エヌビディア好決算でも朝高続かず
アドバンテストが約198円押し下げ
日経平均は寄り付き直後に前日比692円高まで上げた後、479円安まで急落。前場の高安差は1172円に達した。午後0時53分には再びプラス圏へ戻り、AI相場の強さと過熱を同時に映した。

日経平均は寄り付き直後に前日比692円高まで上げた後、479円安まで急落。前場の高安差は1172円に達した。午後0時53分には再びプラス圏へ戻り、AI相場の強さと過熱を同時に映した。

データ確認: 2026年8月27日 午後1時(日本時間)/2026年8月26日 午後9時(米国太平洋夏時間)。
決算は強かった。だから株価も素直に上がる――27日朝の東京市場は、そんな単純な筋書きをわずか1時間で崩した。米エヌビディアが発表した2027年1月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比2.06倍の962億2100万ドル、データセンター部門が2.17倍の890億ドル。日経平均は前日比513円62銭高で寄り付き、午前9時6分には692円53銭高まで買われた。
ところが午前10時13分には479円57銭安。高値から安値まで1172円10銭を駆け下りた。前引けは97円97銭安の6万6164円19銭。TOPIXは0.09%高を保った。後場に入ると買い直され、午後0時53分の日経平均は175円61銭高の6万6437円77銭まで戻った。ただしこれは日経平均だけの後場速報値である。TOPIX、騰落銘柄数、為替、国債を同じ時刻にそろえた「午後1時の市場全体」とは扱わない。
| 市場 | 水準・方向 | 時点 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 66,262.16/+405.73(+0.62%) | 確定 8月26日午後3時30分 | 始値6万5604円49銭、高値6万6442円34銭、安値6万5390円55銭。上昇分の約74%をアドバンテストが寄与。 |
| TOPIX | 4,111.02/+17.35(+0.42%) | 確定 8月26日午後3時30分 | 東証プライムは値上がり978、値下がり518、変わらず60。 |
| 東証プライム | 売買代金 6兆7057億円 | 確定 8月26日 | 出来高18億5350万株。指数上昇に市場の広がりも伴った。 |
| 日経平均 | 66,164.19/−97.97(−0.15%) | 前引け 8月27日午前11時30分 | 始値6万6775円78銭、高値6万6954円69銭、安値6万5782円59銭。高安差1172円10銭。 |
| TOPIX | 4,114.70/+3.68(+0.09%) | 前引け 8月27日午前11時30分 | 値上がり652、値下がり837、変わらず61。出来高9億7467万株。 |
| 日経平均・後場参考 | 66,437.77/+175.61(+0.27%) | 指数のみ 8月27日午後0時53分 | 前引け後の回復を示すが、他市場と時刻をそろえた値ではない。 |
| ドル/円 | 1ドル=約159円36銭 | 参考 8月27日午前11時35分ごろ | 日銀の26日公表値は午前9時159円21~23銭、午後5時159円00~02銭。 |
| 新発10年国債利回り | 2.895%/前日比+0.010%ポイント | 参考 8月27日午前11時ごろ | 長期国債先物9月物は126円42銭、6銭安。 |
| 米国株・8月26日 | ダウ −0.21%/S&P 500 −0.02%/ナスダック −0.08% | 確定 ニューヨーク | エヌビディア決算は現物市場の引け後。時間外は一時下落後、5%近く上昇。 |
| 欧州現物株 | 取引開始前 | 午後1時時点 | 26日の米国終値と時間外のエヌビディアを東京が引き継いだ段階。 |
26日は日経平均が405円73銭高、TOPIXが0.42%高。原油価格の低下、国内長期金利の小幅低下、前日の米国株高が買いを支えた。東証プライムの値上がり銘柄は978と、値下がり518を大きく上回った。相場全体が上向いたのは事実である。
