小型衛星は、すでに完成していた。東京のアクセルスペースが開発した地球観測衛星7機は、試験を終え、太平洋を渡り、米カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地で打ち上げスタックに取り付けられた。残るのは、一般の目にはほとんど見えない仕事の連鎖だった。適切なロケットと軌道の枠を確保し、衛星をロケット側の規則に適合させ、フライトハードウェアを国境越しに運び、汚染を避けて統合し、機械・電気インターフェースを一つずつ確認する。そしてFalcon 9が宇宙に到達した後、7機を正しい順序で、確実に分離する。
この連鎖を担ったのがExolaunch(エクソローンチ)である。2026年7月7日、ベルリンに本社を置く同社は、SpaceXの相乗りミッションTransporter-17で顧客衛星49機を放出した。そのうち7機がアクセルスペースの次世代光学衛星GRUS-3だった。7機すべてが予定軌道に投入され、最初の電波を地上へ届けた。同じ便には20を超える民間、研究、政府系の顧客の衛星が搭載され、Exolaunchの公表実績は48ミッション、累計839機に達した。
同社にとって、これは単なるカリフォルニアからの打ち上げではない。東京での拠点設置が、実働する宇宙インフラへ変わったことを示す最も鮮明な証拠だった。1年前の2025年7月7日、令和7年の「7・7」に、同社はExolaunch Japan株式会社を正式に設立した。同時期にSAR衛星企業Synspectiveと10機のマルチローンチ契約を結び、ロケット開発のインターステラテクノロジズとも戦略提携した。2026年4月にはRocket LabのElectronでJAXAの実証衛星8機を放出。そして7月、GRUS-3が日本戦略をコンステレーション規模の実績へ押し上げた。
「衛星会社」だが、衛星を造る会社ではない
まず見出しの意味を正確にしておきたい。Exolaunchは衛星分離技術と打ち上げミッション管理の会社であり、顧客の衛星本体を製造するメーカーではない。同社の商品は、衛星企業とロケット企業の間をつなぐ層だ。打ち上げ枠の調達、ミッションと軌道の選定、インターフェース文書、工程調整、試験と物流、ロケットへの衛星統合、そして軌道上で衛星を放出する装置までを一体で扱う。
相乗り打ち上げは、遠目にはコンテナ船に似ている。互いに関係のない開発チームの衛星が1本のロケットに同乗する。しかし衛星ごとに質量特性、寸法、電気条件、清浄度、目的軌道が違う。ロケット会社は小口顧客のたびに機体を再設計できない。衛星会社も、各打ち上げ事業者の手続きを熟知した専門部隊を常設できるとは限らない。そこでインテグレーターが両者の言語を翻訳する。
Exolaunchは、物理的な「翻訳装置」も自社開発する。EXOpodはCubeSatを収納し、軌道上で放出する。6U/8U、12U、16Uなどの構成があり、最新版のEXOpod Novaは従来のCubeSat標準より大きな側面突起や質量を許容すると同社は説明する。CarboNIXは小型衛星向けの分離システム、EXOportとEXOtubeは複数衛星を共通構造にまとめるための製品だ。シーケンサーと接続機器が、正しい時刻に正しい機構へ放出命令を送る。
分離の瞬間は短いが、その結果は永久に残る。衝撃が強すぎれば観測機器を壊す。余計な回転を与えれば、衛星の捕捉や太陽電池の発電を難しくする。衝突すれば、複数のミッションを失う。扉やクランプが開かなければ、何年もの開発成果が上段ロケットに付いたままになる。だから「フライトヘリテージ」は累積する。無事故の放出一回一回が、次の顧客、保険会社、ロケット会社に対する証拠になる。
ベルリンの大学研究室から相乗り時代へ
Exolaunchの出発点は、巨大な老舗宇宙企業ではなく、ベルリン工科大学(TU Berlin)だった。同大学宇宙技術部門の研究者と技術者が2010年に創業。2013年4月、Soyuzの相乗り便で小型衛星3機の最初のクラスターを軌道へ送り、大学から優秀スタートアップとして認定された。
時代設定が重要である。小型衛星は地球観測、通信、科学で本格的な仕事ができるようになっていたが、宇宙への入口は依然として大型主衛星を中心に設計されていた。SoyuzやインドのPSLVが初期の商業相乗り機会を提供したが、空き質量を見つけるだけでは打ち上げられない。顧客を束ね、書類とハードウェアを標準化し、クラスター全体を一つのシステムとして引き受ける主体が必要だった。
