5日間あれば、遠くまで行ける。けれど、その5日間を多くの人が同時に使おうとすると、旅の成否を左右するのは距離よりも時間の配分になる。2026年9月19日から23日まで、土日と祝日・休日がつながるシルバーウィークを迎える。鉄道の予約と高速道路の予測は、移動が集中する秋の連休を示している。

この機会を、訪問先を増やすためだけに使う必要はない。往復の足を確保し、一つの地域で夜まで過ごす。帰省に小さな寄り道を添える。早い時期の予約集計を読み解きながら、上田、松江、名古屋を手掛かりに、今年の5日間の使い方を考える。

9月22日は、なぜ休みなのか

今年の並びは、19日が土曜日、20日が日曜日、21日が敬老の日、22日が祝日法による休日、23日が秋分の日だ。22日は日曜日の祝日を振り替えた日ではない。「国民の祝日に関する法律」第3条第3項により、前後を国民の祝日に挟まれた平日が休日になる。5日すべてが「国民の祝日」というわけではなく、土日が休みの人に5連休が生まれる暦である。[1]

2026年9月19〜23日の暦(内閣府資料に基づく)
日付暦の位置付け
9月19日(土)土曜日
9月20日(日)日曜日
9月21日(月)敬老の日
9月22日(火)祝日法第3条第3項による休日
9月23日(水)秋分の日

24日と25日にも休暇を取れ、次の土日も休める人なら、19日から27日まで9日間に延ばせる。ただし、これは勤務や休暇の条件がそろう場合の話だ。連休を支える交通、宿泊、飲食などの現場では働く人もいる。「全国が一斉に休む」と捉えるより、休む人と迎える人の予定が重なる期間と考えたい。

長い連休を生んだ、祝日の歴史

敬老の日が国民の祝日になったのは1966年。当初は9月15日で、2003年から9月の第3月曜日に移った。一方、秋分の日は毎年同じ日付に固定された祝日ではない。この二つの日取りが今年はかみ合い、間の1日も休日になる。高速道路各社の発表は、今回を11年ぶりの5連休としている。[2][5]

暦が生むまとまった時間には、観光以外の意味もある。敬老の日は高齢者を敬い長寿を祝う日、秋分の日は祖先を敬い亡くなった人々をしのぶ日とされる。帰省や家族との食事を中心に据え、その周辺に旅を組む人にも使いやすい並びだ。行楽の予定で埋め尽くすだけが、連休の過ごし方ではない。[2]

東海道新幹線の107万席が示すもの

JR東海が9月4日に発表した予約状況では、9月3日現在、18〜23日の東海道新幹線の指定席予約は107万席。前年の同じ曜日の並びに当たる期間の171%、つまり71%増だった。提供座席数は316万席で、前年の129%。予約の山は下りが19日、上りが22日とされた。対象は金曜日の18日を含む6日間である。[3]

この数字は需要の強さを示す一方、9月19日朝に何席残っているかを教えるものではない。予約はその後も動き、列車や区間によって偏りがある。また、予約席数は旅行者の実人数でも、全国の旅行総数でもない。往復の予約、別の交通手段、帰省や仕事などが混在するため、「107万人が観光に出掛ける」と言い換えることはできない。

提供座席数が増えていても、希望する時間帯の隣り合った席が取れるとは限らない。家族や同行者と座る必要があるなら、出発便だけでなく帰りの便から確認したい。集計は旅の混み方を考える材料、予約画面は自分の旅を成立させるための情報であり、役割が違う。

自由席を前提にしない鉄道計画

9月18〜23日は、東海道・山陽新幹線「のぞみ」が全席指定席で運転される。「ひかり」「こだま」には自由席があるが、座れる保証はない。「のぞみ」は、適切な自由席特急券などで普通車のデッキ等に立って利用できる場合があるものの、混雑状況によって乗車を制限することがある。座席が必要な旅の代案として、立席を当てにするのは避けたい。[4]

同じ18〜23日には、特急「ひだ」「しなの」「南紀」も全席指定席となる。幹線の新幹線だけを予約し、その先は自由席で行こうと考えていると、地域への入口で計画が崩れる可能性がある。利用する列車ごとに、席と乗車条件を確かめることが大切だ。[3]