同時に、日経平均の見栄えは一銘柄に大きく依存していた。アドバンテストは3.63%高の3万5700円で、日経平均を301円70銭押し上げた。指数の上昇幅405円73銭に対し約74%に相当する。ソフトバンクグループは約61円14銭、リクルートホールディングスは約55円31銭寄与した。株価平均型の日経平均では、値がさ株の動きが市場全体の印象を大きく変える。
エヌビディアの第2四半期売上高は962億2100万ドル、データセンター売上高は890億ドル。第3四半期の売上高見通しは1080億ドルを中心に上下2%とした。AI向け投資の勢いを裏付ける数字だった一方、部材コストや供給制約が今後の利益率を圧迫する可能性も示された。決算が悪かったのではない。事前に積み上がった期待を、どこまで上回ったかが問われた。
前引け時点で、アドバンテストは2.30%安の3万4880円となり、日経平均を197円91銭押し下げた。ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、中外製薬、KDDIも重荷になった。一方、キオクシアホールディングスは約72円51銭、フジクラは31円18銭、イビデンは29円83銭、TDKは24円14銭、東京エレクトロンは22円12銭押し上げた。AI関連が一斉に売られたのではなく、メモリー、光配線、パッケージ基板、電子部品、製造装置、検査装置の間で選別が起きた。
26日の日経平均上昇の約4分の3を担った一銘柄が、翌朝には約198円を奪った。二日間の指数は「日本株全体」より、AI相場の中の一銘柄往復を強く映している。
26日に日経平均を301円70銭押し上げ、27日前場には197円91銭押し下げた。26日大引け後から27日午前までに新たな適時開示は確認できず、利益確定や期待値調整という説明は市場の値動きからの推測を含む。
材料確度:中アドバンテストは1954年に「タケダ理研工業株式会社」として創業し、1972年に国産初の半導体試験装置を発売、1985年に現社名となった。AI向け半導体は演算性能が上がるだけでなく、構造と実装が複雑になる。高帯域幅メモリーを組み合わせた高価なデバイスほど、不良を見逃すコストは大きい。検査工程の時間、精度、装置需要が増えやすい理由である。
同社は7月29日、推論AI向け半導体の試験需要が4月時点の想定を上回るとして、2027年3月期の売上高予想を1兆4200億円から1兆7140億円へ、営業利益予想を6275億円から8460億円へ引き上げた。会社予想であり実現を保証するものではないが、エヌビディア決算前から市場の期待が極めて高かった背景を示す。
AIアクセラレーター、高帯域幅メモリー、複雑化する先端パッケージは、試験時間と精度を押し上げる。エヌビディアの実績と見通しは需要の連鎖を支える。
高い評価には、強い決算だけでなく期待以上の上振れが求められる。顧客集中、メモリー循環、設備増強、AI投資の減速も無視できない。
したがって「エヌビディアが失望させた」と結論づけるのは不正確だ。確認できるのはアドバンテストの株価と指数寄与度の反転である。ポジションの偏り、26日の上昇に対する利益確定、期待の高さは妥当な解釈だが、会社固有の受注変化が確認されない以上、断定は避ける。
前場に上昇したのは33業種中12業種。東証プライムでは値下がり837が値上がり652を上回った。TOPIXの小幅高だけを見るより、相場の地合いは慎重だったと読める。ただし、上位には非鉄金属、鉱業、電気機器、証券・商品先物が並び、全面的なリスク回避とも言い切れない。
「半導体」という一語でくくると、27日の情報量を失う。メモリーのキオクシア、光ファイバーのフジクラ、パッケージ基板のイビデン、電子部品のTDK、製造装置の東京エレクトロンは上昇寄与。検査装置のアドバンテストは反対方向だった。AI設備投資のどの工程に資金が移ったのかを見る相場である。
ドル/円は午前11時35分ごろ、1ドル=159円36銭近辺。日本銀行が公表した26日午後5時の159円00~02銭より、ややドル高・円安だった。急変ではないものの、160円に近い水準は輸入物価、家計の実質購買力、当局発言を株式市場の材料にし続ける。
米国では7月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比3.7%上昇し、市場予想の3.6%を上回った。米10年国債利回りは4.668%前後へ上昇した。米利下げ期待を簡単に強めにくい組み合わせで、ドルを支える。輸出企業には海外利益の円換算額を押し上げる一方、原油、食料、原材料を通じて国内コストを高める。