2017年7月のSoyuzミッションは、そのモデルが拡大できることを示した。ロケット全体では当時記録的な73機の小型衛星が搭載され、Exolaunchは15機分の枠とサービスを担当した。EXOpod放出装置とEXOboxシーケンサーはこの便で初の飛行実績を獲得。シュトゥットガルト大学の120キログラム級Flying Laptopは、同社が扱った初の小型衛星となった。
その後、重心はSpaceXの高頻度Falcon 9相乗り便へ移った。Exolaunchは2020年にSpaceXとマルチローンチ契約を結び、TransporterとBandwagonの開始以来、全便に参加してきたと説明する。標準化され、定期的に運航される便は、インテグレーターを「まれな空席を探す仲介者」から、反復するグローバル物流網の運用者へ変えた。
Transporter-17は、その規模を示す。同社は1本のFalcon 9に、19機の小型衛星と30機のCubeSat、計49機をまとめた。顧客は日本の光学衛星、フィンランドのレーダー衛星、カナダ、チェコ、スペイン、英国、米国の宇宙機に及ぶ。この一便のなかで、同社の累計800機目も放出された。
| 年 | Exolaunchの節目 | 事業への意味 |
|---|---|---|
| 2010 | TU Berlinの宇宙技術研究者らが創業 | 大学の小型衛星技術が商業統合サービスへ転じる。 |
| 2013 | Soyuzで初の3機クラスター | 初期の商業相乗り市場で飛行実績を開始。 |
| 2017 | 15機を担当、EXOpod・EXObox初飛行 | サービスと自社放出ハードが相互に競争力を高める。 |
| 2020 | SpaceXとマルチローンチ関係 | Transporter等の定期便が世界規模の反復可能な供給を作る。 |
| 2025 | 東京オフィス、Exolaunch Japan設立 | 営業とミッション支援をアジアの衛星運用者の近くへ置く。 |
| 2026 | JAXA衛星、GRUS-3、累計839機 | 官民双方、コンステレーション規模で日本拠点を実証。 |
なぜ日本なのか。なぜ今なのか
日本では、打ち上げ統合が「たまに買う作業」ではなくなりつつある。光学衛星と合成開口レーダー(SAR)の企業は、補充と増強を繰り返すコンステレーションを構築する。大学は軌道上実証を必要とし、部品メーカーは飛行実績を求める。JAXAも民間技術を軌道へ運ぶ制度を整える。防災、海洋監視、農業、気候、さらに安全保障が、観測頻度への需要を高めている。
政策の規模は大きい。政府は国内宇宙産業を2020年の約4兆円から、2030年代初頭に8兆円へ倍増させる目標を掲げる。JAXAが運用する宇宙戦略基金は、最長10年で1兆円の確保を目指し、輸送、衛星、探査などを支援する。資金がそのまま打ち上げになるわけではない。しかし、いずれロケット、統合、放出装置を必要とする案件の母数を増やす。
法制度も変化した。2008年の宇宙基本法は、宇宙を国民生活、安全保障、産業競争力、民間商業化へ明確に結びつけた。2016年の宇宙活動法は、人工衛星等の打ち上げと管理に許可・責任の枠組みを設け、同時期の衛星リモートセンシング法は機微な観測データの扱いを規定した。公的機関中心の計画から、規制された官民市場への転換である。
一方、日本の打ち上げ供給には制約がある。H3は競争力のある基幹ロケットを目指し、民間企業も小型ロケットを開発するが、コンステレーション事業者は一つの国内日程だけを待てない。日本のロケットが成熟するまでの間も、Falcon 9、Electron、その他の機体へアクセスしなければならない。ロケットを限定しないインテグレーターにとって、まさにこの混在が市場になる。
日本進出を実体化した三つの契約
第一の柱はSynspectiveである。東京のSAR衛星企業は2025年7月、2027年からStriX衛星10機を複数便で打ち上げる契約をExolaunchと結んだ。SARは雲を透過し、夜間も観測できるが、再訪時間を短くするには、協調する衛星数を増やす必要がある。マルチローンチ契約は、特定ロケットの一回の遅延がコンステレーション全体を止めるリスクを軽減する。東京オフィスは、ミッション全段階での直接協業と24時間支援を掲げた。