現地の最終バスや宿への移動も、往復の鉄道と一緒に組み立てたい。駅に着く時刻と、実際に荷物を置いて歩き始められる時刻は違う。乗り換えを一つ減らす、到着日の訪問先を一つに絞る。その小さな余白が、遅れへの備えにも休息にもなる。

車の旅は、渋滞と割引を別々に確認

高速道路各社などが8月28日に公表した全国予測は、19〜23日に10キロ以上の渋滞が上下線合わせて279回発生すると見込む。279カ所という意味ではなく、期間中の発生回数の合計だ。予測には予定された工事規制が織り込まれているが、実際の交通は事故や天候などで変わる。さらに、この期間は高速道路の休日割引が適用されない。[5]

車と鉄道を比べる際は、運賃とガソリン代だけで判断しない方がよい。通行料金、駐車料金、途中の休憩、渋滞で失う時間まで含めると、選び方は変わる。夜間にずらす案も、運転する人の睡眠を削ってまで実行するものではない。出発直前には日本道路交通情報センターなどで、使う経路の状況を確かめたい。

上田では、城下町と食を一つの滞在に

長野県上田市は、東京方面から北陸新幹線で入ることができ、地域内には上田電鉄別所線がある。ここでは移動範囲を広げるより、城下町と周辺を一つの滞在として組む方法を提案したい。[7]

信州上田観光協会が紹介する柳町には、北国街道の宿場町として栄えた町並みが残り、酒、味噌、パンなどの作り手が集まる。城の見学と食の散策を同じ日に置けば、建物だけでなく、その町で今も続く仕事にも目が向く。[8]

別所温泉方面を組み合わせる場合も、毎晩宿を変える必要はない。到着日は市街地、翌日は沿線というように、移動を分ける考え方がある。これは編集部による旅程の提案であり、空室や空席、混雑の少なさを確認したランキングではない。店の営業日と足の便を確かめ、実際に確保できる条件に合わせて組み直したい。

松江では、夜を残しておく

島根県松江市では、国宝松江城で「水鏡 松江城(すいきょう まつえじょう)」が9月23日まで予定されている。松江観光協会の案内では、開催時間は午後6時30分〜9時、最終受付は8時30分。観覧は無料で、夜間の天守登閣はない。水鏡と光、音で城を見せる催しだ。[9]

夕方に帰路へ急ぐ旅程では、この時間を取りこぼす。宿泊するなら、昼間の見学を詰めすぎず、夕食と夜の散策をつなげる余地を残すとよい。なお、「松江水燈路」は9月26日からの開催で、今回の5連休とは日程が異なる。似た印象の催しでも、名前と日付を分けて確認したい。[9]

名古屋は、大会と重なる都市として考える

名古屋方面は別の事情が重なる。第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)の開会式が9月19日にあり、NEXCO中日本も連休と大会が重なることを交通予測で取り上げている。静かな代替先と決めつけず、大会期間の都市として旅程を考える必要がある。[6]

観戦が目的なら、競技の入場条件と会場への足を先に固める。観戦しない場合も、駅から目的地までの移動や宿の条件を個別に確認したい。大会との重なりだけで全国の予約増を説明することはできないが、目的地の事情が同じ5日間の使いやすさを変える例にはなる。

「5日で何カ所」より、誰とどう過ごすか

連休前に確かめたいのは、帰りの交通、宿の取消条件、現地の移動、そして同行者が無理なく動ける行程だ。段差の少ない経路や乗車時の手助けが必要なら、駅や宿に具体的に相談しておく。地図上では近くても、荷物や歩く速さによって必要な時間は違う。

天気や運行状況は、早い時期の予約発表では判断できない。出発に近い時点で気象庁の予報と交通事業者の案内を見て、変更できる予定を残しておきたい。ここで挙げた地域も、好天や紅葉の見頃を保証するものではない。

5日間は、遠くへ行くための時間にも、一つの場所にとどまるための時間にもなる。町で食事をし、店をのぞき、翌朝また歩く。家族に会い、急がず帰る。混雑を完全になくすことはできなくても、移動の数を減らし、過ごしたい時間を先に決めることはできる。珍しい暦の並びを、慌ただしい通過ではなく、記憶に残る滞在へつなげたい。