160円を速い速度で超える: 当局の警戒発言と輸入コストへの懸念が強まりやすい。
159円台後半: 輸出企業を支える半面、金融政策との結び付きが意識される。
159円割れ: 輸入コストには安心材料だが、海外売上比率の高い値がさ株には逆風になり得る。
新発10年国債利回りは午前11時ごろ、前日比0.010%ポイント高い2.895%。長期国債先物9月物は6銭安の126円42銭だった。値動きは小さい。それでも3%に近い水準と、日本銀行の氷見野良三(ひみの・りょうぞう)副総裁の講演が重なった意味は軽くない。
金利上昇は銀行・保険の運用収益を改善し得る半面、保有債券の価格、住宅ローン、企業の資金調達、株式の割引率に影響する。将来利益への期待が株価の大きな部分を占めるAI関連株には、米国決算だけでなく国内の「3%近辺」も評価を左右する。
26日の10年債利回りは2.885%で、前日比0.005%ポイント低下。27日の1ベーシスポイント上昇も、それだけで方向転換とは言えない。次の手掛かりは国債入札の需要、円相場、基調的物価、日銀が金融緩和度合いをどの速度で調整するかにある。
26日の米国株はエヌビディア決算を前に小幅安。ダウ工業株30種平均は113ドル52セント安の5万3463ドル88セント、S&P 500は0.02%安の7675.70、ナスダック総合は0.08%安の2万6130.20で終えた。決算後のエヌビディア株は時間外で一時1%超下げた後、5%近い上昇へ転じた。数字の大きさと利益率・供給制約を市場が読み直した跡である。
米WTI原油先物は1バレル=82.23ドル、北海ブレントは87.84ドル近辺。原油安は日本の交易条件を改善するが、円安が進めば効果は薄れる。輸入コストは商品価格と為替の掛け算で決まる。
東京午後1時の時点で欧州の現物株市場は始まっていない。次の受け手は欧州の半導体関連株、米国の現物取引、8月27~29日のジャクソンホール会議となる。米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は28日に講演予定。米金利とドルの反応が、翌日の東京で円相場と成長株の評価に戻ってくる。
日本銀行の氷見野良三副総裁は27日午前、埼玉県金融経済懇談会で「最近の金融経済情勢と金融政策運営」と題して講演した。政策金利が1%となった現在も金融環境は緩和的であり、見通しが実現すれば、政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していくという従来の条件付き方針を維持した。
基調的な物価上昇率が2%を上回るリスクにも、これまで以上に注意が必要だとした。ただし、利上げの時期や速度を約束したわけではない。中東情勢、AI需要、為替、経済・物価見通しとそのリスクを見ながら判断する。特定会合での利上げ予告とも、正常化の撤回とも読めない。
株式市場と直接つながるのはAI需要への評価だ。氷見野副総裁は、AI関連需要が原油高による交易条件の悪化を補い、その波及が従来考えられていたより広い可能性を指摘した。一方、円安は輸出・インバウンド企業に追い風でも、家計の実質所得と中小企業のコストには逆風になる。同じAIブームが企業利益を押し上げ、物価と金融政策にも影響する構図である。
最高水準の業績が否定されたのではない。高く積み上がった株価の期待が、好決算を一時受け止めきれなかった。決算の事実と相場の反応は分けて書く必要がある。
二日間を貫く数字は、アドバンテストの寄与度だ。26日の上昇幅の約4分の3を生み、27日前場には約198円を奪った。TOPIXは小幅高で、ほかのAI関連銘柄には買いが入った。「東京市場がエヌビディア決算を拒否した」のではなく、株価平均型の日経平均がAI供給網の内部に起きた資金移動を増幅した、と考えるのが妥当だ。
もう一つの焦点は政策である。AI需要は輸出、設備投資、企業の価格決定力を強める。その効果が物価全体へ広がれば、日銀が緩和度合いを調整する根拠にもなる。企業利益と金利は別々の話ではない。同じ成長期待に対し、分子と割引率の両側から働く。