第二の柱はインターステラテクノロジズだ。北海道のロケット・通信企業は、ZEROロケットの衛星分離システムについてExolaunchを優先的な提供者に指定した。Exolaunchは将来のマルチローンチ契約で優先権を得て、空き搭載能力にもアクセスする。ZERO側は飛行実績のある放出装置と国際顧客への経路を得る。Exolaunch側は、日本のロケットを顧客へ提示できる。
第三の柱がアクセルスペースである。2025年12月のマルチローンチ契約と関連契約で、地球観測AxelGlobeと軌道上実証AxelLiner向けに合計8機分の打ち上げ機会を確保した。そのうち7機が2026年7月のGRUS-3となった。アクセルスペースによれば、高度約585キロから北緯25度以北の同一地点を1日1回観測でき、地上分解能は2.2メートル、7機合計の1日撮像能力は230万平方キロメートルに達する。
GRUS-3は分業構造を可視化した。アクセルスペースが衛星を設計・製造し、運用と画像販売を担う。SpaceXがFalcon 9を提供し、打ち上げる。Exolaunchが枠を調達し、ミッションを管理し、衛星を統合して軌道上で放出する。各社は異なる層を所有し、一社だけではサービスを完成できない。
JAXAミッションが示した「制度的な信頼」
民間契約は市場を作る。国家宇宙機関のミッションは、別種の信頼を示す。2026年4月23日、ニュージーランド・マヒア半島からRocket LabのElectronが飛び立ち、JAXA「革新的衛星技術実証4号機」の衛星8機を運んだ。ExolaunchはEXOpod Novaと統合サービスを提供し、8機すべてが軌道に放出された。
搭載衛星は、日本の大学、研究機関、企業が開発した。教育用衛星、海洋観測衛星、超小型マルチスペクトルカメラの実証衛星、収納時から25倍に展開するアンテナを備えたOrigamiSat-2などである。このミッションの役割は、新技術に宇宙産業で最も重い資格、すなわち軌道上の証拠を与えることだった。
Exolaunch Japanにとっては、日本の搭載者、ドイツのインテグレーター、米国・ニュージーランド系のロケット会社、ニュージーランドの射場を、東京の支援でつないだ仕事になる。主権的能力を目標にしていても、現代の国家宇宙生態系はこうして動く。強靱性は全要素を国内所有することだけではない。ある機体や日程が使えないとき、複数の信頼できる経路を持つことでもある。
Exolaunch以前から続く日独宇宙協力
Exolaunchは、何もない場所へ来たわけではない。ドイツと日本は、難しい宇宙ミッションを相互補完的な部品へ分ける経験を積んできた。ドイツ航空宇宙センター(DLR)とJAXAは2022年に戦略的パートナーシップの枠組みを拡張し、宇宙、航空、関連技術の研究協力を深めた。地球観測、探査、再使用型輸送まで範囲は広い。
ドイツとフランスが開発した小型着陸機MASCOTは、日本の「はやぶさ2」に乗り、小惑星リュウグウ表面で2018年に活動した。その精神的後継が、DLRとフランス国立宇宙研究センター(CNES)が日本の火星衛星探査計画MMX向けに開発した小型ローバーIDEFIXである。JAXAは2024年、MMXへの搭載に向けてIDEFIXの引き渡しを受けた。MMXは火星衛星フォボスを探査し、試料を地球へ持ち帰る計画だ。
輸送分野では、DLR、JAXA、CNESが高さ13メートルの実証機CALLISTOを共同開発し、再使用ロケット段に必要な垂直離着陸技術を試そうとしている。地球観測では2024年、EarthCAREをめぐるJAXA・DLRの協力取決めが結ばれた。こうした案件は、互いの技術文化、品質保証、長期工程を理解する土台を作った。
Exolaunchは、この関係の商業化を象徴する。以前のモデルでは、国家機関の間で研究と観測機器を交換した。新しいモデルは、民間企業の間で打ち上げ枠、統合作業、分離機構、顧客アクセスを交換する。国境を越えるのは、一回限りの科学装置だけではない。反復できるサービスである。
ペンシルロケットから「選べる打ち上げ」へ
日本の宇宙史は、もっと小さな物体から始まった。1955年、糸川英夫率いる東京大学のチームが、全長23センチのペンシルロケットを実験した。15年後、L-4Sロケットの4回の失敗を越え、1970年2月11日に「おおすみ」を軌道へ投入。日本は自力で人工衛星を打ち上げた世界4番目の国となった。その成果は、衛星とロケットの開発を国家プロジェクト内で一体化したものだった。
