その後の日本女子サッカーで中核を担う選手になった。U-20のタイトルが将来を保証するわけではないが、世界レベルの圧力と速度を10代で経験する価値は大きい。
ポーランドで見るべきものは勝敗表だけではない。誰が強いプレスの中で前を向けるか。誰が守備から攻撃への最初のパスを出せるか。0-0や0-1の終盤で誰が試合を変える判断をできるか。それが数年後のなでしこジャパンの選択肢につながる。
ニュージーランド戦の7-0は、今回の予言ではない
2024年大会で日本はニュージーランドを7-0で下した。しかしU-20では2年あれば大半の選手が入れ替わる。過去の大勝は今回のスコアを保証しない。
第2戦はアメリカ、第3戦はイタリア。日本はポット1だったが、井尻監督が抽選後に3チームすべてを力のある相手と位置づけた理由は明確だ。世界大会では名前よりも、その90分で起きる局面への対応がすべてになる。
最も参考になるのは、アジア決勝の1-0かもしれない
日本はアジアカップで20得点した。しかしポーランドで深く勝ち上がるための教材は、むしろ決勝の1-0だ。相手は2024年世界大会決勝で日本が崩せなかった朝鮮民主主義人民共和国。2026年は佐野の1点を守り切った。
ノックアウトでは、内容で上回っていても点が入らない時間がある。押し込まれても一点差を守らなければならない時間もある。技術だけでなく、試合の「苦しい時間」を管理できるかが4大会連続決勝への鍵になる。
9月6日午後10時、日本の2026年世界大会が始まる
大会自体は9月5日に開幕する。日本はその日、試合ではなくトレーニングを予定している。そして翌6日、ウッチでニュージーランドと向き合う。
18歳、19歳の選手たちにとって、2018年の優勝は歴史であり、2022年や2024年の準優勝も自分たちが直接作った結果ではない。継承されるのはメダルではなく、この年代の日本が世界大会で最後の週まで残ることを目標にしてきた文化だ。
勝ち上がれば9月27日の決勝もウッチ。そこまで同じ街にいられるか。答えはまず、9月6日午後10時、日本時間のニュージーランド戦から始まる。
資料・出典
- JFA「U-20日本女子代表 メンバー・スケジュール」 — 8月18日。当初メンバー、スタッフ、現地スケジュール、選手名の読み。
- JFA「U-20日本女子代表 選手変更」 — 9月3日。板村真央離脱、松澤実来追加招集。
- JFA「組み合わせ決定」 — グループD、試合日時、井尻明監督コメント。
- JFA「TV放送/配信」 — 日本時間キックオフとDAZN予定。
- JFA「2026年試合日程・結果」 — アジアカップ、親善試合、W杯日程。
- JFA「AFC U20女子アジアカップ決勝」 — 朝鮮民主主義人民共和国0-1日本。
- JFA「準々決勝 日本4-0ベトナム」 — 板村真央2得点。
- JFA「準決勝 中国0-2日本」 — 板村真央、福島望愛の得点。
- JFA「カナダ2-2日本」 — 6月6日親善試合。
- JFA「イングランド0-1日本」 — 6月9日親善試合。
- JFA「ワールドカップヒストリー」 — 2002年からの日本の大会史。
- FIFA “Squad lists confirmed for Poland 2026” — 24チーム、6組、進出方式、開催都市。
- FIFA “Draw on 15 May” — 日本の第1ポット入り。
- FIFA “A look back at every final” — 2024年時点で日本が3大会連続決勝。
本稿は2026年9月4日午前4時20分(日本時間)までに確認できた公開資料を照合した。選手名・読み、スタッフ名、大会正式名称はJFA日本語一次資料を優先した。8月18日の当初メンバー表は9月3日の選手変更発表より古いため、本稿では板村真央を現行21人から外し、松澤実来を背番号10として掲載した。板村の離脱理由はJFA表記どおり「コンディション不良」とし、診断名を推測していない。9月5日は大会開幕日だが、日本の初戦は9月6日である。先発、今大会の主将、試合結果はまだ確定していないため予測で補わなかった。
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