その後、日本は科学衛星用のMロケット、NASDAの実用衛星と液体ロケット、H-II系列を築き、2003年にはISAS、NASDA、航空宇宙技術研究所を統合してJAXAを設立した。ミッション、衛星、ロケットを国家システムとして調整する能力を育てた歴史である。
NewSpaceは、そのシステムを分解する。大学は標準衛星バスを買える。データ企業は数十機を運用する。ロケット会社は機体全体ではなく一つの搭載ポートを売る。インテグレーターは顔を合わせない顧客を一便にまとめる。分業は参入障壁を下げる一方、接続点を増やす。Exolaunchの事業は、その接続点が産業になるほど増えたために存在する。
歴史的な逆説は有益だ。日本最初の宇宙成功は、垂直統合された主権的な軌道アクセスだった。次の成長は、安全、日程、戦略技術の管理を失わずに、多数の機体、国、供給者を使えるかにかかっている。
「本格展開」が意味すること、意味しないこと
Exolaunchは複数の境界を越えた。東京オフィス、日本法人、現地責任者と拡大するチーム、日本の衛星会社との長期契約、国産ロケット候補との提携、JAXAとアクセルスペースの完了案件である。これは見本市への出展を超え、「本格的な商業展開」と呼べる事実だ。
ただし、日本の製造工場を意味しない。同社が公表する産業設備の拡張は、現時点ではベルリンが中心である。2026年初め、ベルリン本社を約1,400平方メートル、衛星統合・打ち上げハード施設を750平方メートル超へ拡大したと発表した。東京拠点は、地域の事業開発、ミッション支援、顧客との協業を担う。将来、放出装置の製造、環境試験、射場統合まで日本へ移せば、それは別の重要な段階となる。
投資家も次の拡大を見込む。2026年6月、投資会社EQTは創業者Dmitriy SternharzからExolaunchを買収することで合意した。発表時点で同社は47ミッション、790機超、民間・政府顧客200以上を公表。EQTは国際展開、製品革新、宇宙バリューチェーン上の新サービスへ投資するとした。買収金額は非公表で、完了には通常の条件が残る。
買収合意以前、Exolaunchは2026年に人員を約30%増やし、売上高を過去最高だった2025年の3.5倍、すなわち250%増とする見通しを示した。年間20ミッション超、数百機の衛星投入も計画した。これは経営側の予測で、監査済みの結果ではない。Transporter-17と累計839機は予測を支える実働基盤を示すが、目標達成を保証しない。
戦略上の緊張――世界へのアクセスと主権的能力
日本は両方を求めている。衛星企業は、世界市場で最安、最速、最も信頼できる経路を必要とする。政府は国内打ち上げ能力、安全な供給網、外国の政治判断や日程への依存低下を望む。Exolaunchが両立に貢献するには、本当の意味でロケット中立でなければならない。
現在の事業はSpaceXと深く結びつく。TransporterとBandwagonの全便参加は、頻度、データ、信頼された接続仕様という大きな優位を生む。同時に集中リスクでもある。一社で事故、政策変更、輸出規制、価格改定、搭載枠の逼迫が起これば、多数の顧客へ同時に波及する。Rocket Lab、欧州の新型機、日本のZEROを加えることで、「選択肢」という宣伝文句が実際の強靱性になる。
安全保障はさらに複雑だ。地球観測と通信衛星は、民生と防衛の双方に使われる。顧客データ、軌道、搭載機器の仕様、放出順序は機微情報になり得る。日本のリモートセンシング法、各国の輸出管理、打ち上げ国の規則、ロケット会社の要求が重なる。日本法人は言語と契約を助けるが、義務を消すわけではない。
軌道の持続可能性も実務である。インテグレーターは各衛星の寿命末期計画を決めないが、マニフェスト、軌道選択、放出順序が交わる場所にいる。コンステレーションが増えるほど、顧客と規制当局は、衛星が無事に離れたかだけでなく、追跡、制御、衝突回避、最終的な軌道離脱ができるかを問う。
- 打ち上げ確度:枠は確定契約か。延期や機体変更時の扱いは何か。
- 接続仕様の責任:質量特性、試験、例外、直前変更を誰が承認するか。
- 同一構成の飛行実績:提案された機構と構成は何回使われたか。
- データとサイバー管理:技術ファイルをどこに保存し、誰が閲覧できるか。
- 輸出・税関:許可、一時輸入、規制品を誰が担当するか。
- 失敗時の負担:ロケットまたは放出装置の失敗時、責任、保険、再打ち上げ条件はどうなるか。
- 軌道上の責任:追跡、衝突回避、寿命末期要件をどのように確認するか。
- 現地権限:東京チームはベルリンやロケット会社を待たずに何を決められるか。
日本での成功をどう測るか
第一の尺度は反復受注である。一回の華々しい打ち上げはプロジェクトにすぎない。マルチローンチ契約はインフラになる。Synspectiveの10機、アクセルスペースの8機分、インターステラテクノロジズとの長期関係は、発表の寄せ集めではなくパイプラインを作る。
第二は多様性だ。日本衛星をカリフォルニアからFalcon 9で運ぶだけなら、有用な営業・支援拠点である。外国衛星を日本のロケットへ連れて来て、日本の技術実証を複数機体で統合し、アジアの射場も支援するなら、双方向の地域ハブになる。
第三は現地の技術力である。顧客は、東京チームが日本語で接続仕様を解決し、設計審査に入り、異常対応を管理できるかを見る。単にベルリンを紹介するだけでは足りない。日本責任者に、三菱電機で16年間衛星システムと運用に携わった有坂一太郎氏を置いたことは、その信頼構築を意図した人選である。
第四は強靱性だ。日本のコンステレーション企業には、ロケット遅延、試験失敗、突然の軌道変更を吸収する工程が必要になる。最高のインテグレーターは、安い座席を一つ持つ会社ではない。1か月の問題を1年の停止にせず、マニフェストを組み替えられる会社だ。
宇宙大国を支える静かな機械
打ち上げは炎として記憶される。エンジン、光る噴煙、海岸から上昇する機体。Exolaunchの仕事は静かだ。均衡したマニフェスト。衛星より先に届く税関書類。干渉を見つける適合確認。ロケット会社を納得させる試験記録。正しい放出装置を開くシーケンサー。衛星自身のミッションが始められるほど穏やかに押し離す分離機構。
だから、このドイツ企業の日本展開には意味がある。日本はすでに宇宙活動国であり、優れた衛星製造国でもある。成長する商業宇宙に必要なのは「頻度」だ。より多くの実証、打ち上げ、補充、そして日程が崩れたときの代替経路。統合は、野心を頻度へ変える技術である。
Transporter-17は象徴的な結末を見せた。7機の日本衛星が1本のロケットを離れ、ドイツ設計のインフラを通じて分離し、地上へ応答し、新しい光学コンステレーションを作り始めた。一つの国、一つの会社が全体を所有してはいない。それでも連鎖は機能した。
Exolaunchの賭けは、この相互依存が完全な国内自給へ向かう途中の一時的な便法ではなく、商業宇宙の恒久的な構造だということだ。国家能力を、信頼でき反復可能な接続点によって世界の供給力へつなぐ。日本で同社は、その主張を語る段階を越えた。軌道上で実証し始めている。
取材資料・方法・表現上の注意
Japan.co.jpは、本稿の企業をExolaunchと特定し、日本展開の実態を同社発表、日本側顧客の開示、JAXAとRocket Labのミッション記録、日本法および政府政策資料で照合した。衛星数や成長予測は、明記した通り同社公表値である。東京法人と受注実績は確認できるが、日本工場の設置は公表されていないため、両者を区別した。Exolaunchは顧客衛星の統合・分離を担う企業であり、挿絵の衛星そのものを製造する会社ではない。
- Exolaunch:Transporter-17で49機を放出、累計839機(2026年7月)
- アクセルスペース:GRUS-3の7機打ち上げ・初回電波受信成功
- Exolaunch / EQT:買収合意と事業規模(2026年6月)
- Exolaunch:JAXA革新的衛星技術実証4号機の8衛星を放出
- Rocket Lab:Kakushin Risingミッション記録
- Synspective:StriX 10機のマルチローンチ契約
- アクセルスペース:合計8機分の打ち上げ機会に関する合意
- インターステラテクノロジズ:ZERO向け戦略的パートナーシップ
- Exolaunch:TUベルリン発の沿革と打ち上げ実績
- Exolaunch:EXOpod衛星放出装置
- Exolaunch:2026年の成長計画
- JAXA:宇宙戦略基金概要、国内市場8兆円目標
- e-Gov法令翻訳:宇宙基本法
- e-Gov法令翻訳:宇宙活動法
- JAXA:1955年のペンシルロケットから1970年の「おおすみ」へ
- DLR:日独航空宇宙協力の拡大
- DLR:日独仏CALLISTO再使用実証機
- JAXA/ISAS:MMX搭載ローバーIDEFIXの引き渡し
